- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862380579
感想・レビュー・書評
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戦争というものをミクロ、マクロ経済的な視点で見たらどう見えるか。そんな事が広く書かれた本。凄く面白い本だと思う。特徴的な所として、この本の著者は戦争に反対なのか賛成なのかという部分は書かれていない。戦争に対する感情論はほぼない。従って、本当に単純な損得勘定を知ることが出来る。個人的には軍隊の徴兵の話や武器の調達の話、テロリズムの話などはとても興味深かった。あと、付録だけど訳者付録も割と面白い。
最初にも書いた様にあくまで戦争を経済学という視点から見ているだけなので、別段すごい発見があるわけではないが、その分基礎的な経済学知識で色々なものが見えてくる。ミクロ、マクロ経済学を勉強している学生なんかが読むと物の見え方が少し変わるのではないかなと思う。
ただ、翻訳のミスなのか原著のミスなのか分からないけど明らかに間違っていると思われる部分が見受けられたのがちとマイナス。例えば武器の調達に書かれている図の独占需要者市場の記号の振り方だったり、それとリンクした本文だったり。特にここは一般的な需要供給曲線と独占市場の差をグラフで描いているのだからキモとなる部分なのに、そのせいでやたら混乱させられた。あと、専門の人ではないので確信は持てないけど、訳者付録の確率付きの期待収益率は多分間違っていると思うんだよなぁ。9割の勝率で26.1%、8割の勝率で-5.3%だと思うんだけど違うのかなぁ。この辺りは暇があったら原著で調べたいなぁ。
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戦争を「ネタ」に経済学の教科書を書いた感じの本。自国の領土を直接ずたずたにされないアメリカだから成立する学問のようにも思える。国土がずたずたにされたらどう見たってペイしないだろう。第6章「発展途上国の内戦」ではその辺も述べている。アメリカにとっても、どうも近年の戦争はペイしないようだ。
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書名から戦争という事象を経済学的に分析している本かと思いきや、その逆。戦争を題材に経済学を勉強しようという教科書。基礎的な経済学用語を一通り網羅し、事象のモデル化といった経済学のエッセンスを実例を元にお勉強できるというなかなかありそうでなかった本。ゲーム理論に基づく国際平和維持活動の意義とか興味深かった。(そうか!平和のような公共財に対してはフリーライダーになるのが最も経済的なんだね!)この本を以て戦争論/平和論を語ることも出来るだろうかえど、それよりも「このグラフはなんで右にズレたんだろう」といったことを考えながら読むと経済学的センスを磨くことができると思うのですよ。ただ、最後に訳者(山形浩生氏)による戦争の収支計算が書かれているだけど、現在価値/将来価値といったファイナンスの基本が取り上げられてて、経済学入門書としてここまで踏み込む必要あるのかな?という気がした。結論も本文ほど明快にはなっていないし・・・。
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戦争というのは個々の人間に大きな負担を与えるものである一方、有史の中で繰り返し行われてきたもの。副題に「戦争はペイするものなのか?」とあるように学部初年度レベルの経済学により分析。条件がそろえばペイするというのが著者の結論(アメリカの陸軍士官学校でも採用とのこと)。冷静に戦争を分析したいヒトにはおすすめ。ただ、副題の「戦争という「巨大公共投資」」というのはきちんと本書を読めばかぎりなくミスリーディングに近いですね。
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やや露悪的な表題と,訳文の好みは分かれそうだが,戦争をダシ(例に挙げてというべきか)にして,近年の経済学の概要を平易に説明する好著.章末ごとにまとめと復習問題も入っていて,教科書的な使い方も出来る.
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イデオローグ抜きの検証。福利厚生は手厚く、これに魅力を感じる人は多いと思う。プロップスも付いてきそうだし。ただ生きていればの話し。貧すれば鈍する。最近は自国の戦士の戦死を防ぐべくドローンでの戦いに移行しているみたいだけど、戦争そのものを止める、やらない方向にはいかないのは人間の愚かさだと思う。
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ふむ
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読後、なんとなく持ってた戦争に対する知識『戦争は儲かる』とか『アメリカは公共事業として戦争したがる』とか云々がサラサラ~と崩れていくのを感じた。
あとがきにもあるように戦争の話となると精神論や書き手のお気持ちが非常に多くなってうんざりするものが多い中、この本は本当に数字についての解説のみに専念しているのがすごくいい。
傭兵のお話、大量破壊兵器の話など非常に興味深い項目もあった。
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PP1a