- Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862722461
感想・レビュー・書評
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『あの人と短歌』で知った歌人、雪舟えま(ゆきふねえま)さんの第一歌集。
1996年から2010年の作品から選んだ322首。
読むのがとても楽しかったです。
本の装丁は名久井直子さん。
挿画は妹さんの小林雪のさん。
帯文は東直子さん。「どこにたどり着いても愛になる。なんて野蛮で、なんてやさしい言葉たち。この歌集がこの世にあることが、怖いくらいうれしい」
黄色いたんぽぽの表紙に『たんぽるぽる』という表題がなんともあたたかい雰囲気で可愛らしい抱きしめたくなるような歌集。
著者の雪舟さんは札幌出身でいらっしゃり、私も子供の頃住んでいたので親近感を覚えました。
なんでこうつららはおいしいのだろう食べかけ捨てて図書館に入る
私も子供の頃つららを食べたのを思い出しました。
以下、気に入った歌。
とても私。きましたここへ。とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ
表紙見ただけで涙が出る童話と同じ第一印象のひと
黒板のふたりの名を合わせたような熟語まぶしい夏休み前
わたしの自転車だけ倒れてるのに似てたあなたを抱き起す海のそこ
このさきは未来のひとにまかせたい幸福なときのあたしはよわい
日のなかを次から次へ虹を脱ぎながら歩いている 今日、会えます
逢えばくるうこころ逢わなければくるうこころ愛にともだちはいない
やっと二人座れるだけの点のような家を想うと興奮するの
傘にうつくしいかたつむりをつけてきみと地球の朝を歩めり
行くこともない島の名を知っていてそれが心の支えだなんて
この部屋に優しく用意された窓 星がきれいと呼ばれてゆけば
雪の日も小窓を開いてこのひとと光をゆでる暮らしをします詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
雪舟(ゆきふね)えまの、第一歌集だ。
著者の短歌は、空想の羽ばたきと優しさに溢れていて、昭和初期の天才詩人、金子みすゞに感性が似ている気がする。
俺は、著者の事を「短歌界の金子みすゞ」と呼びリスペクトしている。
著者の歌集を買うきっかけになった歌はこれだ。
“とても私。きましたここへ。とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ”
いまだに意味はわからない。ただ、自分のいる場所への誇りと、未来への決意のようなものが感じられて、この歌を読む度に劉備兄貴や関羽と共に立ちあがった桃園の誓いを思い出す。 -
ほむほむの『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』の「まみ」ちゃんのモデルとなった人が雪舟えまさんだと知り、急いで購入しました。あまりリアル書店で出回ってないので、ネットでなんとか見つけて購入。買えて良かった〜。「まみ」っぽさ、分かりました。短歌も結構面白いし、もっとこの人の作品を読みたいな〜。と思いました。
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普段気づいていない一瞬一瞬の尊い自分の感情に気づき、向き合うことを促してくれる短歌たち。もちろん雪舟えまさん自身の感性は全て理解できるわけではないので、じっくり噛み締めてもわからないものが多い。しかしその中に、あ、これ感じたことがある感情だ!そんな時もあったなあ、とふと思い出す歌がある。何気なく感じていたことを、飛んでいる綺麗な虫を生きたまま持ってくるように手の中にふわっと掴んで持ってきて見せてくれた、そんな感じ。
好きな歌↓
とても私。きましたここへ。とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ
あまりにも微妙な感情をうまく切り取っているなと感心した歌↓
窓からの光しろくて昼の風呂生まれたことが少し悲しい
好きな短歌を見つけるのってとっても楽しい。息抜きに詩や短歌をのんびり読むのが好きである。 -
強い女だ…強い…と思いながら読みました。それも恋に生きる女性です。あっけらかんとしていてロマンチック。生活のにおいもするんですがなんだか浮世離れしていてファンタジックですらあります。一息に読めました。
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まだ途中だけど、好きだなぁという歌に出会えてない。最後まで一応眺めてみたい。
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うーん現代短歌だな〜〜
市井のにおいがする…… -
雪舟えまさん歌集出てたんだなぁ…ちかちかする短歌
Y91ユ -
きもちだいばくはつ
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北海道新聞の「日曜文芸欄」に投稿された1996年の作品から、2010年までの322首が収録された、著者の歴史をたどるような歌集。
挿画は妹の小林雪のさんが担当している。
短歌初心者にもわかりやすい歌が多かったので、読んでいて楽しかった。そして美しい。著者の感性が好き。