凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩

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著者 : 皆川典久
  • 洋泉社 (2012年1月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862488237

凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩の感想・レビュー・書評

  • いよいよ東京湾を跨ぐ東京ゲートブリッジが開通し「水の都」とも形容される東京。しかし、水は高い所から低い所へ流れるという事実からも分かるように、東京は山あり谷ありの起伏に富む大地なのだ。本書では窪地状の谷を「スリバチ」と命名し、ゴマでもするかのように褒めたたえている。

    著者は東京スリバチ学会の会長。この東京スリバチ学会、奇しくも団地団と同じ3人で活動をスタートし、現在は会員も増殖中とのこと。考えてみれば東京には谷のつく地名が本当に多い。山手線内だけでも渋谷、四谷、千駄ヶ谷、市ヶ谷、茗荷谷、神谷町、谷中など。他にも麻布、赤坂、麹町などは旧町名で谷町と呼ばれていたそうだ。

    本書ではこれらの谷に共通するポイントとして「スリバチの法則」というものが紹介されている。そのうちの一つは、「建物は地形の起伏を増幅するように立つ」というもの。これは、高台には高い建物が立ち、スリバチの底には地面にはりつくような低層高密度な街並みが広がっているということである。実はこれは東京に限った現象ではなく、世界各地の都市や集落で見ることができる普遍性のある現象であるそうだ。ちなみに、つい先日渋谷駅の超高層化計画の記事を見かけたのだが、スリバチの法則には真っ向から反しており、先行きがやや不安である。

    また後半では、東京における各エリア毎のスリバチ事情が、魅力たっぷりにレポートされている。図版や断面図も豊富であり、ついつい「書を捨て谷に出よう」となることは請け合いだ。

    地名とは自分とって身近なものほど、記号化してしまいがちなものである。地形やその由来を感じながら街を歩くことは、すなわち地名を身体化するということでもあるだろう。そんな好奇心に思い切って身を委ねてみると、身近な日常ほどいつもと違った風景に見えてくるのかもしれない。

  • 東京の、あの坂、あの川、あの窪地、
    なるほど、あれがスリバチ地形!
    (別名:谷戸)

    地形からくる湧水ポイントや、
    人の営みがどこに発展するのか、
    知る人ぞ知る地名の理由など、
    歴史的な背景についても描かれていて、
    地図のページに戻って見直しては
    「へえ〜、へえ〜!なるほどね〜!」を連発。
    目がランランとしてしまい、
    夜、眠れなくて困りました(笑)

    ときどき差し込まれている
    コラムもミョ〜に面白い…。
    著者の皆川さんを筆頭に、
    暗渠や、川筋をたどる研究家の方も
    いらっしゃり、世の中には
    どこまでいっても「深掘り」の方達が
    いるんだなあと感心しきり。

    面白かった!続編を切望します♪

    ※ちなみに、この本を読んで書かれた
    皆さんのレビューがまた素晴らしく、
    とても勉強になりました♪
    地形マニアはつながりますね〜!

  • 本の雑誌のレビューを見て購入。テレビのタモリ倶楽部やブラタモリのように地形を楽しみ、探索する本。
    予想以上に面白かった。

    中沢新一「アースダイバー」に似た内容かと思ったが、アースダイバーは沖積期の海面が高く、海がもっと奥まで入っていた頃の陸と海の境、ミサキの宗教的記憶が現代の神社や寺に繋がっているという論考だった。
    スリバチ学会では海が後退した後の時代、谷にある水源が水神として祀られていると論述される。同じ東京の凸凹を見ながら見透しているものや時代が違うのが面白い。

    スリバチ学会の陣容は判らないが、章の合間に著者以外の学会員(?)のコラムを挟む。神田川のトンネルの奥に大きな水の落下を確認したという文章にちょっと驚く。地名に名を残す小石川とのこと。
    この本の面白さの一つは、このような今は暗渠になった水の流れをスリバチの地図に示していること。沢山の川の流れが見てとれる。
    川の北側は急峻で南斜面は緩やかだとか、地名の言われなど、へ~と思うことが多い。「スリバチの空は広い」って名言だよ。確かに、谷地があるお蔭で東京の見晴らしが良くなっていると思う。
    他の場所のレポートも見たかった。吉祥寺の井の頭公園、府中~国分寺の野川、荻窪の善福寺川の辺りなど。

    遅く帰宅するとき、ちょっとした窪んだ土地の角で耳を澄ますと、マンホールから意外と大きな水音が聞こえる。川の名残なのか。この本を読んでから、チョッとドキドキしている。

  • ***
    以前から気になっていたスリバチ学会。
    東京の窪地や谷の地形を巡っては歩き回るというなんとも牧歌的ですてきなあつまりです。地形にちなんだ都市の成り立ちを学術的に説明してくれていて興味深い。
    スリバチ地形は公園系スリバチ、下町系スリバチ、再開発系スリバチに分けられる。台地と比べると地盤が緩いのは否めず、かつては町人や下級武士の居住区となっていたため台地に比べて敷地が細分化されており、小さい区分で再開発されてきたため、スリバチ地区には建物が道路にそのまま面していることが多く、生活が露出して散歩するのに楽しいポイントとなっている。
    まちを歩くにもこういった高低差といった地形的要素と、都市の変遷の過程といったことを想像しながら歩けたらもっともっとまちが楽しくなるんではないか。東京もまだまだおもしろいことがいっぱいあるのかも。

  • 昨年、神田古本街の「スリバチカフェ」で見かけた本です。
    Blog「東京のスリバチ」↓
    http://lily-flower.jugem.jp/?eid=2567

    中沢新一の『アースダイバー』は古典的名著だと思っていますが、それを現代風視点からとらえ直したような一冊。
    「書を捨て谷に出よう」を合言葉に、「スリバチ」地形と表現した都心の谷を紹介しています。

    都心である東京になぜ谷戸が多いのかというと、古く江戸時代に都市開発が始まったために、現代のような土地改変が容易ではなかったためだそう。
    起伏をならせず、起伏を生かした都市にしたため、山の手には武家、下町低地には町民地が集まり、それがもとになって、今でも高台に学校、病院、大使館、官舎、低地に住宅地、商業地が広がっているということです。

    高台ではなくスリバチの中、つまり谷の方に視点が注がれています。
    都内各地の谷の話の延長で、谷とは関係ないさまざまな土地の説明もなされており、どちらかというとそういったサブ情報に興味が惹かれました。
    本郷三丁目の「菊坂の谷」にはかつて「別れの橋」が架かっており、今でこそ都心ですが、昔はそこが国外追放の罰を受けた罪人を見送る辺境の地だったそう。
    文京区弥生で出土した土器が弥生時代の名称となったということですが、東京で弥生式土器が発掘されたとは思っていませんでした。
    唱歌「春の小川」は、自然がいっぱいの長野辺りの小川かと思っていましたが、実は代々木八幡辺りを流れる河骨(こうほね)川がモデルとされるということにも驚きです。

    ほかにも、六本木アークヒルズのアークの意味や、三四郎池のほかに一二郎池もある話、幡ヶ谷やスペイン坂の名前の由来など、知っていると楽しくなれる情報が盛りだくさん。
    渋谷の名前は「赤い渋い色の川の流れる谷」というのが由来の一つで、それは関東ローム層が鉄分を多く含んだ赤土だからだと聞くと、命名の的確さにうなります。

    普段使っている東横線が、武蔵野台地の複数の丘と谷を越えるルートであり、車窓から地形の起伏を観察できるということには全く気付いていませんでした。
    今度、この本で紹介されている江戸五色不動と平将門を祀る場所巡りをしてみようと思います。

  • 東京(江戸)は谷と丘も都市。言われてみれば、なるほどと思うが、普段はそれほど意識することが無い。城南地区・五反田に住んで10年以上、南北方向に動くにはいずれも丘を越えていかなければならない、逆に東西方向は目黒川沿いの平地(谷すじ)を移動することになる。しかし、まあそんなもの、そんなところと思っているだけで、改めてこの本を読んでみて(指摘されて)ああそういえばあそこは確かに、窪地、谷すじ、尾根すじ、旧河川だなと意識に浮かび上がってくる。というか、なんだかんだいって、けっこういろんなところを歩いているんだなと改めて感じさせられた。スリバチを意識して歩いているわけでない(車やバスで移動するときも)が、谷と丘の都市ゆえ、どこにいくにも何の気なしに丘を越え、谷を渡っているようだ。昔、かみさんと高輪から白金台を抜けて古川に降りていった路地なんかすっかり忘れていた事まで思い出させてくれた。あの頃はお互いに結構ラブラブで暇だったんだな。てなことも含めて。

     読書にしてかなり関連書を読んでいることも確か。普段は意識の奥に引っ込んでいるけど、何かを読んでいて引っかかりがあると、そういった記憶が、少しずつゆっくりと意識の表面に浮かび上がってくる。→「東京古道散歩」、「東京「夜」散歩」、「江戸 TOKYO 陰陽百景江戸」、「江戸東京≪奇想≫徘徊記」、「歩いて愉しむ 大江戸発見散歩」、「なぞのスポット 東京不思議発見」、「謎解き 広重「江戸百」」、「図説 江戸東京怪異百物語」、「江戸東京怪談文学散歩」、「江戸を歩く」、「江戸屋敷三〇〇藩いまむかし」、「江戸・東京地形学散歩」、「お江戸超低山さんぽ」、「幕末・維新の江戸・東京を歩く・東京」、「江戸・東京百景 広重と歩く」、「江戸・都市の中の異界」、「古地図と名所図会で味わう江戸の落語」、「噺家と歩く「江戸・東京」」、「江戸東京落語散歩」、「江戸の都市伝説―怪談奇談集」、「江戸の名所」、「東京今昔歩く地図帖」、「超雑学 読んだら話したくなる 江戸・東京の歴史と地理」、「カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩」、「霞ヶ関歴史散歩」、「彩色絵はがき・古地図から眺める東京今昔散歩」、「江戸の庶民信仰」

  • 土地勘の無い場所だと文章を読んでもなかなか入ってこないが、タモリ氏に代表される地形で東京を見る視点は、文明の象徴であるうわものを無視しており、新鮮で心地よい。

  • 気づかずに体験しているアップダウン。都会の窪地『スリバチ』に魅せられた人々の研究の集大成。

    ちょっとした下り、目の前にそびえる崖。
    そんなのを目にした時、階段や坂を上がり下がりしながら窪地を考えてみるのも面白いかも。

    散歩好きにおすすめ。

  • 東京に出てきて、もう4年がたつ。

    学生気分はどこへやら、いつのまにやら社会人の気になっている。


    地元が田舎なせいか、主な移動手段は自転車。家から大学までも毎日自転車で往復十数㌔走っていた。

    本書は東京の地形の面白さを説いている。自転車乗りとしては、平坦な道のほうが走りやすい。だが、窪地や台地を超えた瞬間に、東京という街はブルドーザー的な土地の集合体ではなく、実際に文化や歴史が根付いた街なんだということに気付かされる。


    目白台から日本女子大に出る坂をセレクトした著者には金一封を差し上げたい。深夜の酔い覚ましにあの坂のてっぺんから新宿を眺める経験は、僕にとっては予約して見に行く2時間フルコースの夜景の見えるレストランよりも価値がある。

  • 東京の「谷」「丘」「川」に着目したブラタモリ的な散歩本。京都から東京に引っ越してきて、東京には坂が多いなあと思ってたんですけど、こうやって地形図から見てみるとほんとに谷と丘のスリバチからなる街なんだなというのがよくわかります。そろそろ暖かくなってくるだろうしこの本もって散歩に行こうかな。

  • 東京地形の紹介もさることながら、高低差のある街の「見方」の基本を丁寧に教えてくれる都市景観観察の指南書。地名、交差点名、学校名、地形のヒントは至る所に隠されている

  • 東京で生まれ育ち、通勤通学していた頃には何も感じなかった東京の地形。
    東京を趣味で走るようになってから、「東京って、こんなに坂だらけだったのか!?」とやっと気付いて、東京の坂について興味を持つようになったので図書館で借りた。

    流し読みのため、自分ルールに基づき、「読み終わった」扱いにせず。

  • 実際に訪れて体感したい

  • 麻布のスリバチの底で育ったので、坂を見ると降りたり登ったりしたくなる。
    六本木、麻布・白金、渋谷、碑文谷、田園調布、世田谷、日比谷、日本橋あたりは、フムフムと読む。
    自分の不得手とする雑司が谷、四谷、本郷をこの本を持って散歩して制覇したい♡
    やはりこの本は散に持参するため購入しないとなー。

  • ブラタモリですっかり有名になった階段や段差にみられるスリバチ地形。本書はその成り立ちから特徴。そして東京に存在するスリバチの場所を詳細に伝える、いわばスリバチの入門書といえる書籍である。特に目を引いたのは、乃木坂や麻布などの一角にいまだ下町風情が残っていること。スリバチの第一法則を確認しながらの街歩きも楽しそう。

  • 東京の地形本の中でもかなりマニアックな部類の本。東京近辺の「スリバチ」形状の地形(古い言い方で「谷戸」「谷津」と呼ばれる地形)を、著者の独断と偏見で1級スリバチ・2級スリバチ・3級スリバチとランキング付けして詳しく解説している。ブラタモリで取り上げられた場所も散見されて興味深いものの、記述が詳細すぎてちょっと読み切れないし、確認のために一箇所ずつ現地に足を運ぶ気力も湧いてこない(^-^; 購入することなく図書館で借りるだけにしておいて良かった。

    【川崎市立川崎図書館 454.9】

  • 東京の「谷」に注目した散歩本。
    100年前の建物を探すのも難しいといわれる東京にあっても、500年前の地形は本質的には変わっていない。スリバチ部分には高層の建物が少ないため眺望がいい。新宿御苑、小石川植物園、椿山荘、八芳園、根津美術館、麻布十番商店街、戸越銀座商店街、キャットストリートといったスポットもスリバチの代表格である。

  • 渋谷・四谷・大久保・雑司が谷などなど、東京に数多く存在する「スリバチ」(凹凸)地形を堪能するためのガイドブック。軽めの本と思いきや 、ディープにスリバチの法則や等級などを論じていて、著者のスリバチ愛をひしひしと感じる。 建物は頻繁に変わっても、地形はそんなに変わらないわけで、そんな変わらないスリバチ地形を通じた、「原東京」考察の書とも言える。みなさんもこの本をきっかけにして、近所のスリバチ地形を散歩してみては? (走る書店員)

  • スリバチの魅力
    暗渠を巡りたくなる

    地形としての六本木の魅力
    渋谷のスリバチ加減

    道とスリバチ

  • 地図も写真も全部カラーで偉い本。内容も面白いが、断面図等の入るタイミングやレイアウトが美しい。デザイナーさん、いい仕事してます!

  • 東京の高低差は自分の脚で走るとわかる。なんと起伏に富んだ街なんだと。知る限りでは五反田や白金、恵比寿近辺の高低差はかなりのものだ。本書の地図に合わせて見ると改めて確認できる。
    そして人の手によって造成された場所が多いこと。しかも江戸初期に工事が行われていたという事実。とにかく土木がすごい。そして江戸の都市計画の範疇からあまり変わっていないことを知るにつけ驚くばかりである。暗渠も魅力的だ。東京の地形を知るだけで一生が終わりそうな気がしてしまう。

  • 東京都内も、考えてみればあちこちに崖や谷があるわけで、その下の部分はある意味川の底とも言える。
    ということは、地震が来て液状化する場所って言えるんじゃないだろうか。

  • まちあるきの基本となる本。地形は歩かないとわからない。

  •  日本にも多くの自然が転がっているのがよくわかる。
     こういうことを知っているのと知らないのとはやはり違いが出てくるのかもしれない。
     自然を見ることは歴史をも見ることになる。もっともっと外に出ていろいろと見聞きして見よう。

     ただこの本の地図でスリバチを認識するのは難しかった。

  • 東京は川と湿地の町。下水、排水、衛生面を考えて元来存在していた川を暗渠に変えていった。そして、中心には太田道灌と徳川家康が築城した江戸城改め皇居が位置する。三宅坂や千鳥ヶ淵は堰や石垣を見るにはもってこいである。

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凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩の作品紹介

東京は凹凸だらけ。高低差を楽しむ、まったく新しい地形エンターテインメント。見て楽しい、歩いて楽しい、15エリアの3Dマップ付。

凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩はこんな本です

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