ネクスト・マーケット[増補改訂版]――「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (680ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760784

作品紹介・あらすじ

インド、中国、アフリカ、南米…40億人のエネルギーが世界を変える!BOP市場から生まれる世界規模のイノベーション。「BOPビジネス」の大潮流を生んだベストセラー、さらに深い洞察と最新事例を加えた増補改訂版。世界最高のビジネス思想家C.K.プラハラード、渾身の提言。

感想・レビュー・書評

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  • 企業戦略の専門家による、世界の貧困層を顧客に変えるビジネス論。世界に40億人存在する($2/日)以下で生活する貧困層は、今までビジネス界から無視されてきたが、この層に目を向け、援助ではなく消費者としてWIN-WINの関係を模索し実践している事例が記されている。初めの200頁が論理で、後の450頁は事例である。
    「携帯電話はいくつかの根強い考えを粉砕した。「経済ピラミッドの底辺には市場はない」「彼らには使うお金がない」「先進技術を生活に取り入れようとはせず、その必要もない」「多国籍企業は彼らを必要としていない」という思い込みである」p39
    「BOP市場は、人類の80%を占めている。生活の質の向上を求める40億人の人々によって、これまでにない驚異的な市場が形成されると期待するのは理にかなっている」p154
    「汚職とは、特権的に資源にアクセスできるように手配し、時間的な価値をお金に換算することである」p187
    「BOPの貧困層を消費者として扱うことにより、彼らは自尊心、選択の自由という恩恵を受け、貧困という苦しい境遇から抜け出す機会を得られる」p206
    「農業は、インドのGDPの23%を占め、10億人の国民を養い、労働人口の66%を雇用している」p506
    「プロジェクトは、ネットワークへの接続とハードウェアに焦点を当てたものが圧倒的に多い。情報の流れという重要な問題を解決する方法より、ネットワーク作りや、学校にコンピュータを配置することばかりが重視され、それを使う人や人間同士のネットワークについては考えられていない」p559
    「世界の農村部の人々は照明を得るために、ロウソク、灯油、乾電池、バッテリーの充電などで毎月8~12ドルを支出している。貧困層は所得に不釣合いな額を支払っているというパラドックスに陥っているのである」p582

  • アイデアとして、本のネタとして、貧困層が多くいる途上国でビジネスをしようという考えに共感を抱いた。
    もちろん、購買力の問題もあるし、汚職の問題もあるし、壁は高いけど、この方向性で考えていきたい。

  • もともと気になってた本。600ページで3500円というなかなかの値段だったけど、アマゾンで購入。
    分厚い本なだけに、読むのに時間はかかった。

    本の前半は、BOPビジネスに対する考え方を載せた講義のような内容。
    本の後半は具体的な事例がたくさん載っている。

    この本が最も言いたいのは、貧困層に対する見方を変えること。ここを強調している。
    「貧しい人」という事実は何か変わったわけではないが、物の見え方を変えるだけで全く新しい発想が浮かぶ。今まで、「恵まれない人」としか見ていなかった人を「消費者」として見るだけで、全く新しい何かが生まれる。

    そう考えると、イノベーションの起こし方にはいくつかパターンがある。
    異と異をぶつけることで、新しいものが生まれることも一つのパターンだけど、今あるものに対する見方を変えるのも一つのパターン。
    当たり前になってること、当たり前に思ってることを疑うことだけでも、新しい何かを生むきっかけになるんだと気づかされた本。

    BOPビジネスの成功の最大の要因=「常識を捨てる」

  • グローバル資本主義は人々を幸せにするのかという問題意識を持っていた私にとって、この本の中の次のくだりが新鮮だった。「グローバル化は重力のようなもので、否定しても何にもならない。グローバル化の是非を問うのではなく、むしろ、あらゆる人々がグローバル化の恩恵を受けられるようにするにはどうすればよいかと問えば、われわれはもっと創造的になれる」

  • この「ネクスト・マーケット」を学んで、中国などの新興国に進出して成功した企業が多いので、ぜひ読んでいただきたい。中国では売掛金を払ってくれないとか、その他の問題の解決法を書いてあったり、中国だけの問題だと思っていたものが、実は、インドの方がもっとひどいとか。アフリカでも、その他の国でも、その国独自の問題があるということです。それともう1つ。新興国では、貧困層にどれだけ安く提供しても貧困すぎて買ってくれない場合が多い。そんなときには、商品を分割払いにしたり、掛けで打っておいて後で分割といったローンの秘策も書いています。

  • 世界の貧困問題の解消は、援助でなく、ビジネスで。というと、フェアトレードかなんかかな、と思うのだが、そういう話ではなく、本当にプロフィット・ドリブンなビジネスを通じてというのだから、かなり驚く。1日2ドル以下で生活する層が市場になるのか?プラハラードの答えは、イエス。なぜなら、一人あたりの利益は小さくても数十億の人間がいるから。

    だが、ビジネスとして成立させるためには、コスト面やビジネスモデルなどで全く新しい発想が必要。というわけで、さまざまなケースが紹介してあって、これがすごく面白い。

    例えば、ニカラグアの貧困層がすむ電力がない村に電気を送る。しかし、送電線がないので、太陽光発電を設置するほうがコスト的に優位となり、ビジネスとして成り立つ。日本では、太陽光発電は、ある意味、エココンシャスな金持ちの道楽的な感じがなくもないが、そういう先進国の先進技術が最貧層のエネルギー問題の解決策になるということは相当に逆転の発想である。

    といった事例が多く収録されていて、目からうろこだ。(発想的にはグラミン銀行のマイクロファイナンスに似た感じが多いかな)

    ただ、ハメル&プラハラードの「コアコンピタンス経営」もそうなんだけど、なんか文章が読みにくくて、ストレートに頭に入っていかないところが難点かな。

  • BOT(Bottom of the pyramid)のマーケットが
    これから重要になり、
    貧困層を救う手立ては、そこにビジネスを持ち込むこと
    だということも理解出来た。

    実際そこで成功している企業があるということもわかった。

    しかし、原価を今の10~20%下げるのではなく、
    90%ほど下げるにはどうすればいいのか、
    この本からは全くわからない。

    そこが一番重要だと思うのだが・・・。

  • いわゆるBOP市場の可能性を探る本。
    BOP市場は、先進国の廉価版を提供すればいいというものではない。彼らのニーズを満たす調査、価値の提供が必要。

  • やっと読み終わった。
    後半は事例の紹介。具体的に書かれている。事例は日本語圏ではもちろんないし、英語圏でもないので、聞き慣れない単語が多かったが、時間があったら落ち着いて読みたかった内容。
    ちなみに付属CD-ROMは、観終わってから日本語字幕が表示可能であることに気付いた…。

  • 世界40億人の「BOP」、すなわち経済ピラミッドの底辺(ボトム・オブ・ピラミッド)に位置する貧困層。一日2ドル未満で生活するこの層の人々を、我々はビジネスの相手として無視してはいないだろうか?  ますます加速するBOP市場の最新動向やケーススタディを通して、動き始めた巨大市場の実状と、ビジネスと企業、そしてグローバル経済の未来を読み解く。

    Part 1 序論
    企業と貧困――この5年間で変わったグローバル経済のルール

    Part 2 知られざる巨大市場
    1 経済ピラミッドの底辺に眠る市場
    2 BOP市場におけるイノベーション
    3 世界規模のビジネスチャンス
    4 富を創造する経済エコシステム
    5 市場を機能させる条件
    6 社会を変革する経済開発

    Part 3 CEOからの手紙
    各界リーダーはBOPをどう見ているか

    Part 4 ケーススタディ
    1 ジャイプール・ラグズ――農村を組み込んだグローバル・サプライチェーン
    2 カザス・バイア――信用販売でBOPの「消費力」を高める
    3 セメックス――貯蓄プログラムを通じて住宅を供給する
    4 ヒンドゥスタン・ユニリーバ(1)――ヨード欠乏症と闘うマイクロ起業家
    5 ヒンドゥスタン・ユニリーバ(2)――官民連携で手洗い習慣を推進する
    6 ジャイプール・フット――生きる希望を与える義足
    7 アラビンド・アイ・ケア・システム――すべての人に世界レベルの眼科医療を
    8 ICICI銀行――マイクロファイナンスが経済全体を変える
    9 ITC eチョーパル――貧しさゆえの制約をネットワーク力で打破する
    10 EIDパリー――市場を開放するインターネット・キオスク
    11 ボクシーバ――25億台の電話とインターネットで感染症を防ぐ
    12 E+Co――BOPの起業家を支援しエネルギー問題を解決する
    13 アンドラ・プラデシュ州政府――eガバナンスが生んだ社会変革

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