世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何か

  • 207人登録
  • 3.38評価
    • (7)
    • (7)
    • (8)
    • (4)
    • (3)
  • 15レビュー
制作 : 清川 幸美 
  • 英治出版 (2011年2月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760968

世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何かの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 2011年17冊目。


    過去の教訓は、未来を動かすためにあります。


    この本には、有名な大統領から、テロ被害者の母親、死刑目前の殺人犯まで、多種多様な21の演説が収録されています。
    これらはすでに多くの人の心を動かし、タイトルの通り、すでに世界を「動かした」面もあるでしょう。
    しかし、これらの演説が著書となって再びここに現れた本当の意義は、これらを読んだ私達がその教訓を糧に世界をこれから「動かしていく」ことにあると思います。
    収録されたオバマ大統領の演説から言葉を借りれば、

    「私たちには、自分たちが求める世界を作る力があります。しかしそれは、私たちがこれまでに書かれてきたことを胸に刻み、新しく始める勇気を持ったときに初めて可能になるのです。」

    この本は過去で完結した物語を単に記したものではなく、未来を築いていく私達への問題・関心提起です。


    全ての演説を通して得られる最大の教訓は、「納得できない意見の中にも理解を示す」ことの大切さであると考えます。
    賛成できない内容の中にも、演者の「信念」が潜んでいます。
    もしかしたら争いは、意見の内容の否定によって起こるのではないのかも知れません。
    そこに込められた「信念」の否定によって生まれるのではないかと思うのです。
    人間は内容の修正・妥協には耐えられても、信念の否定には耐え難いものだと思います。

    自分と同じ考えであるかどうかの判断よりも、相手の意見の中にあるそれぞれの「信念」に理解を示す姿勢を持つこと。
    納得と理解を分け、食わず嫌いにならないこと。
    お互いの「信念」をまず分かり合えた時、初めて内容上の妥協点を探す議論ができるのではないでしょうか。

    相手の「信念」を尊重する姿勢で傾聴した時、収録された21の演説に対しても、これから人生で出会ういくつもの考えに対しても、賛否を越えた意義を見出せると思います。

    示唆に富んだ他の演説を盛り込んだ続編が出ることを期待しています。

  • タイトルは薄っぺらい自己啓発本っぽいですが(タイトルですごく損している本で残念)、
    21それぞれの演説の歴史的なバックグラウンド及び筆者の見解が丁寧に記述されており、一つ一つの演説からなる章が非常に重みのあるものとなっています。

    演説の単なる紹介ではなく、
    誰の演説を取り上げるかによって、筆者の主張が見えてくるところが興味深いです。

    筆者として一番取り上げたい(一番強調したい)のは、ブッシュ大統領とオサマ・ビンラディンの演説の章のように思われます。

    筆者の主張は・・・

    輝かしい進歩を遂げてきた西側世界(特にアメリカ)や民主主義は手放しで称賛できず、
    資源の搾取、核兵器の使用、罪もない市民を攻撃した戦争、冷戦の名の下に行われた各国への干渉(朝鮮、ラオス、ベトナム、コンゴ、イラン、キューバ、チリ)、干渉に対するテロなどの報復、政治権力の乱用、環境破壊など負の部分を多く生み出してきたことも忘れてはならない。
    彼と我(敵と味方、先進国と後進国、イスラム教とキリスト教、イスラエルとパレスチナ、白人と黒人etc)を分けることなく、お互いを理解することによって過去の過ちを避けることができるのではないか。

    ということだと思います。
    私たち一人一人が何が正しいかを再考して、そんな理想の世の中になればいいですね。

    <共感した部分を一部抜粋>
    ・(中略)私たちには知らないでおく権利もあります。こちらの方がずっと価値がある権利です。神から授かった私たちの魂を、ゴシップやたわごと、空虚な話で満たさせない権利です。努力し意味のある人生を送っている人は、こういう過剰な情報の洪水を必要としないのです。
    ・・・(中略)物質的なものを手に入れ、最大限に楽しむのにもっともよい方法を探すことではないはずです。人生の旅が道徳的な成長の経験になるように、人生を始めたときよりよい人間になって人生を終えられるように、永遠の義務をひたむきに果たすことでなければなりません。
    (アレクサンドル・ソルジェニーツィン、ノーベル文学賞受賞者)

    ・これはブレアが首相在任中に関与した五つの武力衝突の二番目にあたる。五つの中でもっとも激しい議論を呼んだのは、二〇〇三年のイラク侵攻と占領であり、そこに至るまでの彼の行動は、「戦争の最初の犠牲は真実である」という格言を実証することになった。

  • マーティン・ルーサー・キング、マハトマ・ガンジー、チャーチルといった有名な演説だけではなく、ビンラディン、死刑囚などの演説。ブッシュやサッチャーの戦争を正当化する演説。などなど、よくも悪くも、現在の世界を形成してきたインパクトのある演説を21本収録している。

    もちろん、演説だけでなく、解説もとても明快である。

    たまたま、この本で、ビンラディンの演説を読んだ翌日に米軍がビンラディンを殺害したという報道を接する事になり、とても複雑な感じがした。

    とうのは、ビンラディンの演説を読むと、そこには、ある種の正義、納得性があるのだ。

    そして、そべての演説、例えば、人種差別的な移民排除の演説であれ、戦争を擁護する演説であれ、どれも説得力があるのだ。

    言葉のパワーを再認識した。

    言葉は無力なものに思われるかもしれないが、言葉はやはり世界を形成しているのだ。

    と思うと、日本におけるリーダーの言説のレベルの低さにどっと疲れを感じてしまう。

    が、こうした言葉のレベルの低さというものが、やはり現在の日本を形成しているものだと思う。

    謙遜や他人への配慮で、何を言っているのか分からない言説を見直して、もっと自分の考えをストレートに語るということが大切だなー、と思った。

    もちろん、強い言葉を使うときの責任、リスクを踏まえながら。。。。

  • いつの時代も言葉が世界を変えていく。よくも悪くも世界を動かした21の演説。

    ただの演説を集めた本、ではなくそれぞれの時代背景を説明してます。あと戦争や平和、正義、権利等の問題を一方向ではなく多方面で紹介しているのも面白いです。ブッシュの演説とビンラディンの演説が一緒に載せられています。
    キング牧師の”I have a dream"のような有名な演説もあれば、テロで息子を亡くした母親の演説もあったり、比較的政治家の演説が多かったですがそれに限らず多彩な言葉が並んでいます。
    言葉は世界を正しく動かすとは限らない。そもそも正しいとは何か。そんな事を考えさせられる本でした。
    載せられているのは以下21の演説。

    ■自由か死か:エメリン・パンカースト/政治活動家
    ■私には夢があります:マーティン・ルーサー・キング/公民権運動活動家
    ■血の川:イノック・パウエル/政治家
    ■やり直すチャンス:ナポレオン・ビーズリー/殺人犯
    ■盗まれた世代への謝罪:ケビン・ラッド/26代オーストラリア首相
    ■引き裂かれた世界:アレクサンドル・ソルジェニーツィン/ロシアのノーベル賞作家
    ■歴史の掃き溜め:ロナルド・レーガン/40代米国大統領
    ■われらの対テロ戦争:ジョージ・W・ブッシュ/43代米国大統領
    ■安全はあなたがたの手中にある:オサマ・ビンラディン/アルカイダ指導者
    ■気候は安全保障の問題です:マーガレット・ベケット/元英国外務大臣
    ■われわれは海岸で戦う:ウィンストン・チャーチル/63代英国首相
    ■この暗く苦いとき:サルバドールアジェンデ/29代チリ大統領
    ■フォークランド・ファクター:マーガレット・サッチャー/71代英国首相
    ■国際共同体のドクトリン:トニーブレア/73代英国首相
    ■カインのしるし:ティム・コリンズ/元英国陸軍司令官
    ■怒りにまかせて悪をなすな:モハンダス・ガンディー/インド独立の父
    ■軍産複合体:ドワイト・D・アイゼンハワー/34代米国大統領
    ■重い心を抱いて:ロビン・クック/英国下院院内総務
    ■この子がアントニーです:マリー・ファタイ=ウィリアムズ/テロ被害者の母
    ■新たな始まり:バラク・オバマ/44代米国大統領

  • 世界を動かした演説をあつめたものといっているが・・・

    戦争、人種差別、女性の権利・・・・

    演説がいいというよりは、大きく世界が動くときに登場した人の演説。

    うーーん。正直いまいち。
    単なるまとめ記事。

    創造性も、新しい発見もなにもない。

    このような本は書く人はまとめるだけなので楽なんだろうが、
    このネットでほとんどのネタがそろう世の中でこんな書籍の意味があるかどうかははなはだ疑問。

  • 「こんなもん、たかが詞じゃねぇか」と言ったミュージシャンがいた。そう、
    言葉なんて「たかが言葉」なのである。

    でも、その言葉は人に行動を促したり、考える機会を与えたり、いい方向
    にも悪い方向にも力を授けたりする。

    アメリカの公民権運動に尽力したマーティン・ルーサー・キングの「私には
    夢があります」の一節を含んだ有名な演説を始め、21の演説を取り上げ
    ている。

    有名なものばかりではない。18歳の時に犯した罪の為、電気椅子に
    送られることになったアメリカの死刑囚の最期の言葉は死刑制度を
    再考するテキストでもある。

    どれもが読み手の心に何かを残す演説である。勿論、疑問に思う内容の
    ものもあるが、特に印象に残った演説がふたつある。

    第26代のオーストラリア首相だったケビン・ラッドが、先住民族の子供たち
    を家族から引き離す政策に対して詫びた「盗まれた世代への謝罪」。もう
    ひとつはロンドン地下鉄・バス爆破テロで息子を失った「この子がアントニー
    です」で始まる、母親のスピーチ。

    そのスピーチからの一節を。

    「罪もなく流された血は、いつも全能の神に報いを求めます。どれだけの血が
    流れなければならないのでしょう。私たちはどれだけ涙を流さなければならな
    いのでしょう。いったい何人の母親の心が引き裂かれなければならないので
    しょう。」

    人間は異なった考え方に拒絶反応を示しがちである。しかし、相手を信頼し
    受け入れることで違った方向に向かうこともある。その助けになるのが、
    言葉なのかもしれない。

    たかが言葉、されど言葉。言葉に込められた信念を、思想を、理解する努力を
    すれば少しは争いがなくなるのだろうか。

  • 久しぶりにボリュームのある本を読んだ。一冊で世界の主要な諸問題について考えさせてくれる本。
    構成も面白く、抽象的な善悪論から現代の抱える気候変動、経済、安全保障といった問題へと展開していくため、テーマの割には入り込みやすかった。
    世界的偉人の演説だらけだが、一番気になったのはロシアのノーベル賞作家、ソルジェニーツィンの「引き裂かれた世界」。働く人間として、経済思想と価値の関係(違い)を考えられたのは貴重な経験だったと思う。
    とか偉そうに書いたけど、とにかく教えられるがまま、考えさせられるがままの一冊でした。感服。

  • 20111107Amazonマーケットプレイス

  • 世界を動かした、言葉。

    過去100年にわたって行われた演説の中から21を取り上げている。
    演説は4つの分野に分けられている。
    1.人類はみな人間
    2.敵か味方か
    3.力と正義
    4.平和への道

    世界を動かした、という部分に重点を置いているため、
    なるべく世界中から、
    善悪は問わず、
    選出したようだ。
    とはいえ、演説自体が西洋文化で生まれたものである以上、やはり欧米人によるものが多くなっている。
    だが、決して欧米人がすばらしい演説をしているわけではなく、
    ガンディーや、反乱の最中にあるチリ大統領の演説には大きく心を動かされた。

    本書を読んで印象が変わったのは、
    ブッシュ大統領とオサマ・ビンラディン氏だ。
    どちらも世界の問題者のように思っていたが、演説は上手く、説得力がある。
    彼らの言葉と実際の行動に乖離があるのか、私が報道に踊らされているだけなのか。

    ペンは剣より強し。

  • 和図書 304/A11
    資料ID 2010105427

全15件中 1 - 10件を表示

Chris Abbottの作品

世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何かを本棚に「読みたい」で登録しているひと

世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何かを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何かを本棚に「積読」で登録しているひと

世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何かの作品紹介

いつの時代も、言葉が世界を変えていく。確信に満ちた言葉は、人の思考を変え、行動を変え、さらには世界まで変えてしまう力を秘めている。自由と平等、移民問題、死刑制度、テロ、気候変動、歴史問題、戦争と平和…世界と人類の大問題を論じ、良くも悪くも世界を動かした演説を軸に、いま考えるべき問いを突き付ける論争の書。

世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何かはこんな本です

世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何かのKindle版

ツイートする