UXの時代――IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか

著者 :
  • 英治出版
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本棚登録 : 354
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862762450

作品紹介・あらすじ

IoT、人工知能、ビッグデータ、センサー、ロボティクス…テクノロジーの進化と普及は、企業のあり方、個人の働き方を根底から変え、かつてないUX(ユーザーエクスペリエンス)を生み出す-。モノ・空間・仕事・輸送の4大リソースを解放する共有型経済のビジネスモデル。

感想・レビュー・書評

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  • UXとは何ぞや?ということを今更ながらに興味を持ったので、読んでみました。
    少し時代遅れなような気もしますが、今ならまだギリギリ間に合うかも。。

    インターネット時代におけるテクノロジーが世の中にどのようにインパクトを与えてきているのか、
    その歴史を俯瞰して知ることができると同時に、UX時代におけるビジネスのあり方が学べます。

    素人同然だった自分でも、標準レベルにまで引き上げてくれる良い本です。
    分厚いハードカバーの割には、とても読みやすく、かつ楽しく読めました。

  • 本のタイトルから、ITの世界で「UI/UX」と言われている領域のノウハウやユースケースを解説した内容を期待していたのだが、全く期待外れだった。
    冒頭からしばらくは、シェアリングエコノミーやAI・IoT、3Dプリンティングなどの最近の動きについての一般論が延々と続くのだが、新味のある話は全く無く、動向を把握している人であれば斜め読みで十分なレベル。
    で、中盤からは、著者が起業した会社の事業の紹介になるのだが、独力で事業を始めて育て上げた実行力と先見の明は率直に素晴らしいと思うものの、事業内容がそんなに尖ったものであるとも思えず、正直読み物としては退屈だった。

    視点として面白いな、と思ったのは、以下の点。
    ・通常は固定費に組み込まれてしまって「活用されていないこと」が見えなくなってしまう「リソースの非稼動部分」を見つけ出し可視化することが重要
    ・スマートフォンの画期性は、以下の5点に端的にまとめられる
     「デバイス/センサーとしての高機能化・高性能化」
     「通信機能の進化」
     「データ管理方法の進化(クラウド化)」
     「多様なアプリケーション」
     「AIによるUXの高度化」

    先日読んだ<a href="http://blog.goo.ne.jp/rainygreen/e/37f791b2c39cba8c34f329f880b18f73">『トヨタの強さの秘密』</a>で賞賛されていた「主査制度」なんかも、この本では垂直統合型の旧式企業の限界を示す事例として取り上げられている。

    大きな流れとして、著者の言っている垂直統合型から水平協働型の経済・社会へという方向性は正しいと思うが、旧型経済・社会がそう簡単に変わらずしぶとく力を持ち続けるのも現実だと思う。
    そういう意味では、すでに旧型経済にがっつり組み込まれてしまっている自分のような世代よりも、これからビジネスの世界で活躍する若い世代こそが期待されている読者層なんだろうね。

  • 本書は表紙にもありますようにUX(ユーザーエクスペリエンス)の時代が来たということで、その背景にはIoTやシェアリングエコノミー、AIの進展をあげています。本書全体を読んだ印象について。個々のトピックは面白かったですが、ビッグピクチャーを語っている箇所は説得力に乏しいと感じました。また一貫して垂直統制型はダメで水平展開型企業だけが生き残ると主張していますが、ジェレミー・リフキンの「限界費用ゼロ社会」にインスパイアされていると書いてあるものの、彼の本と比べればロジック展開は弱く、また心に描いている社会像もリフキン氏のものと比較すると卑近な印象が否めませんでした。その最大の理由はリフキン氏が持っているような深い哲学を著者が持っていないことでしょう。ドラッカーの本は少し読まれているようですが、思想、哲学に関する本はほとんど読まれていないのかなあ、という印象は受けてしまいました。

    私もリフキン氏の著作には感銘を受けたのですが、彼の描く世界はもっと深淵だと思います。そこでは人間がもはや労働者、消費者、ユーザー、といった区分で描くのが難しい世界であって、UXというのはそもそも古くからある概念だし視野が狭いのではないでしょうか。IoTやシェアリングエコノミーが進展した世界では、各人がユーザーでもありサプライヤーでもあり、プロデューサーでもあるのだと思います。またつながることで、各人が個人でもあると同時に全体でもある、つまり"I"でもあり"We"でもあるという世界観になるのだと思います。よってユーザーとしての体験だけが大事なのではなく、サプライヤーやプロデューサーとしての個人の体験も同等に重要なので、そこではもはやUXでは収まらずHX(ヒューマンエクスペリエンス)とでも呼ぶ方が適しているのだと考えます。

    また著者が描く水平・協働型企業では、UXリーダーとプロフェッショナルとスペシャリストと呼ばれる人たちが活躍することになっていますが、マネジメントは誰がやるのでしょうか。著者は戦後の日本企業にはUXリーダー(創業者)が多くいたので世界で競争に打ち勝ってきたと述べていますが、例えばホンダの場合は本田宗一郎という攻めのリーダーを支える藤澤武夫というマネジメントを仕切る影の存在がいたことを忘れるべきではないでしょう。リーダーとマネージャーは違いますが、水平型社会になってもマネジメント能力は引き続き必要なのだと思います。

    ということで大変申し訳ないですが、事例部分は興味深く拝読しましたが、総論的な箇所はたびたび首をかしげるような本だと感じました。

  • IoTやAIなどの技術、シェアリングという概念の普及によってメーカー主導からユーザー主導となり、それによって産業のあり方が垂直統合(統制)型から水平協働型に変わるといった内容の本。とりわけ興味深いと感じた部分はなかった。

  • すぐに読むのをやめてしまった

  • 2022年現在、比較的古い著書なためか、垂直統合サゲ、シェアリングエコノミーアゲ、P2P、UX重視、という論点は、ありきたりでちょっと胸焼け気味な印象だった。

    リフキンの限界費用ゼロ思想にだいぶ影響を受けているかも(限界費用ゼロ論は、重要で本質的な思想ではあるが、現状はまだ政治的・技術的にもミッシングピースが多すぎると思っている)

    あと、UX重視もそのとおりではあるが、他に良書は多くあるので、あえて本書から学ぶ必要もないかもしれない。

    たぶん、2022年現在(またはそれ以降)必読というわけではないと思う

  • UX(ユーザエクスペリエンス) 垂直統合の現在のビジネスモデルから、IOT、ネットを使って、UX:顧客満足を満たすビジネスをめざせ。実現できていないニーズはたくさんありチャンスだ。

  • これまでの産業革命が「縮退」(現代経済学の直観的方法)をもたらしたのとは反対に、UXの時代では人々の閉塞感を打破するような真の革命が起きるのではないかという期待感を持って読んだ。
    これからはユーザーが中心になる、これまでの垂直統制型ではなく水平共同型の新しいビジネスモデルへの変革が必要だと強調されている。ところどころ論拠が不明確で偏った見方なのではと感じさせるところもある。そもそもこれまでの文化・技術・社会がどのように変わってきたのかという前提の理解がないと、未来がどうなるかについて書かれたこういった類の本を正しく読むことはできないと感じた。

  • 全部読んでません。ごめんなさい。

    IoT、シェアリングの基礎知識の横断という感じ。異業種からその分野を知りたいときに読むと良いかもです。(2016年なのでもう古いが……)
    随所に挟まれる著者の社会学っぽい展望が楽観的すぎるかなあという感。シェアリングによる資本主義からの脱却、みたいなこと言うけど今読むとUberの雇用問題とかが脳裏に浮かんでウーム、と思ってしまう……

  • 経済学的な切り口で書かれた、「今」がおもしろい。学生時代、イマイチ嵌らなかったけど、ありきたりながら、社会人になって労働とかを実感として感じて、経済学を振り返るとおもしろいな。特に、The経済学的な思想の範囲外のエンジニア(システム屋)をやってから、もう一度その思想を振り返ると、その前提の崩壊具合を実感して面白い。

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