直木賞物語

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著者 : 川口則弘
  • バジリコ (2014年1月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862382061

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直木賞物語の感想・レビュー・書評

  • 「芥川賞物語」より格段に生々しい感じ。ほんと、直木賞ってよくわからない。これを読むと、そもそもの最初から、賞の対象となる「大衆文学」とは何かがきわめて曖昧で、あっちへ揺れこっちへ揺れしてきたのだなあということがよくわかる。無名作家あり、ベテランあり、出版業界での功労賞みたいな時があるかと思えば、あんまり「大衆」は読まんやろっていう作品に授賞したり、売れっ子作家はもらいにくかったり。ミステリやSFの扱いのおかしさや、時にとんでもない選評があったりして、「メッタ斬り」されるのも無理からぬところだ。

    なんでこんなに権威をまとって大騒ぎされるようになったんだろうなあ。もしかして「芥川賞」とセットというところがポイントなのか。また、その騒ぎの割には本が売れるわけでもないというのも謎。「とにかく面白い本が読みたい」というのなら、おおかたの人は本屋大賞作品をチョイスするようになった今、それでも、直木賞の「重み」が減るわけでもないのはなぜ?

  • 私のフォロワーになってくださっている多くの方々へ。
    お知らせです。

    今年上半期の直木賞は、明後日19日の夜に発表されます。
    受賞者インタビューと、その前に書評家3名による受賞作家予想&メッタ斬りが、
    ニコニコ動画で生中継されます。
    この書評家三人(私はいません(笑))の掛け合いも面白いので、是非ご覧ください。
    ※もちろん同時に芥川賞予想や芥川賞受賞作家のインタビューも放送されます。
    とりあえず、お知らせまで。
    なかなかレビューが書けず、申し訳ありません。<(_ _)>

  • 直木賞のイメージは、芥川賞よりエンタメ寄り?とはてなマークつく感じで全然わかってなかった。
    第1回からずーっと選考にまつわるあれこれを盛り込んでくれている本。川口さんの直木賞への熱い思いが伝わります。
    迷走する選考員たち、いっこうに定まらない選考基準、作品ではなく作家の背景にばかり光をあてる報道。そこへの川口さんの冷静なつっこみ。選考の裏で起こる様々な出来事(事件も事故も)。
    又吉の芥川賞で大騒ぎしてたけど、昔から違う畑から来た作家さんはたくさんいたんだなあ。

  • 1935年上期の第1回から詳細に候補作、審査員の議論などが紹介され、芥川賞と同時にスタートしながら、「大衆文芸」の賞として、ステータスが低いように思われ、受賞史の中で、揺れ続けた経緯が興味深かった。新人発掘の場でもあったり、過去の業績を重んじ、評価する場であったり。文芸重視という通奏低音があることも芥川賞を意識したことか?そして推理小説、ユーモア小説、歴史小説など幅広いジャンルの直木賞選定の難しいことを痛感した。著者は「直木賞が好きだ」と情熱を後書きで語っているが、痛感する。私自身も芥川賞よりもよほど魅力的な作品が多いと思う。芥川賞が石原慎太郎ブーム、また金原ひとみ・綿矢りさコンビに沸いたときの直木賞への影響なども面白いところ。直木賞と重なるイメージの吉川英治賞、山本周五郎賞、江戸川乱歩賞、三島由紀夫賞、全国本屋大賞の誕生も語られ、文学賞の歴史でもある。筒井康隆の「大いなる助走」という直木賞の審査員たちを醜悪に描き、内幕暴露的小説があるとはビックリ!(P266)これでは賞は書くとき出来ない!ぜひ読んでみたいもの。最新は2013年上期まで。

  • 同じ著者による「芥川賞物語」が面白かったので、こちらも手に取りました。
    直木賞の歴史を丹念に紐解いた通史として重宝する一冊。
    第1回の川口松太郎「鶴八鶴次郎」「風流深川唄」から、第149回の桜木紫乃「ホテルローヤル」までをカバーしています。
    一読して感じたのは、直木賞は芥川賞に輪をかけて掴みどころのない賞だということ。
    芥川賞は純文学を対象にした賞ということで範囲が割と明確です。
    一方、直木賞は一応、エンターテインメント小説を対象にしていますが、一口にエンターテインメント小説と言っても人情ものからミステリ、ハードボイルド、恋愛小説、歴史小説、SF小説、中間小説などなど実に多種多様で茫洋としています。
    それに作品本位で選ばれる傾向の強い芥川賞に比べ、直木賞は「人物本位」とは言わないまでも、それまでの実績を重視して受賞者を選ぶことも少なくありません。
    ですから、「この作品であげるくらいなら、あの作品であげておけば良かったのに」なんて揶揄されることがしばしばあるのです。
    本書を読んでいて面白いのは、たとえば、今や不動の人気を確立している宮部みゆきあたりも直木賞では散々苦労してきたということ。
    その宮部の選考に当たった、今や大家の五木寛之なんかは、柴田錬三郎に推奨されながら第1回候補作「さらばモスクワ愚連隊」で受賞を逃していますし、すんなりと受賞したなんていう作家の方が稀のようです。
    自分が過去に読んできた本が、直木賞ではどういう評価を受けたのかというのも本書を読む醍醐味でしょう。
    自分は近年の直木賞受賞作家ですと、東野圭吾や奥田英朗、石田衣良なんかが好きでよく読んできましたが、彼らの候補遍歴を辿るのも一興です。
    その中で、「虹の谷の五月」で受賞した船戸与一の話題が出ていました。
    これは直木賞の選考ではないですが、福田和也が船戸の「砂のクロニクル」をこき下ろしていることを知って愕然としました。
    あと、山田詠美は芥川賞の受賞者だとばかり思っていましたが、直木賞だったのですね。
    いや、これはうっかり。
    いろいろ勉強になりました、はい。

  • ブログに掲載しました。http://boketen.seesaa.net/
    この奇妙な情熱。しかも冷静でまっとうな叙述。
    川口則弘は「私は特定の小説や作家より、ひとつひとつの文学賞にこそ、深い愛着と関心がある」(あとがき)という。
    不思議な愛着と関心だ。ものごとの順番がひっくりかえっている。
    おもしろい小説がある。冴えた作家がいる。そうなれば追っかけて読む。あきればやめる。
    別に賞をとったかとらなかったかは関係がないし、関心もあまりないというのがふつうの小説好きではないのか。…
    「なかでも直木賞が、とびきり好きだ。いつも直木賞のことを思いながら生活している。」
    この言葉がウソでないことは、彼がつくっている「直木賞のすべて」というWebサイトで実証されている。http://homepage1.nifty.com/naokiaward/

  • 「無名もしくは新進作家の大衆文芸中最も優秀なるものに呈す」として生まれた「直木賞」しかしその顕彰する範囲は時に《文芸》に寄り、時に《作家の実績》に寄り、他の文学賞を受賞しない作品を掬いあげたりと【ブレ幅】が大きいためにその趣旨を読みきれない文学賞であるが、第1回から第149回までを見回すことによって何に授賞したかよりも何を落したか、何に授賞しそびれたかがよく見えてくる。
    ブレ幅の大きい賞でははるがただ一つはきりと判るのは「読者の立場は取らない」という姿勢だ。

  • 選考委員、特に渡辺淳一氏が鍵を握ってたんかしらと読み終えたところに訃報が。

  • 直木賞の歴史を網羅。芥川賞の影に隠れていた直木賞の存在意義や度々起こる騒動など、直木賞を知るための教科書のような一冊。なぜあの作家が直木賞をとれないのか、何度も落選したのか、はっきりとした意図は見えないが、うっすらと見える選考委員の思惑。「本屋大賞」が生まれた理由がそこにある気がした。

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直木賞物語の作品紹介

すべての職業作家が焦がれる直木賞。その第1回から第149回までの候補作と受賞作、選考過程に関わる資料を丹念に調査し、書き下ろした本邦初の大労作ノンフィクション。

直木賞物語はこんな本です

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