村人の城・戦国大名の城 (歴史新書y) (歴史新書y 3)

著者 :
  • 洋泉社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862485458

作品紹介・あらすじ

城郭は、食糧備蓄や民衆の緊急避難の場だった!村人と戦国大名の知られざる世界。

感想・レビュー・書評

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  • 古本で購入。

    小田原北条氏の領国支配を支えた北条氏照にスポットを当て、彼が拠城とした滝山城・八王子城を例に「地域国家」支配の様相や敵国との境目となる峠、村人の避難場所としての城郭などを見ていく。

    広大な版図を有する大大名と言えど、「峠」という重要地点に勢力を持つ土豪たちに気を遣いながら掌握しなければならない、というのはおもしろい。
    峠のあちら側とこちら側の双方に良い顔をしながら有事の際には利益になる方に付くそのしたたかさ、規模としてはちっぽけな彼らが握るキャスティングボート…うーむ、いいね。

    戦国時代の実際の戦争はドラマや映画で描かれるような華々しさとは実はまるで無縁だ、というのは最近になって一般向け書籍でも取り上げられ、少しずつ知られて来ている(と思う)。
    ルイス・フロイスが書き残したように、当時の戦は「小麦や米や大麦を奪うためにおこなわれ」、非戦闘員の女子供は生け捕られ売買された。
    要するに食糧獲得手段のひとつであり、財産を持てない次男三男たちが傭兵となって一稼ぎする場でもあった。
    だからこそ、戦が始まれば財産を地中に埋め、捕まらぬよう殺されぬよう避難場所たる城へ逃げ込んだ。時には自ら防衛もした。
    そうした「村人の城」が実はあちこちにあった、というのが本書のテーマになっている。

    ところで略奪遠征の最たるものと言えば上杉謙信の関東侵入だと思うのだが、そろそろ「義のために」とか正義ヅラで描かれるこやつのイメージを覆す映像作品が出てきていい。

    主な舞台が八王子を中心とした東京西部で、地理的感覚があまりないのでイメージに苦労するが、北条氏ファンにはたまらない1冊。
    大河ドラマや歴史を題材にしたバラエティなんかに飽き飽きしている人向け。
    誤字脱字がちょっと多い気がするけど、まぁそのへんは。

  • すごい良かったです。感動しました!

  • [ 内容 ]
    城郭は、食糧備蓄や民衆の緊急避難の場だった!
    村人と戦国大名の知られざる世界。

    [ 目次 ]
    1 北条氏の領国支配と氏照の「地域国家」支配
    2 聖なる城・氏照の拠点滝山城
    3 境目の番城・「滝の城」と郷村支配
    4 年貢米の保管場所・沢山城と江ノ島
    5 甲武国境を守る桧原村の武装集団
    6 甲武国境の逃亡者の「たまり場」―小河内村・小菅村
    7 境目の城・津久井城と三増峠合戦
    8 氏照はなぜ八王子城へ移転したのか?
    9 城と避難場所、そして、疫病への恐怖
    10 地域国家建設の夢破れる

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 北条氏照の居城である滝山城と八王子城から、氏照と関係した土豪の城まで、領国経営と関連付けて詳しく説明している。北条氏の主家ではなく、あえて一門衆の領国経営に着目しているところが素晴らしい。本書を片手に、さっそく沢山城を探索してきた。このように「使える本」でもある。

  • 2010.04.25 日本経済新聞に紹介されました。

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