- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863100008
作品紹介・あらすじ
医学の目ではなく、「進化生物学」の目で病気と健康を考える。人間の身体とは何か、病いとは何かへの新たなアプローチ。
感想・レビュー・書評
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人類史・地球史の観点。遺伝子はそう簡単に進化しないのですね。細胞レベルでの生存競争のせめぎ合い。赤ちゃん誕生の奇跡。おばあさんという特質。
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病気とは、進化の過程で変化してきた遺伝子と環境の複雑な相互関係によって起こっているという考え方が井村先生の提唱する進化医学です。
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●内容
・進化生物学者による、「進化と人体」のガイド。
・署名がややこしいが、病気(感染症)に限らず、生活習慣病、妊娠、子育てなど幅広いテーマで「いかにして人体が作られたか」を語る。
●コメント
○著者は、医学の「部位による病気の分類」をいったん脇に置き、「原因による病気の分類」を示す。このうち、2,3が進化生物学で説明される。
(引用)
1、感染症
2、進化環境と現代環境とのミスマッチ
3、適応の副産物
○人体に起きる不具合について、いろいろな理由がある中で特に大きいのが「サバンナ生活」に由来するもののようだ。
(引用)
・私たち人間が大量に汗をかくようにできているのは、涼しい木陰などというものがあまりないサバンナを、延々と歩かねばならなかった生活への適応なのです。
・ホモ属の初めから数えれば、250万年の歴史の中の249万年は、狩猟採集生活だったのです。ですから、私たちのからだの基本設計は、狩猟採集生活に合うようにできているのであり、最後の1万年に急速に起こった変化に合わせて、リアルタイムでそれについていくような変化は起こっていません。このタイムラグからくる不具合が、生活習慣病を初めとするいろいろなものに現れているようです。 -
要約すると、
・進化論。その時点時点での環境に適応している子孫が残ってきている
・人類は過去の歴史で経験していないほど生活が変わっている
・その進化での変化と環境の変化の速度のギャップが、病気という形で現れている
終了。
とても分かりやすく読みやすい本だと思います。
性に関するところは、山登り探索に失敗して最適解から外れてしまった経緯分析は面白いです。
しかし、本のタイトルである「なぜ病気になるのか」というところに対しては肩すかし気味なくらい、内容が薄めだと思うのです。
いや、オシャレな装丁からは、もともと軽い読み物という位置づけなのか。
人間の体は運動をすることを前提に作られているなら、しっかり運動してメタボ対策しましょう、ということで。