フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た
- 英治出版 (2013年8月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862761590
作品紹介・あらすじ
「このコーヒーで、アフリカの貧しい人を救えます」「このアクセサリーで、恵まれない子どもたちが学校に通えます」…信じてもいいのだろうか?世界一周の旅で出会った、誰も知らない驚きの真実。
感想・レビュー・書評
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認証をもとに、作り手のためになる商品を買うだけでは、消費者の自己満足に過ぎない、ということが分かりました。
間に入る人の少ない小さなビジネスがお互いのためになる。これからは、そういうビジネスが主流になるといいな。 -
私たちが普段手にする食品や機器などの生産に関わる、とりわけその末端にいる人々が日々劣悪な環境のもとで生活しており、彼らの貧困を先進国の大手企業は救済することができていない(それどころか温存させている場合さえある)、そんな真実を白日の元に晒した本です。フェアトレード認証ロゴがついているからといって、その商品を買うことが必ずしも貧困に苦しむ生産者の生活を向上させることにはなっていないこと、大企業にとってはそのような倫理的認証を収益増をもたらす一手段として戦略的に利用していることが印象に残りました。筆者が最後に述べているように、私たち消費者がこの問題に直接働きかけることはできないが、私たちは行動を通して大手企業を動かしていく責任があると思いました。
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またいつか読む。
ずっと読みたいと思いながら、なんとなく後回しにしてきた本。
これこそ、消費者の行動と同じだと思った…
気にはなるけど何となく後で。
認証という楽なシステムで判断できるならそれに越したことはない。
ファクトフルネスの著者が
大学の講義で、医薬品メーカーを非難する学生たちに向けて、事態はもっと複雑であることを説くエピソードを思い出した。 -
普段自分が食べたり、手にしている輸入品が、驚くほど劣悪な環境で、途上国の人々が身を削るように生み出してくれているお陰で、気軽に手に入れることが出来ている‥。
この作者は、そんな輸入品をとことん源流までさかのぼり、フェアトレードのマークのついた商品を買うことで、搾取されるかわいそうな人達を減らせたと簡単に自己満足している人たちの知らない現実の汚れた世界を見せてくれている。 -
中:フェアトレードの話をするときにぜひ紹介したい本。
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★2023.01(1年・2年) -
フェアトレードの勉強会に出るので事前学習第一弾。どちらかと言うと否定的なスタンスでフェアトレードの裏側を描くとともに、フェアトレード認証のロゴマークに依存せずに生産者に正当な対価を払う新たなモデルを紹介しています。
続きはこちら↓
https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2019/05/blog-post_27.html
Amazon↓
https://amzn.to/2Wbq41j -
「ファクトフルネス」の内容とリンクできて楽しく読めた
印象の残った話.
・「倫理的」ももはや売り物
(しかし,売り物になったおかげで倫理的活動や投資に拍車がかかるならそれはそれでありか...)
・そこの海域が北米へのコカインの密輸ルートになっている中米のレベル3国の港町ではたまに,訳あって海上に投棄された何十キロのコカインが打ち上げられる(現地では白いロブスターというらしい)らしく,そこで暮らす人々の生活を豊かにするのに税金なんかよりもはるかに効果的らしい.(浜で拾ったコカインが教会や病院,学校などになる.)
・ロブスター漁に関し,危険を冒してグローバル企業に収める現地の人と,「安全に捕獲されているものしか取引していません」と見て見ぬ振りをするグローバル企業,その現実を知り疑問を抱く筆者.
個人的にはこれは仕方のないことだと思う(現地の人は欲張って危険を冒してでもロブスターをとりたくなるだろうし,漁師の中で競争も生まれるだろうから)
エコシステムを設けずして倫理観を訴求するのはただの理想論だなあと感じる.
この発想,フェアトレードの分野以外でも使えそう. -
2018/12/2 詳細は、こちらをご覧ください。
『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-916.html
フェアトレードを知ったのは、ずいぶん前。
積極的にフェアトレード商品を買っているわけではないけれど、すごく興味があります。
ところが、なんということ!
フェアトレードは、単なるビジネスらしい。
しっかり本書を読みます。
『フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』
内容 : 原タイトル:Unfair trade
「このアクセサリーで恵まれない子どもたちが学校に通えます」は信じてもいいのだろうか?
複雑なサプライチェーンに疑問を抱いたジャーナリストが、発展途上地域の暮らしを訪ね、世界一周の旅で出会った驚きの真実を綴る。
著者 : コナー・ウッドマン Woodman,Conor
2018/02/10 予約 3/20 借りる。4/7 読み始める。4/10 途中で返却し再予約。
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原題は”Unfair Trade”。
National Geographic TVのキャスターの著作、信頼感抜群の良書。
決して安易なフェア・トレード批判本ではない。フェア・トレードを生産者が正当な対価を得る、という当然のこととして必要性を認めている。その上で、必ずしもそれが貧困解消に結び付いているケースばかりではない点も力説する。
例えば、ときとしてフェア・トレードがマーケティングツールになっていること(NGOが発行するフェア・トレード認証を買うための登録料)、それどころか認証を得るためコーヒー農家が村の協同組合に入らされ(長老みたいなのが仕切ってみかじめ料を取っている)、自主的な流通の道を断たれている、といったケースもある。同時に、それを打破するために認証団体よりもはるかに高い値段でコーヒーを買い付け、商業的に成功している企業の事例も紹介している。
「資本主義は、欠点こそ多いもの、やはり人々を貧困から救う方法としては私たちに与えられたもっとも有効な手段なのだ。だが、ここでの共通認識は、・・・資本主義体制が搾取に寛容すぎるという点だ。」(本文より)。これが本書の主張の根幹だろう。
市場経済に後ろめたさを感じる必要はない。むしろそれを貫徹することが貧困削減には重要だ(NGOによる監視ももちろん大切だ)。怪しげな特権を打破するための規制緩和、労働搾取を許さないための法整備などなど。場合によっては「よその国」にどこまで口を出すのか、という点に関わらざるを得ないかもしれない。例えば中国企業が国内外でやっていることに対しての本書の視点は極めて厳しいが、彼らはそれを「内政干渉」と呼ぶかもしれない。
結局最後に機能するのは「良質な製品に正当な単価を払うのは当たり前」、という消費者のモラルだろう。モラルこそが市場経済の最重要の基盤、と改めてわかる。 -
2016・6・9読了。
フェアトレードの裏側というか、構造に迫る1冊。
この本を読んで、普段いかに自分たちが聞こえのよい(納得しゃすい)単語・フレーズによって思考を停止させてしまっているかがわかる。フェアトレードという単語は、もう何年も前から普及しているが、その仕組みを本当に理解することもなく、また、熟考することも、疑うこともせず鵜呑みにしていた。フェアトレードについて書かれた本であるが、自分自身を振り返る機会になる1冊だった。 -
知らないことばかりで、頭がクラクラした。また読みたい。
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電子化して読了。
内容的には面白いところもあったけれど、イマイチ、フェアトレードに絞っているわけではなく、事例も少ないし、エッセイのような内容だった。 -
レインフォレスト・アライアンスとフェアトレード財団。
違いは最低価格の保証があるか。
チョコレートのグリーンアンドブラックスが先駆者。
費用のうち半分は管理費、残りは宣伝費。農家には行かない。
中国は、個人主義的文化の中の共産主義。アップルの下請け労働者の悲惨は労働環境について。
ディンバーランドかパタゴニアが実績を残している。
ラオスのボーデンは中国に買い上げられた。
アヘンの次は、ゴム農場。
中国の個人投資と政府投資。倫理的配慮がない投資活動=ラオスのゴム、西アフリカ、中南米の漁業権、ペルーとアフガニスタンの銅採掘。
大手企業も共犯。
コンガの内戦。FDLR(ルワンダ開放民主軍)による危険。
スズ鉱石の劣悪な採掘環境。だれも投資しない。
国連が倫理的でないという理由で購入を禁止すると、闇市場で売られるだけ。採掘しなければ生活できない。
FDLR兵士にお金を配れば、戦争は終わる、という意見がある。
アフガニスタンのケシ栽培。
ケシはタリバンの資金源。アフガニスタンは世界のコカインの90%を生産。
ケシなら業者がとりに来る。麦は売りに行かないといけないが、それが危険。農民の選択。
トルコは、ケシ栽培を合法化。医薬品の原料に。
タンザニアのコーヒー。
デイビットとイアンの例。認証の罠。
隙間産業からの出発。
コートジボワールの綿。
オラムのサプライチェーン。
アメリカの供給体制と対照的。大規模機械化ではなく手作業中心。
紛争状態では、すでに大手国際企業は手を引いている。
責任を持つ前に、無責任でいることをやめる。
したから初めて上へ向かう。
てっといばやい解決方法はない。
チャイナファクター
生産を外部委託しても責任を外部委託していいわけではない。 -
なかなか読み応えあり。久しぶりに時間をかけて読んだ。この本から何を得るかはそれぞれだけど、同じ事をしても同じ対価が得られない仕組みが厳然とある事実。世の中の社会貢献と呼ばれる権威の周りをうろつくだけでは、本当の貢献はできないんですね。
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フェアトレード。。これが全くフェアではない実態が見えてきます。そのマークを掲げることで消費者はいいことをやった気持ちになってしまう。。そのマークを付けるだけで売上が伸びる。。間違ったブランド化であり展開だと思います。そんな中でも真摯に考えている世界中の方々の取り組みについても書かれていますので、是非読んでほしい1冊です。
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豊かな国に生きてるってことは、会ったこともない誰かの犠牲の上に繁栄を手に入れてるってこと。
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「だがレインフォレスト・アライアンスは最低価格を保証していないため、世界のコーヒー市場が急落してもマクドナルドは損をするわけではない。」
フェアトレードの実態に迫った本。これこそ不都合な真実だ。確かに、フェアトレードの考え方は普及したと思う。しかし、それが実践されているかは別の話だ。
企業はクリーンなイメージとしてフェアトレードを使い、貧困を宣伝材料にする。そして、貧困の解決はフェアトレード財団等に任せ、そこから先は知ろうとしない。知らなければ責任を負わないからだ。
これは消費者も同じだ。貧困の撲滅を自分から働きかけるのは難しい。お金を払うだけで、貧困撲滅に貢献できるなら、簡単に気持ちよくなれる。本当に大切なのは、消費者がもっと貧困について学び、企業が表面的に行動しているだけではないかと疑う点にある。
この本を読んで、特にカエルちゃんマークに対する意識が変わった。あのカエルマークがなくとも、貧困撲滅に望んでいる企業はたくさんあるのだと分かった。
「おまえはいい仕事をやったなとだれかに言ってもらって、それに対して代金を支払い、よそのロゴを当社のブランドの上にくっつけたいなんて、どうして私が思うんです?」 -
年末年始休みももう終わり。
2015年もよき本と出会えますように。
店頭で販売されている商品に、フェアトレードが謳われているものを見かけたことはないだろうか。
アフリカや南米の貧しい国のコーヒーやカカオ豆を、適正な価格で購入しているかどうかを商品を選ぶ基準として見ている消費者が増えている証拠だ。
だが、手に取ったそのフェアトレード商品は、本当に生産者にとってよいものなのだろうか。
著者が実際に大企業と取引を実施している生産者に会いに行き、話をして分かったフェアトレードの現状を読者に提示する。
きれいごとではない世界の貿易の現状が、臨場感のある文体で語られています。
特に印象的だったのが、アフガニスタンのケシ栽培とコンゴのスズ石採掘です。
前者は厳密に言えばフェアトレードの話ではありませんが、世界的にアヘン撲滅を目指して活動している様々な組織の政策がほとんど意味を成していない現実をまざまざと見せつけられた気がします。
後者のスズ石は先進国のIT機器に欠かせない錫を生み出す鉱石ですが、採掘現場や周辺の村の人々の進退窮まった物言いがぐっと胸にきます。
筆者なりの考察を述べる章も非常に現実的で、読んでいてなるほどと思える素晴らしい本でした。