- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862760159
作品紹介・あらすじ
カカオ農園で働く子供たちは、チョコレートを知らない。児童労働、政府の腐敗、巨大企業の陰謀…チョコレートの魅惑的で危険な世界へ。気鋭の女性ジャーナリストが徹底取材した、今なお続いている「哀しみの歴史」。
感想・レビュー・書評
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チョコレートの歴史を紐解けばマヤ・アステカの時代に遡り…そこから続く奴隷と児童労働の問題。市場において利益を追求する巨大多国籍企業と腐敗政治のはびこる開発途上国の組み合わせによるこの構図が続いているという告発のノンフィクションが本書。一次産品である原料のカカオを生産している農家はカカオの市場価格が上下しようが関係なく低価格で売らざるを得ない状況があり安価な労働力に頼るべく児童労働や人身売買が今も続いているという。チョコレートを嫌いになる必要もないが、街中にチョコレートが氾濫するこの季節、こんな本を投げかけて見るのもありだろう。
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フェアトレードといった言葉は知っていたし、児童労働の話も聞いたことはあったが、もっと昔の話だと思い、これほど最近まで取り沙汰されていたとは知らなかった。
政治や憲兵など、市民の暮らしを良くしようと行動べきする人達が目をつぶったり賄賂で動いたりと腐敗すると、ここまで状況が悪化するんだというのを実感した。なんでこんなに汚い人間が多いんだろう。
こうしたルポの本はあまり読んでこなかったけど、面白かったし色々な切り口の問題の本を読んでみたい。 -
斎藤幸平『人新世の「資本論」』にて、資本主義による成長の代償を後進国がおっかぶるという主張があったが、チョコレート産業におけるそれを見た。
先進国の都合でカカオの生産地にされた挙げ句、市場価格の暴落により貧困にあえぐ人々。奴隷同然の扱いを受けタダ働きさせられる子供たち。
私達はそれらの人々を犠牲にして、100円のチョコレートを当たり前のように食べている。
そして、原料のカカオを作っている人々は、カカオがどうなるのか知らず、チョコレートを見たことすらない。
これは過去ではなく、現代の話である。
資本主義経済における世界の歪さを思い知った。
自分が何ができるかは分からないが、この現実を意識しながら生きていきたいと思う。 -
アブドゥライ・マッコ コートジボワール中部の都市ブアケ駐在のマリ総領事 内部告発で職を解任 マリ人児童労働に一躍買った人物
人身売買は夜行われる。複雑に絡み合った制度は、フェアトレードチョコですぐに解決できるものではない。
フェアトレードはあまりに単純化されすぎている -
県:フェアトレード、チョコレート、児童労働のB.T本として
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★2023.01(1年・2年) -
チョコレートを巡る現代の奴隷ともいえる労働環境と、同様に問題となっている児童労働を暴いたノンフィクション。
結構経ったけれど多分あまり変わってないんだろうなと言うか、更に需要は増してるし、ある意味で値段は上がりつつあるのかな。
でもまあ書かれていることはハーシーとかの過去の栄光とかは一部知ってはいたけれど中々人の業を直撃しているからどうにもならなそうだよなと。
フェアトレードだってどこまで信用できるのやら。 -
岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00393631
世界で最も愛されるお菓子・チョコレート。その甘さの裏には、苦い真実がある。
カカオ生産の現場で横行する児童労働の実態や、巨大企業・政府の腐敗。今なお続く「哀しみの歴史」を気鋭の女性ジャーナリストが危険をおかして取材した、「真実」の重みが胸を打つノンフィクション。
カカオ農園で働く子供たちは、チョコレートを知らない
世界最大のカカオ豆の輸出国、コートジボワール。密林奥深くの村を訪れたカナダ人ジャーナリストのキャロル・オフは、カカオ農園で働く子供たちに出会う。子供たちは自分たちが育てた豆から何が作られるのかを知らない。自分に課された過酷な労働が、先進国の人々が愛するお菓子であることも、チョコレートが何なのかさえも。
マヤ・アステカの時代に始まるチョコレートの魅惑の歴史。そのなかで生まれ、今なお続いている、過酷な「児童労働」の実態と、巨大企業や政府の腐敗。その背景にある貧困と民族間対立。そして私たち先進国の消費者の行動は、この問題にどう関わっているのか?
本書は、この“世界で最も愛されるお菓子”の裏にある「苦い真実」を、さまざまな角度から明らかにする。
(出版社HPより) -
心苦しい罪悪感と、チョコレートの無い生活なんて嫌だという欲と、私なんかが解決できやしないという無力感。
そういった、ごったまぜな感情になった。
平和で満たされた生活をしていると、カカオをとりまく苦しい世界が今現実にあるなんて、信じられない。
それでも、目をつぶっていてはいけない、と思った。
私には何もできなくても。
知ること。
それが全ての始まりなんだろう。
今後、チョコレートを見るたびに、一瞬ひっかかるようになるかもしれない。
あるいは、都合よくすっかり忘れてしまうのかもしれない。
それでも、この本を読んでよかったと思う。
【memo】
人は、良い環境でも、与えられたものであると満足できない。
自分でつかみとった、という感覚が大切。 -
おそらく、誰もが少しは把握していながらそこまで気にしていないこと(?)。もちろん、チョコレートに限らないことだし今に限った話でもない。でも悲しい現実。
普段何気なく食べているものの市場やサプライチェーンがどうなっているのか。本書は子供には少し不向きなのかもしれないけど、年齢問わず広く認知されるべき事柄なんだろうと思ったりする。じゃないとこれらの問題が解決されるキッカケすら生まれないわけだし。
サプライチェーンやCSRなどの用語で検索すると、関連する企業の取り組みは見られるし、それらを課題とする企業が多いことも窺うことができる。なので、例えば“「チョコレートがあなたに届くまで」サプライチェーン・ルポルタージュ | 伊藤忠商事株式会社”なども本書とあわせて読むと、より理解が深まるのかなと感じた。
気のせいか後半部分(残り100ページぐらい?)はやや読みづらかったような。いや、理解できないというわけではないのだけど、どうも文章が途切れ加減になるというか、前半に比べて和訳の流れに違和感を感じた。ひとつの事柄を説明するために、まず先に、その前置きから矢鱈詳細に述べていることもそう感じた要因なのかもしれない。
(過去の読書記録登録のため評価なし)