「炭素会計」入門 (新書y 193)

著者 :
  • 洋泉社
3.46
  • (3)
  • (2)
  • (7)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 42
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862482600

作品紹介・あらすじ

二一世紀の環境危機は、これまでの公害や環境問題とわけが違う。公害は、有害物質が排出され被害が生じる問題だから、有害物質を出さないようにすれば解決できた。だが、地球環境の危機は、地球が暖まるという問題だ。エネルギーを消費する限り、熱が発生し、炭酸ガスなど温室効果ガスのせいで、大気圏に蓄積していく。これを防ぐ唯一の方法は、炭酸ガスの排出を大幅にカット以外にはない。不平等条約である「京都議定書」の失敗を繰り言のように並べるのではなく、省エネ大国・日本だからこそできる「炭素税」「炭素会計」「炭素隔離技術」のプランを大胆に提言し、日本発の国際標準こそ日本のビジネスチャンスを広げる道であることを明らかにする。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【由来】
    「さようなら、ゴジラたち」で言及されてた。

    【期待したもの】
    ・「宇沢弘文のメッセージ」を読んでて気になった。

    【要約】


    【ノート】
    ・宇沢さんへの言及はなさげ。サラリと目を通したけど(10分程度で)、ちょっと浅い印象。

    【要約】


    【ノート】

  • (大学時代に書いた書評が出てきた)

    「炭素会計」とは、個人や企業のどんな経済活動がどれだけ炭酸ガスを排出したかを計量し、それぞれの部門や経済主体ごとに集計してその責任を明らかにするものである。そして筆者はこの炭素会計を、毎年度個々人に割り当てられた炭酸ガス排出量に基づき、基準を超えていれば課徴金を支払い、下回っていればボーナスをもらう、という仕組みとして運用されるべきだと主張する。

    分解できない炭酸ガスを原因とする地球温暖化が今までの局所的な環境問題とは質が違うという説明は納得がいき、炭素会計の導入(本書によるとイギリスではすでに検討されているようだが)も今後必要であるように感じた。

    ただ、本書は「炭素会計入門」という名を冠しているが、筆者が地球温暖化問題について執筆した雑誌掲載論文を集めたものであり、炭素会計に関する記述はそれほど多くはない。中心となる記述はこれからの温暖化社会に日本が取るべき国家戦略の提案であったと思うが、ばらばらの論文であるせいか一冊通して読んでも要点をつかみにくい本であった。

    本書は洞爺湖サミット前に出版されたものである。洞爺湖サミットでは福田首相が筆者の求めるようには国際社会をリードできず、その福田首相も辞任してしまったが(ちなみに第一章の政策提案は安倍首相に対してなされていました)、本書が提案するような2100年までを見据えた温暖化対策を本気で考える政権がいつ日本に現れるのだろうかと気になるところです。

  • [ 内容 ]
    二一世紀の環境危機は、これまでの公害や環境問題とわけが違う。
    公害は、有害物質が排出され被害が生じる問題だから、有害物質を出さないようにすれば解決できた。
    だが、地球環境の危機は、地球が暖まるという問題だ。
    エネルギーを消費する限り、熱が発生し、炭酸ガスなど温室効果ガスのせいで、大気圏に蓄積していく。
    これを防ぐ唯一の方法は、炭酸ガスの排出を大幅にカット以外にはない。
    不平等条約である「京都議定書」の失敗を繰り言のように並べるのではなく、省エネ大国・日本だからこそできる「炭素税」「炭素会計」「炭素隔離技術」のプランを大胆に提言し、日本発の国際標準こそ日本のビジネスチャンスを広げる道であることを明らかにする。

    [ 目次 ]
    第1章 ポスト京都議定書の戦略を構築せよ(ポスト京都議定書に各国がいっせいに動き出した 洞爺湖サミットは環境危機が最大テーマ ほか)
    第2章 グリーン・ジャパンに舵を切れ(新しい時代の幕開け 求められる合意形成とは ほか)
    第3章 「炭素会計」が、温暖化対策の切り札だ(わずか数十年分しか大気中の炭酸ガスをふやすことができない 炭酸ガスの総重量を人類は管理できるか ほか)
    第4章 温暖化の国際戦略はこれだ(温暖化の国家戦略なき日本 技術競争力こそ唯一の活路 ほか)
    第5章 「低炭素文明」建設には日中の協力が必要だ―胡鞍鋼VS.橋爪大三郎(食品の安全性をどう高めるか 世界でもっとも果敢な削減計画 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 炭素の話も会計の話もないけど思想として、指針として非常に面白いし、この軸で様々な制度を再構成したらどうなるだろうかとイマジネーションがあふれる一冊。

  • 地球温暖化の主原因である炭素に特化した対策として炭素削減法を大胆に提案している。炭素税などもそろそろ受け入れられていい時期に来たかなという印象を受けた。本当に効果のある対策は何か、新しいパラダイムは何かを考えるきっかけとして◎。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう):1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京大学大学院社会学部究科博士課程単位取得退学。1989-2013年、東京工業大学で勤務。著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『教養としての聖書』(光文社新書)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『中国 vs アメリカ』(河出新書)、『人間にとって教養とはなにか』(SB新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)など、共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『おどろきのウクライナ』(以上、講談社現代新書)、『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)などがある。

「2023年 『核戦争、どうする日本?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

橋爪大三郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
J・モーティマー...
ミヒャエル・エン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×