戦争の経済学

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制作 : 山形浩生 
  • バジリコ (2007年10月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862380579

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戦争の経済学の感想・レビュー・書評

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  • つんどく。

    【目次】
     謝辞/序文
    第1部 戦争の経済効果
     第1章 戦争経済の理論
     第2章 実際の戦争経済:アメリカの戦争 ケーススタディ
    第2部 軍隊の経済学
     第3章 防衛支出と経済
     第4章 軍の労働
     第5章 兵器の調達
    第3部 安全保障の経済面
     第6章 発展途上国の内戦
     第7章 テロリズム
     第8章 大量破壊兵器の拡散
      付録 事業・プロジェクトとしての戦争
      訳者解説/参考文献/索引

  •  「戦争はもうかる事業なのか」を経済学を使って検証する……っていうのがおもしろい。朝鮮戦争までは、戦争は経済を刺激したけれど、それ以降はそういう原則は崩れている。要するに、余剰の生産力があって失業があって不況の状態にあるときに戦争が起これば景気はよくなる。でも、いまはそういう人命や物量をたたきつけて地面に埋めるような戦争じゃなくなってるし、常駐軍の範囲内で間に合ってしまうので公式が成り立たないというのだ。
     こういう大きい戦争だけでなく、途上国の内戦や、PKO活動、大量破壊平易の拡散などもまな板の上にのせて、それを経済学から見るとどうなるかという話になっていて、議論の広がりがおもしろい。たとえば、途上国で紛争が起こるリスク要因としておおきなものはなにか? 〈もっとも強力なものは、その国のGDPの相当部分が原材料(鉱物、宝石、石油などの天然資源)の輸出からきているという条件だ。具体的には、原材料依存度がGDPの26%に達すると、紛争リスクは最大になる。〉なんてことを解説した後、人々の所得格差がどのように紛争に関係あるかを説明するくだりなど、説得力がある。〈最大の民族集団が人口の45-90パーセントを構成しているとき、紛争が起こる確率は28%になる。比較的均質な民族構成(主要な民族が人口の9割以下)の国で紛争の可能性が高くなるのは、支配的な民族が少数民族からリソースを奪うことで利益を得たりするからだ。でも、ほぼ完全に優位だと(1つの民族が9割以上を占める場合)、紛争の可能性は減る。少数民族があまりに少なくて、それを収奪してみたところで、リソース収奪行動の費用のほうが大きくなってしまうからだ。〉
     言ってることは普通のことでも、数字が入るとなんかすげーナットクしちゃうとか。反対に、数字で示されると意外な結果になるとか、「へーふん率」の高い本だった。

  • 経済学の教科書としてものすごくよくできてるが、アメリカ的すぎてくたびれた。

  • 「山形浩生が選ぶ 経済がわかる30冊」の1つ『テロの経済学』の関連書。

  • ・戦争を善悪抜きで、「経済」の視点から語る。
    ・「戦争で景気回復するのか?」「軍需産業が潤う?」「現代の傭兵とはどんな存在?」といった側面も学べる。
    ・戦争に対するイメージと経済学から見た視点は意外と差があり、そのギャップも面白い。

  •  戦争の経済的側面、戦争をする事は経済(景気)によって良いのかなど、戦争の経済への影響、経済的な観点からの戦争の理解などを考える著作。一部、conventional wisdomを検証したりしているので、それはそれで読者によっては面白いかもしれない。

     章末に明らかにした事実を確認する頁があり、学部生が学ぶ上では有益かもしれない。ただ、正直、自分の研究にはほとんど使えないという印象。

  •  ミクロ経済学,マクロ経済学の基本を使って,戦争にまつわる事象の経済を探る。戦争の経済効果,志願制と徴兵制,兵器の調達,内戦,テロ,核拡散,内容は多岐にわたる。訳者の山形活生氏による付録も興味深い。
     民間軍事会社(PMC)の分析が面白かった。いろいろ問題もあるがコスパが良く成果を上げているのには経済学的な理由がある。自由競争で決まる均衡賃金よりも高く設定された効率賃金を採用することが可能で,優秀な人材を登用できる。そんな芸当ができるのは,PMCは既に国家から十分な訓練を受けた人材を採用して研修費用を節約できるし,契約期間が終われば,年金を支払って一生面倒を見るなんてことをしなくていいから。そう考えると,冷戦が終わって以降に軍事の民営化が進んだのは,ごくごく自然な経済現象だったのかなあ。
     冷戦後は世界各地の内戦と国際テロが主要な戦争の舞台になった。内戦などの紛争リスクは,国の経済が天然資源に依存している場合に極大化する。反乱軍の資金源になるし,産出地域の分離独立が儲かりやすいし,資源の生み出す富が格差をもたらすし,民主主義を構築するインセンティブを殺ぐから。
     小規模な紛争を促進する武器として悪名高いのがカラシニコフAK-47。軽量,操作が簡単で殺傷力が高く,信頼性も高く,価格も安くて大量に出回る。大規模な兵器とは異なり競争市場が成り立っているため,AK-47の相場を見れば紛争がどれだけ差し迫っているかが分かるという。
     戦争なんて,物騒な話ではあるけれど,ちゃんと経済の論理に従って物事は動いているものだな。ただ完全に利益や利権で動いているわけでもなく,政治的な動機も重要なファクター。かなり特殊な分野とは言えるんだろう。

  • 善悪を抜きにして、戦争にまつわる事柄を経済的に分析している。感情的になりやすいテーマを冷静に扱ったちょっと貴重な本。徴兵、内戦、核兵器に関しての部分は特に興味深く読めた。たまに戦争は経済の為にされた/する、という人がいるが、本当に…?

    教科書風の構成でわりと固い感じの内容に、山形さんの柔らかい翻訳がちょっとだけミスマッチな気も。

  • 「歴史を通じて、戦争はお金のためになされ、そしてお金は戦争を可能にしてきた」

    戦争の勝敗は一人あたりGDPで多くの場合予想できる

    開戦時点で低経済成長(リソース余ってる)、戦時中の巨額の継続的な支出、紛争が長引かないこと、本土で戦闘が行われないこと、資金調達がきちんとなされること、という条件が満たされれば戦争は経済的に見てプラス。【アメリカにとって】WW1, WW2,朝鮮戦争はこの原則に合致。ベト戦以降は基準満たさず。

    徴兵制は志願兵制よりコストが少なくてすむ。北欧の高福祉国では未だに徴兵制が採用されている。西欧の徴兵制が廃止されたのは、冷戦が終わり、国境全体を防備する人数が不要になったから。

    米軍の縮小に合わせて民間軍事会社が成長。シエラレオネ政府は民間軍事会社に3500万$はらい22ヶ月で蜂起軍を制圧。その後UN軍が駐留するが、8ヶ月で470万ドルかけて内乱状態に戻してしまった。

    事業としての戦争:現在の戦争は複雑すぎてなかなかきっぱり分析できない。
    日清戦争の収益率は、単純に結果だけを見て計算すると50%を超えるが、長期化・敗戦のリスクや、インフレなどの効果を勘案すると、単純な貨幣価値計算でも割りに合わない事業だったといえるかもしれない。

    スペインやイギリスの植民地経営は利益を本国にもたらしたかもしれないが、日本はトータルで見ると植民地から利益を得ることはできないでいた。(植民地から利益を収奪していたっていう中学校の先生とかは勉強不足で、投資したけど回収できる前に敗戦を迎えたというのがより正しいのだろう)

    **********
    経済学なんてデタラメだと思ってる僕なんだが、なんで「**の経済学」ってなるととりあえず見てみようという気になるんだろう。。。

  • 戦争経済の効果=最近は経済効果はない
    軍隊の経済効果 防衛支出、軍の労働力=徴兵制から志願兵へ 民間軍隊の効果
    兵器市場 AK48 相互独占市場
    発展途上国と内戦 経済的理由から 平和維持軍とフリーライダー
    テロリズムの経済効果 組織の存在による自爆テロの合理性
    大量破壊兵器の拡散

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戦争の経済学の作品紹介

憲法9条改正?自衛隊を正規軍に?でもその前に一度、冷静になって考えてみよう。戦争は経済的にみてペイするものなのか?ミクロ・マクロの初歩的な経済理論を使って、現実に起きた戦争-第一次世界大戦から、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争まで-の収支を徹底分析!「戦争が経済を活性化する」は本当か?徴兵制と志願兵制ではどちらがコストパフォーマンスが高い?軍需産業にとって実際の戦争にメリットはあるか?核物質闇取引の実際の価格は?自爆テロはコストにみあっているか?…などなど、戦争についての見方がガラリと変わる、戦争という「巨大公共投資」を題材にした、まったく新しいタイプの経済の教科書。自衛隊イラク派遣の収支を分析した、訳者 山形浩生による付録「事業・プロジェクトとしての戦争」も必読。

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