• バジリコ
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862381002

感想・レビュー・書評

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  • 私の理解力が低いのか、よくわからなかったというのが正直な感想。
    美しいとは思う。
    現実と幻想が入り乱れてるような感じで混乱。
    頑張って読み切っては見たが…

  • 2017.09.21 図書館

  • 正直に言うと、おもしろくもないし、見せ方も下手だと思う。バラードの絶賛が嫌味かと思えてしまうぐらいに。

  • 真夏のクソ暑い時に読むのに、なんと寒々しい小説だったことか。雪と氷に閉ざされたディストピア小説。
    カフカと並べられる作家だが、カフカの迷宮をさらに濃くし、幻想に迷いんだようだ。センテンスごとにどこへ向かっているか分からなくなる。
    非常にユニークで、孤高の作家性があるが、「うまい」という感じはない。銀髪の儚げな少女を助け出そうとするプロットは時に稚拙で時に破綻しているようにも見える。カフカが小説を発表せず書き溜めていたように、アンナ・カヴァンも生前に成功した作家ではない。パーソナルに、自分の内なる闇とイマジネーションを吐き出すための作品という印象がある。それ故に、救いの王子のファンタジーとは程遠く、無力・無個性な少女の蹂躙といった暴力性までもが行間から溢れ出す。この無防備さはカヴァンの魅力である。

  • 迫りくる氷に怯えながら一人の少女を探す男の物語。

    少女と迎えるデストピアは彼にとっての一つの希望なのでしょうか。

    ひえびえとさせてもらった海外文学バーテンダーさんに薦めていただいた一冊。

  • 氷に覆われていく世界。追い求める相手は逃げ、災難は払っても払っても降り注ぎ、理不尽に巻き込まれ。読んでてもちっとも楽しくならないのにどんどん引きずりこまれる。陰惨というほどの積極性のなさはこの作者の持ち味か?
    イメージはバラードの「~世界」系ですが…「~世界」は、あくまで変容していく世界が主人公(?)で、登場事物たちがそれにひきつけられていくのに対し、「氷」では世界の異変より個人の事情が優先するのが21世紀の現代的過ぎて不気味。

    「ちょっとー、地球が大変なことになっているんだよー、放っておいていいのー?」って。というか、「主人公張っているんだったら、もっと世界と関わろうよ、君ら」みたいな。
    改訂版ですが、小奇麗過ぎる装丁がちょっと無神経。

  • 1985年2月出版。山田和子さん訳。氷が迫り来る戦争のさなか、私は少女を探すのだけど、探したと思えば離れ、現実か妄想なのか、悪夢の繰り返しのようでよくわからない。私とか男とか名前がなく、誰が誰なのか、もしかして同一人物なのか。何を伝えたいのか私には何も響いてこず、ただただこの少女はそんなに魅力があるのだろうかという疑問だけだった。

  • 気象変動で氷に覆われていた地球が舞台。交通・情報が寸断され、核兵器が使われたという憶測があるが、定かではない。凍らない赤道の土地をめぐる戦争のさなか、名も明かされぬ主人公の男は、かつて恋した女性の行方を追い、氷の世界に足を踏み入れる。並みのSFであれば、地球のアイスボール化をさけるためにヒーローが現れるところだろうが、本作の人類は、氷の前に無力。そこがいい。ラストページの憂鬱な一行が印象的。

  • 現実なのか幻想なのか。独特の語り口にいつのまにかはまってしまう。何度も繰り返される冷たい氷に閉ざされようとしている世界。全く現実味のない人形のような「少女」が、最後に一人の女性としてむき出しの感情を表したことに救われる気がした。

  • 広がる氷からは逃れられず、終末にむかう世界で少女に執着する長官と「私」。読み始め、アンナ・カヴァンでしかもSFチックな小説を面白いなと思った事にもびっくりだけど、ジュリア&バズーカにも通じる世界はやはりと言うか、全体に濃い死の匂いが立ち込める。かといって受け取る印象が昏いだけということもなく、言葉にし難い魅力があって、また読み返そうとおもう何かしらがアンナ・カヴァンの小説にはあるように思う。それは「孤独」や「死に近いところにいる人の肉声」という言葉では片付けたくない何かしらで、まだよく判らないけど。

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著者プロフィール

1901年フランス生まれ。不安と幻想に満ちた作品を数多く遺した英語作家。邦訳に、『氷』(ちくま文庫)、『アサイラム・ピース』(国書刊行会)などがある。

「2015年 『居心地の悪い部屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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