非協力ゲーム理論 (数理経済学叢書 1)

  • 知泉書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862851079

作品紹介・あらすじ

ゲーム理論の対象としては複数の意思決定者が存在して社会を構成し、彼らの意思決定が結果に直結する状況が、数学的、論理的分析に最適である。その場合、意思決定者は各自独立に意思決定し行動するか、複数の意思決定者が一つのグループとして行動するかの二つに分けられる。本書は前者の各自の意思決定と行動を分析する非協力ゲームを対象とする。これは複数の意思決定者の間で拘束的な合意が形成できないことを意味する。ミクロ経済学では意思決定者である企業や消費者の間で拘束的な合意ができない状況が現実的であり、非協力ゲーム理論の応用にも適している。著者は理論的な学問は完全に分かるか、分からないかのどちらかしかないと考える。完全に分かるとは用語を正しく理解し、理論の主張に至る論理をすべて理解することである。本書は完全な理解を目指し、厳密な理論を分かりやすく説明するため、表現上の工夫や事例に配慮し、多様な練習問題により確実な理解への道を示す。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は非協力ゲーム理論の基礎に関する教科書である。

    支配戦略、ナッシュ均衡、混合戦略などの標準形ゲームにおける概念の説明から始まり、展開形ゲームにおける、後ろ向きの帰納法、部分ゲーム完全均衡、無限回繰り返しゲームなどが説明されている。
    不完備情報ゲームに関しては、完備情報の不完全情報ゲームとしての捉え方を導入し、ベイジアン・ナッシュ均衡、完全ベイジアン均衡にについて説明する。
    後半では均衡の精緻化、つまり均衡のクラスとして、摂動完全均衡、プロパー均衡、逐次均衡などが説明され、複数ある均衡の選択 (評価) 手段として利得支配、リスク支配、p-ドミナントが紹介される。
    最終章では簡単に進化ゲームについて触れられ、ESS、NSS、RSSなどの安定性概念が説明されている。

    全体を通して基礎から丁寧に説明され、サンプルとなるゲームの例も豊富である。ただし基礎理論の学習書という立場から、例示されているのは人工的なゲームがほとんどである。数式が多用されていて、章によっては大学院生を対象としていると書かれているが、私のような計算機科学を始めとする理系の読者にとっては読むことは特に難しくない。

    初学者の2冊目の本として良書であると思われるが、練習問題が豊富であるのに対して解答が1問置きにしかないこと、展開形ゲームの定義及び展開形と標準形ゲームの相互変換についての定義が曖昧であること、が物足りなく思った。前者は独学者にとっては大きな問題である。後者はおそらくツリーの理論的扱いに筆者が慣れていないものと思われる。

    上記の点を差し引いても、非協力ゲーム理論の概要が正確に学べて非常に参考になったので★5つとする。図書館から借りて読んだのだが、参考書的に手元に置いておきたいと思った。

  • 331.19:Gu

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