「脳」を変える「心」

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制作 : 茂木健一郎 
  • バジリコ (2010年11月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862381736

「脳」を変える「心」の感想・レビュー・書評

  •  チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は科学への造詣が深く、1987年から西欧の科学者たちと「心と生命の集い」を催している。本書は、2004年に開かれた第12回の集いで得られた科学的成果と意味を、徹底的かつ鮮やかに探った優れた報告書だ。
     科学は長い間、成体脳では神経細胞は新生せず、神経回路は再構築されないと考えてきた。そのパラダイムを大きく変えたのが、今回のテーマ「神経可塑性」である。これは、「生まれ持った遺伝子は自然が打ったチェスの最初の一手のようなものでしかなく」、脳には「自らを修理しようとする力」があるとする考え方で、最新の科学実験で実証されている。
     脳は、環境や経験など外からの刺激を受けて、生涯自らをつくり変える。このように考えると、自己あるいは心に本来備わっている性質など何もないという考えに導かれるだろう。これはまさしく、「仏教の教え」そのものだ。そして、「自らを修理しようとする力」を最大限に発揮するために、科学者が最も有効だと考えた方法は、仏教の精神修練である瞑想だった。
     瞑想に熟練した僧たちによって、心が脳を動かすことが可視化される終盤では、心は<外>に在ることが示唆される。しかし<外>とは、どこを指すのだろう。科学と仏教が交わることで、我われはもう1つの<地平>へと足を踏み出したのかもしれない。

  • 神経可塑性が年齢問わず、力を持っていることが述べられてる前半はよいとして。人間の思いやりや慈悲を瞑想による脳の組み換えで起こさせるというのは怪しげだ。それは神経可塑性というより学習なのでは?あと、神経基盤をいじくりまわすという発想はすこし恐ろしい。宗教の求める物語の上に書かれた本のように感じてしまう。

  • ようやっと読み終えたっ。はぁー、時間かかったーーー。_| ̄|○
    内容はすんごく面白いのだが、科学的論述の緻密さのせい?か読み進みにくいったらありゃしない。
    2度図書館で借り、その両方ともを大幅に延滞しまくっての完読である。(失礼千万<(_ _)>)

    しかし、なんというか、20数年前から宗教(正確には仏教は宗教ではないのだが便宜上)と科学の歩み寄り実験は始まっていたのか…という驚きと安心感というのか、そうか、やっぱり!?、やっぱり!?というお話が満載の1冊でありました。

    ティーンの頃は思いっきり西欧にカブれ憧れていたにもかかわらず、やはり、仏教を基とする文化圏に生まれ育ったせいか?、だんだん西欧の対立の図式(悪vs正義、イスラムvsキリスト、人間vs万物…)に違和感を覚えるようになって、そのうち嫌悪感すら抱くようになってきだし、西欧も第2言語にアジアの言語を必須科目にしやがれ!そしたらその暴力的な思考もちょっとはマシになるやろ!みたいなことを感じブツブツ身内レベルでほざいてる間に、ダライラマ氏がやってくれちゃっていた、ですね。(-人-) 合掌!

    20数年に渡る「心と生命研究所」が主催した10回以上の対話の集いの内容は、日本語訳はすでに2冊も出版されていたんですねぇ。知りませんでした。(^^;)
    3冊目に当たる本書は、「脳の配線は不可変」という定説が、「神経可塑性」の発見で成体脳でも新しいニューロンができるという発見に至る科学界の経緯と、仏教哲学の実践からくる体感をすりあわせていく過程が細かに書かれています。

    そもそも、仏教と科学が似ているという感覚を抱いていた人は昔からいたみたいで、1889年には、ヘンリー・スティール・オルコット(1831-1907)という人がその著書『仏教問答』で、“仏教は「科学と調和している」、仏教と科学は「根本概念において一致するもの」をもつ”と記していたらしい。そして、スリランカの仏教指導者アナガーリカ・ダルマバーラ(1864-1933)というお坊さんは、コロンブス記念万国博覧会の一環として1893年に開催されたシカゴ万国宗教会議で、科学と宗教を何世紀も隔ててきた溝を埋められるのはキリスト教ではなく仏教であると熱っぽく語ったとか。
    いたんじゃん!?100年ちょっと前に!すでに!(≧▽≦)
    宗教といえば仏教感覚が主な私にとって、物理が言うてるところと、仏教が言うてるところは同じじゃないのかっ!?という感覚はあながちハズれではなかったというわけだっ。

    なるほど、もういろいろな意味で世界がアジア化していくのは必然だったわけだ…、という感を強くしました。

    そして、変な話だけど、「幸福の科学」なんかもネーミングとしてはいいところを抑えてたのかもしれないが、しかし、世界の価値観が大きく変わったときのアイコンとされるのは残念ながら、大川隆法ではなく圧倒的にダライラマだよなぁ~、という、歴史の中で語られるに似合うアイコンというのがあるんだなぁ…なんてことに思いを馳せたりしました。
    だって、進化論にしたって、ダーウィンが唐突に言い出したわけではなくて、同時期に同じことを考えていた人は他にもいたわけで。
    こういう大きく何かが動くとき、実は同時期にたくさんの人が似た様なことを考えたり思いついたりするが、まさにターニングポイントとされる人物はドラマチックな物語を背負ってる人になるんだろうねえ~~。
    そういう意味でも、ダライラマはぴったりだ。

    そして、そういうターニングポイントがそう遠くないことを教えてくれる1冊でした。

  • ダライラマと脳科学者の対話。

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「脳」を変える「心」の作品紹介

心と脳、仏教と神経科学。異なる二つの知の体系を止揚したダライ・ラマと神経科学者たちによるディスカッションの成果を、世界屈指の科学ジャーナリストがまとめた。

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