アフリカ 動きだす9億人市場

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760531

感想・レビュー・書評

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  • 知っていることと、知らないこと。
    知っていると思っていても、実は知らないこと。
    正しいこと、正しくないこと。ルールがあるもの、ないもの。
    結局は、自分を信じるしかないけど、知らないことがあることも知ろう。

  • ゼミ選考課題の所感文のために読んだ本
    以下その時に書いた所感文

     本書では序文で、貧困、紛争、政治腐敗などの悪いニュースに表象される「施しの対象」という世界中の多くの人々がアフリカに対して持っているイメージがアフリカの成長を阻害している最大の原因であるとして大きく否定し、大陸全体で9億人という人口に基づく巨大消費者市場の大きさ、優秀な起業家やビジネスリーダーをアフリカの真の富であると強調している。インド出身でマーケティングのコンサルタントを務めている著者が、自国の現在の経済成長とアフリカの近い未来のそれを重ねつつ、アフリカ経済の勃興を期待している。そのことを大前提とし、第一部ではアフリカ大陸の市場における可能性や携帯電話や金融の急速な発達を含む現況、アフリカの市場を担うとされるセグメントなどを具体的に統計などの値を用いて説明している。第二部では第一部で挙げた現況、課題などを踏まえた上で、その要因となっているものは何か、更なる成長には何が必要か、ということを各アクターや業種、要因ごとに細かく分類して解説している。それらをヒントとして位置づけ、読者にアフリカにおいてどのようなビジネスチャンスが考えられるかということ主体的に考えることを促すような構成となっている。

     本書の素晴らしい点は、貧困やインフラの脆弱性といったアフリカに内在する深刻な課題に対するアプローチ法である。単にそれらの原因や解決法を述べたり、市場における影響は小さいということを強調したりするのではなく、その課題によって生まれる新たなニーズを起業家にとってのビジネスチャンスである点に焦点をあて、実際に実例も示していることである。例えば、停電が頻繁に起こる地域では家庭で食事を調理することが困難であり、外食産業の需要増が起きていることを示している。もちろんソーラー発電、風力発電などの需要の急増は言うまでもない。これらは本書に示されている実例の一例に過ぎない。本来ならば“害”である部分を起業家やビジネスリーダーがイニシアティブを取り、利益をあげることのできる機会であるということを証明している。また、上で述べた通りアフリカの更なる成長には何が必要か、可能性はどこに存在しているのかということを市場はもちろん教育、在外アフリカ人の存在などあらゆる側面から説明している。一つ一つの側面からの視点の深みを多少は犠牲にしつつも、アフリカ大陸の可能性の全体像を多面的に捉えることを可能にしている。アフリカ市場に関してあまり詳しくなく、アフリカに対して負のイメージを持つ者にとっては、アフリカ市場に関して広く浅く学ぶ入門書としても新しい真実を知るという意味にしても、読むに非常にふさわしい本であるといえる。

     しかしその一方で、アフリカの消費者市場、経済の発展を考える上で無視できない事柄に対していくつか不十分な点があると感じた。確かにアフリカ大陸がもつ深刻な課題を、利益を上げることのできるチャンスであることを示している点は素晴らしいが、その課題によって引き起こされる負の部分があまりにも軽視されている。例えば、内戦、紛争によって引き起こされるビジネス上の損失に関する記述などは皆無であった。全ての課題において、あくまでも一部の起業家にとってのチャンスであるということが強調されているような印象を受けた。インドの経済成長とアフリカのそれと重ね合わせている以上、インドに少なからず内在する深刻な課題とも重ね合わせてもいいのではないかと思う。良くも悪くもアフリカの光の部分のみに焦点を当てているのだ。またアフリカの消費者市場の可能性が本書のメインテーマとなっているが、すべての消費者層に注目して話を進めてはいない。アフリカ大陸の上中流階級の直下の層を急成長している消費者層(アフリカ2)として、そのアフリカ2の消費傾向などを重点的に述べ、企業はその消費者層に対してどのようなアプローチを取るべきかが詳細に書かれている。しかし、私はアフリカや開発問題を語る上では最下層(アフリカ3)の消費者層にも焦点を当てるべきであると感じた。その消費者層に企業が進出できる可能性を述べ、いかにして官民協働で最貧困層にアプローチをするのか、できるのかという開発的な内容も入れ込むべきであった。さらに、アフリカ大陸と他地域、他国の関係に関する説明はほとんどなされていない。アフリカの消費者市場、つまり内需の大きさを説明することが本書のテーマとなっている上では仕方のないことではあるが、今日の「フラット化している世界」において内需の大きさのみを述べて、今後急成長するであろうと結論づけることは可能であるのかという点は非常に疑問である。中国やインドにおける経済の急成長は当然大きな人口を背景にした内需の大きさに依るところも大きいが、それ以上に他国への輸出志向型産業の成長がうまくなされたことに依るところが大きいのではないのであろうか。メインテーマからそれてしまうが、消費者市場の可能性を語った上でさらに、アフリカ企業がいかにして旧宗主国などに進出できるのかということも述べるべきである。

     上で挙げた通り、いくつか疑問に思う点があったことも事実であるが、私は本書に対しては肯定的な立場を取っている。筆者が本書を書いた最大の目的は、読者に欧米のメディアが作りだしている「施しの対象である」といったアフリカに対する負のイメージを打破し、援助よりも投資が必要であるということを訴えることである。それに関しては私を含めた多くの読者には強くなされていると思われるからだ。本の上から飛び出し、実際にアフリカを訪れて現状を自分の目で確かめることが必要であると強く感じた。

  •  9億人が生きるアフリカ大陸53ヵ国のうち、2006年の国民総所得の一人あたり平均で12ヵ国は中国より高く、20ヵ国がインドを上回っている。大陸全体の平均ではインドのそれを上回っている。アフリカは意外に豊かな市場なのだ。
     むろん、世界の最貧国もアフリカには存在し、問題が山積していることも事実だ。だが多くの課題や欠如があるということは、それだけのビジネスチャンスが開かれているということでもある。
     犯罪があろうと政治腐敗があろうと9億の人々が日々のパンを必要とし、インフラが未整備だからこそ携帯電話を求め、貧しいからこそ子供へのよりよい教育を望んでいる。チーター世代と呼ばれる若者層は、民主主義を求めるのみならず世界の流行にも敏感だ。
     既に欧米の著名企業もアフリカを重要な市場として動き始め、中国やインドは積極的な投資を開始している。在外アフリカ人からの資金や頭脳の流入も加速している。優れた統治を行った政治家に引退後の賞金と年金を贈ることで、ガバナンスの質的向上を図る基金も創設された。
     なによりアフリカの明日を確かなものにしているのは、アフリカの若者たちの楽観主義だと著者は語る。ビジネス書というよりも、新しい世界観に眼を開かされる一書である。

  • インド人経営学者による著作。貧困と格差、紛争、HIVなどの問題が山積しているアフリカの状況にこそ、ビジネスチャンスを見出せると説く。ビジネスの視点からみたアフリカが新鮮。

  • 最後の未開の地と呼ばれるアフリカ。強い可能性を感じる。

  • 読みかけ。図書館の返却期限がきてしまった。
    ビジネスチャンスについて主に書いてある。悪い面にも触れた方がいいんじゃないかな~。

  • 著者は、ヴィジャイ氏である。氏はテキサス大学経営大学院教授であり、多数の書籍を
    執筆していると同時に複数の賞を受賞をしている。
    つまり、なかなか信頼が置けそうな人物であるって事。

    内容は、「アフリカ市場の将来価値は高い」この一点に尽きる。
    そして、それを支える氏の理由は以下の3つと言えるだろう。

    1.アフリカは9億人の市場かつ、ブラック・ダイヤモンドと呼ばれる
    中間所得層が伸びてきている。
    2.言語や宗教が似ている国が多いため、一つ一つの国は小さくても
    マージして視る事が可能と考える。
    3.優秀な人材・多くの企業が注目をし、参入をしてきている。

    ビジネスは基本的に「マクロで勝つ」のが最も簡単である。
    よって、氏の主張は全てとは言わないが、正しい部分が多いと個人的には思う。
    これからは、アフリカ・・・アフリカ全体を視ていくと楽しいだろう。

    しかし本書、結構詳しくアフリカ消費者の実態を詳しく記載してあるので、
    なかなかおもしろく読み進める事が出来た。

    そして、本書の内容全てがファクトだとしたら近いうちに一度行ってみたいと思った。
    市場機会は腐るほどあるのだろうし、なにしろ自らの知識と違ったアフリカを
    体験したい。友人が旅をしていたので、案内でもしてもらおうかな。。。

    まぁ、こういった知識と実態が異なるのは、メディアがアフリカの”負”の部分だけを
    フューチャーする傾向が強いからだろうな。やめてくれないかなー(笑)

    以上


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