働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む

著者 :
  • 英治出版
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760913

感想・レビュー・書評

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  • 慎さんの本は「15歳からのファイナンス理論入門」始め何冊か読んでいます。

    たまたま子供の貧困問題に興味を持っていたところ、慎さんがパートタイムでのNPO活動を通じてこの問題に取り組んでいるということを知りました。

    慎さんが本文で述べているように、まずは関心を持ち、小さいことから始めようと思います。

  • 僕自身がボランティアで参加しているNPOの代表の著書です。活動を通して知った事は、世の中にとって良いと自分が思った事を発信し続ける事で、そのアイデアが的を得たものであれば、共感の輪が少しずつ広がっていくという物です。
    社会養護に興味がある人にはもちろん、日本をとりまく貧困の問題や、広く社会問題に取り組みたいと思っている方まで、是非手にって貰いたい本です。

  • 2018.10読了。
    久しぶりにグッとくる本に出会った。

  • 著者が子どもの貧困について関心をもち、実際にアクションを起こして世の中を変えていこうとする話。
    子どもの貧困に関する事実などについてはすでに知っていることが多かったが、専門家ではないのに分かりやすくまとめられていた。
    そして児童養護施設を訪問し、住み込みまでしてしまう行動力はすごい。真の問題を探るために、現場を知るというのは重要だが、なかなかできることではない。外からではあるけれども、他人事と済ませるのではなく、きちんと向き合おうとしている。自分も寄付だけでなくもっと行動できることがあるのではないか。

    今後心にとめておきたいこと。
    「自己肯定感は日ごろのちょっとしたことの積み重ね」
    「社会の一つの役割は、人の運命が紙の偶然に翻弄されることを防ぐことにある」

    折しも、「児童養護施設で暮らせる期間 22歳まで延長へ」というニュースが入ってきた。喜ばしいニュース。

    購入してそのままになっていた「貧困の終焉」を読んでみたい。世の中を変えるのは2.4%の力でいいという。よく言われる「一人ひとりが」という文言を数字で表すとこういうことだろうか。

  • 慎さんの本であり、まさに表題の内容を実践している素晴らしい一冊だと思った。
    PEファンドに勤めながらこのような取り組みをしていると言うだけでも敬服するのだが、加えて一冊の書籍にまとめてしまうと言うところが本当に優秀な人なんだと改めて思った。

    具体的な書籍の内容についても、今日現在においてもデータの内容以外は陳腐化することなく参考になるものだと思った。児童養護という言葉は知っていたが、実際自分の近くにそのような施設があるのか、またなんらかのサポートが出来るののかを知りたくなった

  • 面白かった。そもそも、誰かを助けるって人は、助ける余裕がないとね、っと、最近、「助けてもらう方が良いのでは?」と思われる支援系の人に多く出会った後で、読んで、すっきり感。でも、「今の仕事だけ」というよりも「今の仕事に」満足しない理由って何?

  • 投資の仕事をしていて経済に強いビジネスマンが、自分のプロフェッショナルを生かして児童養護施設へ貢献する実話。

    内容がぼかしすぎず、活動していく過程や筆者の心の動きがクリアに書かれている。落ち着いた、でも情熱が伝わる文章だ。普段の仕事ぶりが伝わってくる。

    自分のプロフェッショナル、さてどう生かすか。どうせやるなら自分の職業を生かしたい。

    彼の話を読みながら、自分のこれからのことに考えが移り、また本に戻るといった感じで読んでいる。

  • すごくいい本。熱量は高いが、冷静な筆致。

  • 仕事で児童養護施設関係の知識を入れなおさないといけなかったため、読み返した。
    ビジネスパーソンが社会課題に関わることがタイトルになっているが、児童養護施設の状況や統計的情報を理解する上でも役立った。

    仕事で必要な知識について個人用メモ。

    ・普通学校が特別支援学校かで進路を迷った時について。特別支援学校に行くことのメリットは自己肯定感をはぐくむための成功体験が積むことができる。一方デメリットとして、将来の仕事が決まってしまう。普通学校に行くことのメリットはその反対。劣等感を感じ続けるかもしれない一方で、将来の選択肢は広く残せる。

    ・そういう子がヤンキー風になるのも、勉強やスポーツなどで劣っている子どもが居場所を得るための手段だったりする

    ・学童6人に対して職員1人が採用されるが、多くの場合職員は交代制で仕事をしているため、一回に見る子どもの数は平均10人。

    ・児童養護施設にいる子どもの、23.4%が心身障害を抱えている。その内訳としては、知的障害が最も多く1/3を占める。

    ・子どもたちの逆境を乗り越えたときの強さ。

    ・OECDによれば日本の家族・子ども向け支出は、高齢者支出と1:11。(正確に理解していなかったため、改めてメモ)

    ・施設職員の精神的な負担。1:結果の不明確さ、2:罪悪感、3:無力感


    あと印象に残ったフレーズをメモ。
    「死ぬほどの貧困を除くと、開発途上国における貧困お国内の貧困のどちらがより深刻なのか、僕には判断できなかった。マイクロファイナンスの活動と関連してカンボジアの農村に泊めてもらったことがある。ガスも電気も水道もない生活だったけれども、そこには家族や村人たちのつながりがあり、笑いがあり、日々の楽しみがあった。それに比べて国内の貧困にはもっと陰鬱な印象を持っていた。もちろん、餓死になるリスクは国内の方が低いのだろうけれど、本当にどちらがより幸せなのかは分からなかった。」

    「自力で逆境を乗り越えてきたと考えている人は、自身の自己肯定感とそれに基づく「努力できる才能」について、誤解していることがあるかもしれない。苦労して何かを成し遂げた人は、その拝見にある不断の努力を自らの精神力の賜物と考えることが多い。でも、それは正しくない、努力できる強い心は、自分自身の気質や自己決定だけでなく、自分以外のだれかとともに過ごす日々によってはぐくまれるものだ」

    「この技術革新とグローバル化は止まらないし、止めるべきでもないということだ。低所得に落ち込む先進国の人々がいる一方で、新たなチャンスを与えられ、貧しさから立ち上がって豊かな生活を手にすることができる開発途上国の人々がいる・・・重要なことは、グローバル化を止めようとすることではなく、グローバル化の結果貧困に陥ってしまう可能性がある人々に対し、どのような社会保障を提供していくのか、という点にある」

  • (2013/1/19読了)「パートタイムの社会貢献」についての書。ボランティアするなら生活の全てを投げ打たないと=フルタイムでないと参加できない、というのは結局できる人が限られてしまう。パートタイムでも出来る、というところがポイント。

著者プロフィール

1981年日本生まれ。朝鮮大学校法律学科卒業後、早稲田大学大学院ファイナンス研究科に入学、修了。大学院在学中からモルガン・スタンレー・キャピタルで働き始め、同社のグローバル不動産投資ファンドの運用における財務モデルの作成や負債管理システムの構築などに従事。2010年からはユニゾン・キャピタルに投資プロフェッショナルとして入社し、投資の実行、売却、負債リストラクチャリング他、数多くの投資プロジェクトに従事。金融プロフェッショナルとしてのキャリアの傍ら、2007年に認定NPO法人Living in Peaceを設立し、機会の平等を通じた貧困削減のために活動。2009年には日本初となるマイクロファイナンス投資ファンドを企画。国内では、親と暮らせない子どもの支援に従事し、これまで二つの児童福祉施設の新設に関わる資金調達支援、退所後の子どもの就学資金支援、政策提言活動などを行ってきた。2014年7月に五常・アンド・カンパニー株式会社を創業し、2015年10月時点で、カンボジア、スリランカ、ミャンマーにある子会社を通じて現地の貧困層にマイクロファイナンスを提供している。

「2015年 『ランニング思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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