沖縄幻想 (新書y 219)

著者 :
  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862482945

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  • かつては「癒やしの島、長寿社会」として知られた沖縄が、最近では乱開発による貴重な自然遺産破壊や男性の自殺率の高さなどで有名に。(でも沖縄のオバアは強い!)また、地政学的要衝の地として米軍基地を抱え込む見返りに全国一の補助金を受け取るが、貧困率は全国一。沖縄の補助金で潤うのは土建屋だけと揶揄されながらも、沖縄県民の8人に一人が建設関係者という理由から表立って反対できない村社会。(「オール沖縄」というスローガンも同様)
    地場産業を守るため、みずほ銀行以外の都市銀行が存在しないとか、オリオンビールや泡盛の酒税優遇なども本土からの企業誘致の障壁となっています。
    そして親戚同士の助け合い組織(ゆいまーる)があるので、失業や離婚もへっちゃら。
    政府補助金をハコモノではなく、基幹産業育成や職業訓練など将来に残る資産としてなぜ投資しなかったのか?なぜ沖縄には、基地反対運動しか支持しないメディアしか存在しないのか?遅まきながら、沖縄県民(特に若者)も沖縄を仕切る社会に構造的欠陥があるのではと疑い始めてきました。
    一方では、高い出生率や県外からの移住者など人口減に苦しむ他県から見れば、羨ましい環境をいかに活用するのか、あいも変わらず基地問題で県民の分断を図るよりも一致団結して沖縄の未来をどうするのか、まさに県知事の手腕が問われています。
    本書で、沖縄の抱える問題をおさらいしておきましょう。

著者プロフィール

奥野 修司(おくの しゅうじ)
大阪府出身。立命館大学経済学部卒業。
1978年より移民史研究者で評論家の藤崎康夫に師事して南米で日系移民調査を行う。
帰国後、フリージャーナリストとして女性誌などに執筆。
1998年「28年前の『酒鬼薔薇』は今」(文藝春秋1997年12月号)で、第4回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。
2006年『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で、第27回講談社ノンフィクション賞・第37回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
同年発行の『心にナイフをしのばせて』は高校生首切り殺人事件を取り上げ、8万部を超えるベストセラーとなった。
「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」は25年、「ナツコ 沖縄密貿易の女王」は12年と、長期間取材を行った作品が多い。
2011年3月11日の東北太平洋沖地震の取材過程で、被災児童のメンタルケアの必要性を感じ取り、支援金を募って、児童達の学期休みに
沖縄のホームステイへ招くティーダキッズプロジェクトを推進している。
2014年度より大宅壮一ノンフィクション賞選考委員(雑誌部門)。

「2023年 『102歳の医師が教えてくれた満足な生と死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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