庭をつくる人 (ウェッジ文庫)

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著者 : 室生犀星
  • ウェッジ (2009年6月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863100497

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庭をつくる人 (ウェッジ文庫)の感想・レビュー・書評

  • 80年以上前に出版された本の復刻。「蜜のあはれ」「火の魚」等を読んで、「室生犀星はすごいな(変態だな)」と思い、読んでみた。庭の石になめるような視線を向ける。映画評でもほとんど女優しか見ていない。確かに変態だ。しかし説得力がある。自分が美しいと思ったものを、どのように美しいと思ったかを的確に表現するその力量はすごい。だから犀星の変態的な感動も実にクリアに読む者に伝わってくる。やたら「変態」と書いたが、もともと「エロス=美」と考えれば、犀星は恐るべき審美眼の持ち主であったといえる。雑多な文章が収められているが、どれも読んでいて心地よいものばかり。上質の癒しが得られる。

  • 室生犀星をそれほどたくさん読んでいるわけではないが、この人の書くものにはどこかなつかしい佇まいがある。
    詩人にも俳人にも文人にもおそらくなれない自分だが(茶人もなかなか遠そうだ・・・)、読書中に漂う時間が愛おしかった。

    犀星先生を訪ねていって温かく迎え入れられるかどうかは心許ないが、本の中で犀星先生の庭をひっそり訪れることはできる。それもまた読書の醍醐味か。

    *「馬守真」と「冬の蝶」がよかった。

    *「震災日録」で罹災を知る。産後間もない奥さんは大変だったことだろう。

  • -「庭をつくる人」と題したのも予の心に最も近いだけで別に深い意味がある訳ではない-

    「序」のこの一文でもう、室生犀星ってそんな作家だったの?と裏切られまくり。短い文章は読みやすいし、読んでいて静かに楽しい。

  • この「たなぞう」で教えていただいて気にしていて、それで出会うことができました。そうかぁ、昭和2年に、こういう本が出ていたんだ、と。いやはや、この文庫版、満足なり。実は、室生犀星のことを「昭和の文豪」(カヴァーより)だと感じたことがなかったのです、私は。この「犀星バラエティブック」を手にして、それにも納得いきそうな予感がしています。予感、なので、それを予感として秘めつつ、犀星について、これから少し載せようと思っています。著者の意向によるタイトル、見事!「永日閑を愛する人々」の一になりたし、と思へども。

  • なじみのない文庫でキュートな表紙…室生犀星はきちんと読んだ記憶がないし、この際どんなものか試してみようと手に取りました。

    なんとこの本は昭和2年初版の形そのままに、80年ぶりの復刊ということ(解説より)で…スゲーもの手に取っちゃったのかも?装幀が『麗子像』の岸田劉生ですよ、びっくりだー(装丁ご担当者さんが奥付に載ってますけど、絵柄はそう)。しかも、目録や扉には初版の面影を彷彿とさせる(と思う)罫線、ページの枠がきちんと刷られており、細かいお仕事っぷりには感動です。書体も要所要所で凝っていて…このプライスでいいんですか?

    内容は…随筆、評論、俳句、日誌とバラエティに富んだ作品集。『庭』『陶器について』と、風流な評論が続きます。今の季節には「つくばひ」が涼しげ。でも決してカタいわけではなく、ゆるゆると造詣の深さを感じさせてくれます。それに、比喩が穏やかに美しい。シダの若葉がほぐれていくさまを、「青い孔雀の巻葉をほぐす」とは!

    他に収められている作品では、短編小説『小篇四品』のうち、『馬守真』の幕切れが苦くて鮮やかで好みです。身のまわりや生きものを描いた随筆『魚民洞雑記』『魚鳥昆虫』の、筆の滑らかさと細やかさは、中勘助『銀の匙』に似ているかも…。銀幕の麗しき女優たちを論じた『映画小感』も、私には女優さんが全然わからないけど、熱弁っぷりがいい(笑)。

    本の持つ「読ませる」スピードがとてもゆるやかなので、行きつもどりつ、ぱらぱらとめくったり、じっくり読んだりして楽しんでしまう作品集です(面白くなくてタラタラ読んじゃうんじゃなくて:笑)。まさに、犀星自身の言うとおり、「永日閑を愛する人々の」ための本〜♪冷たいお茶と和菓子を菓子盆に準備して、ゆるりと楽しむのがよろしいかと。

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