- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862483874
感想・レビュー・書評
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業界を20年以上見てきたトップアナリストが日本の大手総合電機、大手総合家電を過去から未来にかけて中長期で分析しています。
まだ日本が「電子立国」などと言われていた90年代前半に電子工学科を卒業したクチで、大学時代の友人にはここに出てくる会社に勤めているのも多いので、この業界の行方はとても気になります。この本の中に出てくる電機業界の7つの「低」 - 成長率が低い、シェアが低い、株価が低い、給料が低い、学生の人気が低い、学生の学力が低い、- について、電子工学科が工学部の中で最も人気がない学科になっていると聞くと、少々暗澹たる気持ちになります。(東京大学の「進振り」で定員割れになっている、ということも書かれています)
「90年頃までの累計では、総合電機は株式市場から最も多くの資金を集め、設備や研究に投資し、また多くの優秀な人材を集めたが、それにもかかわらずその結果が低い収益性や低い成長である。.... 総合電機というシステムを見た場合、驚くべき「ベストインプット」と「ワーストアウトプット」の「装置」となっているのである。」と言われると、本当にもったいないなあ、と思います。
筆者は「累積EPS」を総合電機の長期の成績を見る指標として適当として分析していますが、10年の累積を見ると、これが日立、NEC、富士通は大きな赤字になっています。これは、ショックな結果です。
個々の企業の分析や、多様な切り口からの数字を使った分析など、読み応えがあります。総合電機、総合家電の業界を勉強するにとてもよい本。この10年も色々な事業統合がありましたが、この後も色々と動きがあるんだろうと思わせます。今のところそれほど明るいとは言えないですが。
また、参考として載せられた報知新聞の1901年1月に掲載された2000年ごろの技術の発展を予想した「二十世紀の預言」は、読む価値ありです。筆者もこれを見つけて、多くの人に紹介したかったんでしょうね。詳細をみるコメント0件をすべて表示