辻聡文(21歳)画家×有田健一(34歳)エリートサラリーマン
読み返すたびに印象が変わるお話です。
西江さんのお話はキャラクターがどこか歪んでいてでも心が真っ直ぐで、いつも真っ向から恋愛に向き合うそんなキャラクターが登場します。
でも今回は、今まで以上に歪みっぷりが大きくて、捕らえづらい。ましてラブ感が薄いので、内容を読み込むのが大変でした。
初見はキャラクターがとっぴすぎて、話もなんだか読者を突き放しているというか冷めた印象を受ける話で理解が難しかったです。
2度目は辻のキャラクターにも慣れたせいか、辻の変人ぶりに有田が振り回されたり、恋愛観が違う二人の恋がどう繋がっていくのかが面白く感じます。それでも今度は有田が分からない。
3度目にやっと有田というキャラクターが分かります。自分の周りにいそうでいない、そしてどこかしら自分自身にも同じような部分があるように感じる、なんとも曖昧なキャラクターです。だからこそ、辻以上に有田が歪んで見えました。
BLのキャラクター的に言えば、辻の育て親でありパトロンでもある杉本が一番分かりやすいタイプで、辻に対する執着心も半端ないので共感できるのかもしれません。
だけどこのお話を読んで、辻と有田のようなこんな恋愛の形もあるんだなと思いました。恋愛というものにたいして淡白だけど、ふらっとたまに会って愛の言葉を交わさずとも、一生モノの相手には違いないと思える、心の奥深くで繋がっている精神的な恋愛。
4度目を読むときは、この恋愛をより楽しむことができるかもしれません。