プレカリアート: デジタル日雇い世代の不安な生き方 (新書y 181)
- 洋泉社 (2007年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862481986
作品紹介・あらすじ
日本のフリーター数は四〇〇万人を超え、非正規雇用者数は一六〇〇万人を突破した。若年フリーター層の平均年収は、一〇六万円である。ネットカフェ難民や若年ホームレスに転落した者が正規雇用者となる道は、なぜ閉ざされてしまったのか-?不安で曖昧な日本の未来を予見する「プレカリアート問題」の実態に肉迫する渾身の一冊。
感想・レビュー・書評
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知っているつもりで知らなかった事実をたくさん知りました!
一見現実的で難しい内容かと思いましたが、案外読みやすかったです。思ったより3倍くらい興味深い内容でした。
フリーターという肩書きだけで企業からはもちろん、世間からも悪い印象を持たれてしまう。フリーター経験がある、というだけで採用しない企業があまりにも多かった。対面することもなく、切り捨てる。
これは仕方のないことだけれど、 フリーターは必ずしも意欲が無いわけでも努力不足なわけでもないということを知ったと同時に、彼らに対する知識がまだまだ世の中に浸透していないことが残念だと思いました。
5.6章の座談会や対談を読み、自分はどう考えているのか、知識が浅いなりに問題と少しは向き合えたかなと思います。
本書を読み、まずは知る。
現状を改善するには知ることが第1歩だと思ったので是非。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
正直、格差とか貧困とか派遣とかネカフェ難民とか
そういう問題からは目をそむけてきたところがあって。
これが初めての本なんだけど、「働きたくても働けない」ってとても怖いと思った。
企業が使い捨ての便利さを覚えてしまった、っていうとこあたりも、とても恐ろしい。
しかも、就職氷河期時代に就職できなかった若者たちが今、フリーターになってるっていう。
わたしが就活するときも、氷河期って言われてるっていう。
恐ろしすぎるんですが。
これらの本を他に読んだことがないから、
ここに書かれてることだけを鵜呑みにするのは良くないと思うけど
初心者でもすごくわかりやすかったし、すごく考えさせられた。
ゲストハウスの話や座談会、都知事との対談とかすごくよかった。-
「鵜呑みにするのは良くないと思うけど」
雨宮処凛は、週刊金曜日やビッグイシューと関わって頑張っているのは確かです。。。
真実は見えないように...「鵜呑みにするのは良くないと思うけど」
雨宮処凛は、週刊金曜日やビッグイシューと関わって頑張っているのは確かです。。。
真実は見えないようになっているので、疑って掛かるのは正しい生きる道ですよね!
http://www.kinyobi.co.jp/
http://www.bigissue.jp/2013/01/09
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格差が拡大し、ごく少数の勝ち組以外は非正規雇用で明日なき戦いをかろうじて生き延びるか、運良く正規雇用されても酷使され心を病んでいく・・・ 新自由主義がもたらしたものがいかに悲惨で実りのないものだったか、それにもかかわらず公的には「この道しかない」として路線修正のきざしはない。
実質年収は下がり続け、労働時間だけ増え続ける現状では供給に見合った需要は望めず、いつまでたってもデフレから脱却できず自分たちの未来像を描くことは困難。
その中で局地的に発生している対抗運動も先細りの印象があるのですが・・ 新たな対抗の論理が必要なのでしょう。 -
昔、読んだな。今、思い出した。
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さあこんな社会に適応できるような人間に、どうやって教育しようか。
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高円寺の松本さんってどうなのか、まずそういうところから考え直してみてはどうか。これにはあらゆる問題群がふくまれているようにみえる。
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プレカリアートとは、「不安定な」という意味を表すプレカリオと、「プロレタリアート」をくっつけた造語で、「不安定な雇用・労働状況における非正規雇用者・失業者を総称していう」のだそうだ。
でも前半は「ネットカフェ難民と貧困ニッポン」と重なる部分が多かった。
後半は、石原慎太郎東京都知事との対談が載ってたりして、ワケ分からない展開だけど、220頁からの「終章 プレカリアートの不安で曖昧な未来」はなかなかおもしろかった。
団塊の世代の子供世代が不安定雇用にさらされているのは、単にバブルがはじけたあとの不況で就職できなかっただけでなく、「彼らをアルバイトなどの流動雇用形態の労働力として、言い換えれば労働力需給調整の緩衝帯(バッファ)として活用すれば、親にあたる団塊世代の雇用は維持できる」(経済企画庁の報告書「二十一世紀のサラリーマン社会」1985年)という明確な目的を持って仕組まれていたというくだりだ。(220頁)
ああ、これってどっかで読んだ議論だなと思ったのだけれど、どの本に書かれていたのかは忘れてしまった。
確かに私の会社の人員年齢構成を見ても、平成23年度退職くらいまでの年齢層が一番厚くて、そこをどう乗り切るかにきゅうきゅうとしている。この年代の首を切れない代わりに新卒採用を手控え、いわゆる契約社員や派遣社員で乗り切ろうというのが会社の魂胆だ。
そして、もう一つ興味深く読んだのが
「「一人で生きてきた」ような顔をしている人たちのほとんどは、日本型の社会保障機能(企業と家族)に頼って生きてきたのだ。現在起こっているのは、その企業と家族の持っていた社会保障機能が、急速に低下してきたという事態である。」
「国家に頼って生きる人間(ここでは生活保護を受けることを指している)を「甘えている」というのであれば、団塊の世代を含む企業戦士たちも立派に企業に「甘えて」生きてきた」(湯浅誠・仁平典宏「若者の労働と生活世界」)との指摘だ。
いずれも雨宮さん以外の人の書いたもので、そういう意味ではこの本は引用だらけだったり、石原慎太郎東京都知事とのしょうもない対談にけっこうなページが割かれていたりしてちょっと安易な書き物という印象を受けた。ただ、「貧困」の問題に社会の関心を集めるという意味で「プレカリアート」というこの本の題名はよくできていると思った。
books91 -
かつて「雨宮処凛」という作家の名前を初めて知ったのは、何かの雑誌インタビュー記事だった。内容はと云えば、彼女が「プレカリアート」という言葉を日本に広めた作家ということだったと記憶する。新書「プレカリアート」(洋泉社)にはその言葉の「プレカリアート」の定義や誕生、実態等について詳述されている。その後、彼女に関心を抱きつつ何編かの小説作品に接していたが、独特の癖のある情念的な描写が気にかかっていた。
今回読んだ「排除の空気に唾を吐け」もまた、極めて情念的なタイトルがまず鼻について仕方がなかった。ところが読み進めていくにつれ、そこにレポートされている迫真性に、まさしく気圧されてしまったのだ。
この新書を通してレポートされているものは、現代日本のいびつな姿に他ならない。その切羽詰った現状を思い知らされたと云っても過言ではない。
新書全編を通して、職を奪われ、生存を奪われ、排除されていく、行き場のない人々の姿がつまびらかにされていく。中でも驚きに耐え難いのが、加藤智大(秋葉原連続殺傷事件の犯人)と造田博(池袋通り魔事件の犯人)とに関するくだりである。両者はともに労働の現場で疎外を受けていた。「疎外」という言葉はおいらが青春期の頃によく使っていた言葉ではあるのだが、現状はそれ以上に深刻である。生存を脅かせるくらいの「排除」が進行しているのだ。驚くことに両者は同じ派遣会社(日研総業)と派遣先(関東自動車工業)に身を置いていたことがあるということなのだ。
当初はおいらも情念的だと考えていた「排除」という概念が、とてもリアルな現実的事象に感じざるを得なかったのである。そして今なおこの流れは止まることがない。その大きな流れを作り出したのが、小泉純一郎と竹中平蔵による自由主義的経済政策であり、当時の内閣が負う全ての政治的政策であったことを記しておく。小泉・竹中流の「自己責任論」が招来した悪しきしわ寄せの数々の実例を、これでもかこれでもかと提示していく。そんな作家の筆力には脱帽の思いである。 -
[ 内容 ]
プレカリアート【precariato】「Precario(不安定な)」と「Proletariato(プロレタリアート)」の造語。
不安定な雇用・労働状況における非正規雇用者・失業者を総称していう。
日本のフリーター数は四百万人を越え、非正規雇用者数は一千六百万人を突破した。
若年フリーター層の平均年収は百六万円である。
ネットカフェ難民や若年ホームレスに転落した者が正規雇用者となる道はなぜ閉ざされてしまったのか――?
不安で曖昧な日本の未来を予見する「プレカリアート問題」の実態に肉迫する渾身の一冊!
[ 目次 ]
第一章 なぜプレカリアートは急速に増加し続けるのか
第二章 「貧困ビジネス」が若者の日銭を搾取する
第三章 プレカリアート吼える!~若者たちの反撃~
第四章 黙して語れぬプレカリアートの声なき叫び
第五章 就職氷河期世代の逆襲!
第六章 「都知事公認暴動」を繰り広げよ!
終章 プレカリアートの不安で曖昧な未来
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
グラフなどもあり詳しくプレカリアートの情況について説明されている。
特におもしろかったのは、5章と6章。
5章では、フリーター2人と、正規雇用者1人、フリーター世代の母親1人と雨宮処凛+編集者が対話をしている。
フリーターと正規雇用者、フリーターと母親世代の間にある大きな断絶が浮き彫りになっている。
譲らない両者。
特に母親は全くもって譲らない。
年寄りの嫌なところが出ている。
6章では雨宮処凛さんと石原慎太郎が対話する。
ここでも、両者の間に断絶はあるが、雨宮さんが譲る場面も見せる。
石原慎太郎の対談の上手さ、ここでいう上手さとは自らの論の正当化の上手さ、がでている。
非常におもしろい。
石原慎太郎は暴動を許す。
見えていない、見ていない部分があるのは非常にわかった。
勝ち組の理論がここにはあった。