戦国関東の覇権戦争 (歴史新書y)

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著者 : 黒田基樹
  • 洋泉社 (2011年6月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862487643

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戦国関東の覇権戦争 (歴史新書y)の感想・レビュー・書評

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  • 戦国遺文を傍らに置き読みたい本。
    著者は後北条氏・武田氏をはじめとする戦国史研究者であり、戦国遺文編纂にも携わっていて、そうした古文書解読と年代比定作業を経て、関東戦国時代における動向を叙述しているのが本書だ。
    伊豆・相模に扶植し、そこを根拠地と定めて戦国大名として名乗りを上げた伊勢氏綱。その後の氏康・氏政時代を通じ関東を中心とした抗争は上杉氏との戦いでもあった。扇谷上杉氏、関東管領・山内上杉氏との一連の覇権争いの中で、関東管領=関東の副将軍に対抗し、「伊勢」名字から「北条」名字=日本国の副将軍にも名字変更や、関東公方や鎌倉・鶴岡八幡宮への取り込みなど政治的な動向も大変に面白い。
    扇谷上杉氏・山内上杉氏没落後、越後・長尾景虎が山内上杉氏を襲名して、北条氏康は果てしない上杉謙信との覇権抗争を繰り広げる。
    本書を読む限り、氏康はかなり多方面で苦慮・失策しているように見えるが、客観的に後北条氏勢力は拡大しているので、やはり優れた人物だったのでしょうかねぇ~?(笑)
    甲斐・武田氏、駿河・今川氏、安房・里見氏、常陸・佐竹氏をはじめとする戦国大名との同盟・戦争の繰り返しや、大名間の狭間で敵味方を往復する国衆の動向、戦国大名の村への影響力など、戦国関東のあらましを後北条氏と上杉氏との覇権抗争を軸に、詳細にかつダイナミックに再現されていてとても面白かった。古文書を時系列的に再現している部分も多いので、こうした歴史のトレースに興味のない方は少々退屈かもしれません。(笑)

  • 腹筋に候

  • 後北条氏関連の書籍は1000円前後の良書も意外と多い。(860円) 北条五代、上杉、武田、佐竹、里見との関係などがよく解る

  • Lv【初心者】
    ・室町関東の動乱が終わって、関東の戦国へ?
    ・後北条氏はどうやって山内・扇谷上杉氏を駆逐していった?

    俺が死んだ後の、扇谷上杉氏と山内上杉氏のその後とが物凄く良くわかる良書だ。
    初心者にもあんしんだし実際やすい。
    おいおい…まさか、本当に『当方滅亡』かよ

  • 関東の抗争史にこそ、戦国時代の本質は隠されている! 関東の支配権をかけた北条対上杉の55年にわたる抗争を描き出す。
    関東の支配権を賭けた二大勢力の抗争史。戦国大名を支えた「国衆」の視点からみた異色戦国史(2011年の刊)
     プロローグ「日本の副将軍」VS「関東の副将軍」
     第一章 北条氏綱と両上杉氏の抗争
     第二章 北条氏康と両上杉氏の滅亡・没落
     第三章 上杉謙信はなぜ関東に襲来したのか?
     第四章 「国衆」が左右する関東戦国史
     第五章 国衆を困惑させた「越相同盟」
     第六章 信玄の猛攻と北条氏の危機
     第七章 北関東の攻防線と謙信の死
     エピローグ 消滅した「関東の副将軍」

    本書は、北条と上杉の対立を軸に、今川、武田を絡めて関東の覇権戦争を描いているが、国衆の動きにも重きを置いている点が面白い。(ここら辺、丸島先生の著作も含めて、研究史の流れを感じる。)

    以下、気になった点を備忘的に、

    「他国の逆徒」であった伊勢氏が古河公方を推戴し北条氏を名乗る事により権威を高めようとする。それには効果があったようであるが、名字を変えるだけで効果があるのかという気もする。関東管領への就任、古河公方家との婚姻により家格を高めたにしろ、多くの国衆からなぜ支持を得る事が出来たのか疑問に思うところである。

    三国同盟の破綻。氏真室が徒歩で逃げた事が、北条氏の怒りを買ったという理解でいたが、本書を読むと、駿河侵攻事態が北条氏の面目をつぶしたという順番のようである、順番が逆であったか。
    武田信玄の猛攻により蒲原城は落城し城将北条氏信以下城兵のほとんどが戦死する。氏政は「余りに恐怖」し、薩垂山の陣は崩壊する。北条は武田との同盟を模索する。

    越相同盟により、謙信と佐竹家、里見家の関係は疎遠になり、それぞれ自立路線を選択する。やがて佐竹家を中心とした反北条勢力が結集することとなる。御館の乱においても氏政は鬼怒川沿岸に釘付けされており、景虎を十分支援する事が出来なかった。

  • 関東の覇権を争う二大勢力、山内上杉氏と北条氏を軸に戦国時代の関東の国衆の動向を描く。戦国時代の支配の基本単位を国衆と捉えて、その離合衆参が戦いの帰趨を左右した。戦国大名の外交や戦争、権威の利用も彼らに規制されていた。

  • 戦国時代における関東地方の政治情勢の変遷を、北条氏と両上杉(山内上杉・扇谷上杉)氏を軸に解き明かす本。武蔵・上総・下総・常陸・上野・下野の国人衆が、北条氏と上杉氏への従属と離反を繰り返す様子が、事細かに再現されており、読んでいて飽きない。よくここまで分かりやすく整理してくれたと思う。
    しかしまあ、関東地方で戦国大名をやっていくのは、とてつもなく奥ゆかしくて面倒臭くて、えらいことである。関東管領とか古河公方とか、ただの建前上の存在で、実務上はどうでもいい存在なんだけど、それを無視したり軽んじたとみなされると、国人衆の空気を乱して支持を失ってしまう。そして、関東ローカルで繰り広げられた建前上の辻褄合わせに政治パワーを使い果たしてしまい、急速に進んだ中央集権化にまったく対応できず、「御館の乱」以降の関東諸勢力はすべて負け組になってしまった。…と後知恵でまとめるのは簡単だけど、大きな歴史の流れに逆らうことはできないから、彼らにしてみたらどうしようもなかったんだろうね。関東地方の国人衆は、鎌倉時代から続く武家の名門が多いという特殊事情も見逃せないし、ましてや、信長のような旧習無視のアナーキストが京都を乗っ取るなどという事態は想定できなくて当然である。

  • 北条氏綱の頃から謙信の死あたりまで約50年間の戦国関東史。前半は新興の北条氏が山内上杉氏を追い詰め、後半は関東管領の上杉を引き継いだ謙信が毎年関東に侵攻。北条も上杉も直轄化して領地を広げるより国衆を味方につけることで勢力範囲を競った。どちらも関東の副将軍として秩序の回復を目指した。 国衆は半独立の都市国家のようなものだから、容易に従属先を変えた。  織田-豊臣式の大名の家臣化と全国の統一方向で、この時代の関東を考えると、見誤るようだ。

  • 北条・上杉を中心に戦国時代の関東を書いた本。
    「北条目線」で書かれており、何かと北条に都合良く書かれている様に感じる部分が鼻につく。例えば北条が周りの関東国人勢力から関東管領として認知されていた様に書いていたり、北条は他国からの侵略者だけれど上杉も他国からの侵略者だと関東国人勢力から思われていた様に書いていたり…
    関東管領は京都の将軍が任命する事くらいは国人勢力も当然知ってたはずで北条は関東管領を「僭称」しているだけで誰からも関東管領とは思われていなかっただろうし、京都からの伊勢氏(北条)が余所者の侵略者と思われたのは当たり前だが、関東管領上杉一族の所領で昔から繋がりがあり距離的にもさほど遠くない越後の謙信が北条と同じ様に余所者の侵略者と思われたとは思えない。挙げ句の果ては、上杉の関東侵攻は食糧の確保の為ではないか、とか。
    時代をおって戦国時代の関東を丁寧に書いているが、上記の様な偏向がとても残念な本。

  • 大河ドラマ等で戦国時代はこれでもかというほど取り上げられるが、主人公や視点が変わりこそすれ、やはり信長・秀吉・家康を中心としたものが多く、せいぜい謙信と信玄の川中島ぐらいまでで、それより東、関東でその時何が起こっていたかは多くの人がよく知らないだろう。
    自分も本書でいうところのかつての(後)北条氏の領国内に生まれ育ちながら、断片的な城名・合戦名・家名を時折耳にする以外、それらがどう繋がるのかわかっていなかった。
    本書は、北条氏と上杉氏(後には山内上杉氏の名跡を引き継ぐ長尾景虎=謙信)による関東管領というポジションを絡めながらの覇権争いを軸に、その間で翻弄されながらも自らの生き残りをかけてしたたかに従属・離叛を繰り返し続け、両氏の間を行き来する国衆の行動を時間を追って詳細に記述している。
    それにしても、めまぐるしくも果てしない諜略・攻略・離叛・裏切りの歴史である。どの国衆がどの戦国大名とくっついて、裏切ってという記録が延々と出てくるのでストーリーとしてはあまり面白くはないかもしれない。
    でもそれらを通して、戦国大名と在地の中小国衆が互いに持ちつ持たれつの関係であり、またそれぞれの下には彼らを支える領民や村人がおり、決して有力大名や少数のカリスマだけが歴史を動かしてきたのではないリアルな社会状況が浮かび上がってくる。
    もちろんこの一冊だけで当時のことが理解できたとはいわないが、今までよりはこれらの合戦の舞台となった城跡(というより多少土塁が残っていたり、碑が立っているだけかもしれないが)等を見た時には感じるものがあるのだろうと思う。

    以下、個人的に思ったことやメモなど。
    *実は個人的に山内上杉氏や扇谷上杉氏、古河公方のことを知りたいというのもあり本書を読み始めたが、基本的に北条氏との抗争に関する記述中心で、それらがどういう家かという部分にはあまり触れていない。
    *大河ドラマ「天地人」を見ていた時、北条氏から人質として謙信の養子になった上杉景虎(玉山鉄二)の存在や御館の乱の際の武田氏の動きなどがよくわかっていなかったが、本書には北条・上杉・武田の抗争や同盟の経緯が詳述されているので今になって腑に落ちた。これこそ関東の情勢を反映した出来事であり、結果もそれを受けてのものだった。
    *ドラマなどでは戦国随一の「義の人」として人気の謙信だが、本書を読む限り北条氏や関東の国衆に対しては同盟を結んでも割と不誠実で、時に高飛車で感情的なことも言っていたようだ。それもまた一面だろうが、かえって人間的な意外性があって面白かった。それと意外と関東では常に勝っていたわけではないようだ。

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戦国関東の覇権戦争 (歴史新書y)の作品紹介

戦国時代の始まりも終わりも、実は関東の動向が基準になっていた。その歴史の中心にしたのが関東管領家上杉氏と北条氏だった。両氏の抗争史に戦国時代の本質が隠されている。

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