集団的自衛権の思想史──憲法九条と日米安保 (風のビブリオ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862581044

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  • 憲法9条に照らした自衛権解釈が時代によって変遷する様子がよくわかる。

    サンフランシスコ講和条約発効時、防衛力は駐留米軍しかなく、集団的自衛権は当たり前の前提だった。

    憲法9条=個別的自衛権となったのは、ベトナム戦争への巻き込まれリスクのあった1972年。
    その後明らかに集団的自衛権の行使である日米安保条約と、個別的自衛権に縛られる憲法解釈の板挟みとなる。

    結局内閣法制局の憲法解釈は、政治状況に左右されるということだろう。

    憲法学者は師弟伝来の教義に縛られ、憲法は国の原理を定めるものではなく、国民が国家権力を縛るものだと言い続ける。
    憲法学者に未来はない。

  • 安保法制は、従来の日本の安全保障のあり方を固定化するものであるとし、その際にキーワードになる、憲法9条、集団的自衛権といった概念が、日本の安全保障において、どのような立ち位置にあったかについてまとめた本。
    著者は、平和構築を専門家にする国際政治学者であり、憲法学者ではない。そのために国際政治学からの立場から憲法や概念の変遷がまとめられているのは貴重である。

著者プロフィール

1968年、神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。同大大学院政治学研究科修士課程修了。ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(LSE)博士課程修了、Ph.D.(国際関係学)を取得。広島大学准教授、ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授(国際関係論)。著書に『平和構築と法の支配――国際平和活動の理論的・機能的分析』(創文社、大佛次郎論壇賞受賞)、『国際社会の秩序』(東京大学出版会)、『「国家主権」という思想――国際立憲主義への軌跡』(勁草書房、サントリー学芸賞受賞)、『国際紛争を読み解く五つの視座――現代世界の「戦争の構造」』(講談社)、『集団的自衛権の思想史――憲法九条と日米安保』(風行社、読売・吉野作造賞受賞)など多数。

「2023年 『戦争の地政学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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