- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862482723
作品紹介・あらすじ
戦国時代、大名たちが苦心したのは有事の際の軍需物資の確保だった。なかでも木材、竹は重要で、築城はもとより、武器、武具、柵、旗指物、篝火、戦場での炊事用の薪といったように、戦略・戦術上必要不可欠なものだった。戦国大名は、領国内の木材を確保してはじめて合戦が可能となった。しかし、無制限に伐採をおこなうと森林資源は枯渇してしまうため、領国内の森林の管理は、戦国大名にとっては極めて重要だった。武器、武具や築城などに必要な森林資源を戦国大名たちがどのようにして確保、管理したのか?いままでにないまったく新しい側面から戦国合戦像を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
この本を読むと昔の日本は何をするにも木が重要な存在だったと理解できたよ。今で言えば石油のような化石燃料が該当するんだろうけど、木の方が植林などで比較的に短いサイクルで取り戻すことができることが違いかな?
そして感じたことは戦争はいつの時代でも消費を加速させるということだ。管理しているとはいえ、一度に伐採された場所では治水などにも大きな影響を与えていたみたいだ。
そして面白かったのは頻繁に使用されるものには自然と規格が出来上がるのはなかなかに面白かった。柵を作るための材木の長さや太さ、舟橋を掛ける木の板の大きさなどが定まって行くのは面白かったよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言われてみれば、戦争には大量の物資が必要であり、戦国時代なら木材だった。
その木材がどのように調達されていたのかを戦国後期の資料を元に書かれた本で、類書があまりないので面白かった。 -
戦国時代における軍需物資。特に木材の管理について各大名がどのように苦心していたかという話。面白かったのが、資源の確保と同時に過度な伐採の禁止などの管理に踏み込んでいた点で、戦国時代の違う一面を見る事ができるだろう。
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古本で購入。
タイトルに釣られて買ってみた。
物資や輸送などの兵站好きにはたまらん1冊。
ただし中身を確認しないと肩透かしを食う人もいるかと思われる。
理由は大体2つ。
第1に、本書で扱う「軍需物資」が主に竹木などの森林資源であること。
だから鉄や火薬なんかを期待するとガッカリするかも。
第2に、具体的な合戦などの“派手な”描写が少ないこと。
主眼は大名が如何に森林資源を確保し、用い、保全したかにある本なので、非常に地味。
帯の長槍持った足軽のイラストに騙されちゃいかん。
などと書き連ねてみるけど、これ、おもしろい。
「はじめに」で筆者が言うように、合戦に使われる武具に陣の防御柵、旗指物に篝火に炊事にと、いくらあっても足りないほどに竹木が使われている。
こういう部分って、何だかんだで見逃してる気がする。言われてみれば当たり前すぎるんだけど。
ドラマなんかで合戦シーンだけ切り取られて見せられるから、一種の盲点みたいになるんだろうか。
竹木を確保する山林を設定し、責任者を任命して調達をスムーズに行わせる。
その一方で、民も当然それらを必要とするので伐採を許可したり、民どうしの竹木伐採に関する争いを調停したり、いい山林を持つ寺社と交渉したり…
戦国大名の領国経営って(当たり前だけど)本当に多岐にわたってる。
ドラマや小説で流布した「野望のために戦に明け暮れる」みたいなイメージは、少しずつ訂正しないといかん。
地味だからそうそう反映されないんだろうけど。
しかし何より驚きなのは、戦国大名による植林。
荒れた(「褪せる」とか「透く」とか言ったらしい)山に育成した苗木を植えたりすることで「はやす」。
伐採の抑制策を採るとともに、こうした活動を通じて資源管理をおこなおうとしたわけだ。
各地における山林利用や城塞の構築などを通じて、戦国期に急激な自然環境の改変がなされた。
「時代状況の変化により、環境は多大な影響を受けてきたのであり、それらを歴史的に位置づけるのは現在の環境問題を考える上で、重要な問題であると言えよう」
戦国時代のマニアック分野について本かと思いきや、現在進行形の環境問題を考えさせる。
歴史学が「いま」に対して意味を持つってのはこういうことだね。 -
2009.10.08
ずっーと木の話。途中で飽きちゃって三章半ばで挫折。 -
戦国期の小田原北条氏の資料を基に、軍需物資(主に木材の調達・保護)について、解説された本。
木材がなければ生活が成り立たないという感覚は、現代を生きていると判らないものではあるけれど、その種類や用途の豊富さ、重要性に気づかされると、改めてその土地の意味や、治めるために必要な手腕なんてのも考えさせられたりして、とても面白かった。
なにより、リーズナブルかつ、一般の手に取りやすい形で、こういった内容の本が刊行されたことが、嬉しい。