偶然入ったBook Barで、たまたま見つけた本。
こうした出会いは楽しいもの。
また、内容も、街を歩いていて、たまたま出会った、なんの変哲もない「壁」を、写真的技巧は特に用いずに素直に写し取ったもの。だけど、どうにもこうにも目を引いてしまうのは、それこそ、作者の感性に他ならない。
「壁」全体を撮ったものは少ない(いや、ほとんどない)。一部を切り取ったに過ぎないけど、だからこそ、どの部分を、いかに切り取るかはすべて作者の意思だ。
フレーミングが秀逸で、色彩バランスに富んでいて絵画作品のような趣がある。質感の捉え方も巧いなと思ったが、どうりで、テキスタイル作家としての活動歴もあるようだ。見返し(きき、遊び共)にさりげなく布っぽいというか不織布っぽい紙を挟んでいる装丁も作者のセンスなのではなかろうか。
ジャクソン・ポロックの絵のようだと思って見てると、後半に「名画」と題して、数枚の作品が並べて掲示しているページもあり、クレイ壁、ポロック壁、キーファー壁と銘打ってある。だよねー笑
経年劣化も含め、味わいのある壁の表情たち。これから、街歩きの時には、ついついいろんな壁を眺めてしまいそうになるだろうな。