ソングライン (series on the move)

  • 222人登録
  • 4.08評価
    • (19)
    • (8)
    • (8)
    • (1)
    • (2)
  • 15レビュー
制作 : Bruce Chatwin  北田 絵里子 
  • 英治出版 (2009年2月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (497ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760487

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
サン=テグジュペ...
村上 春樹
ウンベルト エー...
ヴィクトール・E...
J・モーティマー...
立川 談春
有効な右矢印 無効な右矢印

ソングライン (series on the move)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • ソングラインの概念を攫むのが難しかった。自分にもアボリジニの歌う歌が聴こえてくるのではないか‥と読み進めたがとうとう感得するには叶わなかった。神話的な世界観を捉えるには自分は全く浅はかだ。その代わりにチャトウィンの文章が奏でる音楽となって響いてきた。旅をすることで世界との関係を見つめてきたチャトウィン、ついに自分の最期を意識せざるを得なくなった時、死に行く者が“始まりの場所”へと帰還するアボリジニに自分の生涯を照らし合わせた思いの果てに強く打たれた。その思いが大地に沁み入るレクイエムとなって余韻はつづく。

  • 読み始めてしばらくは亡羊としてまさに蜃気楼のようにつかみどころが無かったが、やがてその思想や論理が、あたかも意図的に断片的に現されるストーリーとリンクするかのように確実に輪郭を結び、すさまじい意識変革を促してくる。社会、心理、政治、経済、そして哲学。およそいままで触れてきたすべての知性によって糊塗された価値観を軽々と持ち上げ裏返されるエネルギーを感じた。
     すさまじい書である。

  • 港Lib

  • この本がイギリスで出版された1987年の翌年にブルースチャトウィンはAIDSで死んでいる。最初の著作「パタゴニア」を書くきっかけとなった旅には松尾芭蕉の「奥の細道」を持参したという彼の、オーストラリアの旅の記録。
    オーストラリアのアボリジニ達は、自らの土地にまつわる風景、地形、岩、樹などありとあらゆる事象を先祖伝来の「歌」として記憶する。その歌をたどれば、オーストラリア大陸の隅々まで旅をする事が出来るという。
    オーストラリアを舞台にしたロードムービー的な記録の合間に、著者が自らの半生の旅の最中に書き溜めた文章・言葉・詩などが混じる。
    装丁が素晴らしい。Bookoffには持ち込まず、本棚に置いておく本。

  • アボリジニでは、子供が喋りそうになると、母親はその子に土地の植物や昆虫を持たせ、抱いて歩く。
    その歩くリズムと土地の動植物の名前を子供が覚える。
    そうしてアボリジニの土地を子供に与える。
    ぜひ、私もそうやって暮らしてみたい。そう思える。これが本当の人の関わり方の原型ではないかと言いたくなる。
    「そんな子供が詩人にならないわけがない。」448p

    生まれる前からゲーム音に囲まれて育つ日本の子供達とは何たる違い。
    その違いは「土地」の意味の違い。そして「土地」との関わりの違い。

    そうやって中央オーストラリアにそれぞれのアボリジニによる数多くの歌の道・ソングラインが作られてきた。

    「病院の乳児病棟を訪れたものはしばしば、その静けさに驚く。本当に母親に捨てられた赤ん坊が生き残る唯一の道は、声を立てないことである。」386p
    であるならば、やはり声は、歌は、そして子供にそれを伝えることは命そのものだ。

    ノートの引用文のページは、モレスキンの型抜きように印刷されて、さながら手帳を記しながら旅をしたチャトウィンの気持ちになれる。
    ノートに書かれた、詩句、言語、音、音楽の発生の仕を読んでいると、「魂」という意味でアボリジニがとても豊かであることに気付く。

    ソングラインを追うブルース・チャトウィンの旅は、はるか昔、人類の祖先がアフリカで最初の歌を歌ったであろう時を思索するほどにまで広がってゆく。
    それは、夢見るように素敵だ。

  • オーストラリアのソングラインに魅力を感じると言うよりも、「どうして旅に出るのか」「ノマド的な生活スタイルとは?」というチャトウィンの思想的な部分に魅かれる。それに色々な人々の旅想(?)とも呼べるような、チャトウィンによる引用やノートもとても魅力的だった。次は、『パタゴニア』。

  • 2015年71冊目。(再読:2015年7月25日)

    伝説の旅人ブルース・チャトウィンが、アボリジニによる世界創造の道「ソングライン」の謎を追った旅の記録。
    一つひとつの岩に、一つひとつの草木に、アボリジニの先祖たちは「歌う」ことでその存在を与えていったという。
    この幻想的な世界観と対照的に、白人によるアボリジニの権利の侵害・行き過ぎた擁護運動などの現実問題も数々記されている。
    気だるい暑さ、飛び交う砂塵、鬱蒼としたブッシュの中を、チャトウィンの目を通して旅する本。
    ===================
    2012年54冊目。(初読:2012年9月6日)

  • 【本】”ソングライン”ブルース・チャトウィン著英治出版刊、読...了とする時が来る本では無い様な。通し読み了。”旅の本...”との評だったけど、「生きる事」「場、と契るカタチ」について、”現在感じ、聞き集め、考えた”行動と思索の旅”の本。一読では読み切れん。石川直樹君の解説も◯。

  • オーストラリアのアボリジニに伝わる、伝説を織り込んだ歌。その中には土地の特徴も歌い込まれており、歌を歌いながら祖先が辿った道のりを同じように歩くことが出来る。いくつもの部族のいくつもの歌が、平面ではなく、網目のように、オーストラリア大陸全土に広がっている。

    不思議な味わいの本である。
    作者はソングラインに惹かれてオーストラリアに渡り、その謎を追う旅をする。間には、作者がオーストラリアに来る前に出会った言葉、土地、人々、それらに関する作者の思索の膨大な量のノートが挟まれる。

    人はなぜ旅をするのか。旅とは何なのか。

    忙しい日常の中、秩序立てて読む本ではなく、旅先でたゆたうように読む本なのかもしれない。

    アボリジニの清濁合わせた描写がよい。

    *ノートの中に動物行動学者のローレンツが出てきてちょっとびっくり。人脈の広い人だったのか・・・?

    *作者はサザビーズの美術鑑定家として働いた後、旅に身を投じ、文筆家となる。旅先で感染した病気が元で早世している。
    作者の経歴自体が物語である。

  • 旅の終わりに見出したノマティックな生き方の真実とは?

全15件中 1 - 10件を表示

ソングライン (series on the move)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

ソングライン (series on the move)の作品紹介

オーストラリア全土に迷路のようにのびる目にはみえない道-ソングライン。アボリジニの人々はその道々で出会ったあらゆるものの名前を歌いながら、世界を創りあげていった。かつてのドリームタイムに大陸を旅した伝説のトーテムの物語に導かれ、チャトウィンは赤土の大地に踏み出す。人はなぜ放浪するのか-絶えずさすらいつづけずにはいられない人間の性を追い求めたチャトウィンが、旅の終わりに見出したノマティックな生き方の真実とは?死の直前で書き上げたチャトウィン渾身の力作。

ソングライン (series on the move)のKindle版

ツイートする