おひさまジャム果風堂

著者 :
  • 産業編集センター
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本棚登録 : 219
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863111202

作品紹介・あらすじ

東北地方の片田舎。地元の遊園地で戦隊もののスーツアクターをしている拓真(27歳)と、拓真に引き取られた無表情な小学生・昌(8歳)が織りなす、涙あり笑いありのハートフル・ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • ジャムを煮ているときの、あのなんとも言えない甘酸っぱい香りが好きです♪

    主人公・拓真二十七歳。
    遊園地で戦隊ショーのヒール役をしている。
    高校卒業とともに家を出ていた一歳下の妹・サトミが突然亡くなり、
    その子供・昌を引き取ることに…。

    その言動から、最初はただのお調子者のお兄さんかと…。
    でも、人を助けて命を落とした父親を尊敬し、
    女手一つで育ててくれた亡き母のジャム作りの厨房を、
    毎日かかさず、ピカピカに磨き上げ続けている…。
    自分の根っこが何か、ちゃんとわかっているんですよね。

    それにしても、昌が~!
    そういえば、パンツのゴムの時にやけに大騒ぎしてましたよね。
    昌がジャムを煮ながら、木べらで母の名・サトミの文字を書いているシーンは胸が痛みました。

    拓真のために、昌が初めて作ったお弁当。
    (ご飯の上に、甘いフレンチトーストがのっている!)
    拓真はこの先、いろんな意味で(笑)このお弁当を思い出すんだろうなぁ…。

    ジャムを煮詰める作業って、どこか”人”と通じるものがあるような気がします。
    「アクを取りきってしまうと、ただ甘いだけのジャムに成り下がる。アクは風味なんだ。」
    「焦んなくてもいいんだよ。少しずつ、ゆっくりやればいずれでき上がるんだすけ。」

    拓真が必死にリハビリする姿を見て、心を入れ替えた店員のように、
    たとえ結果はどうあれ、懸命に努力する姿は心を打ちます。
    もう、立派なヒーローです!

    • azu-azumyさん
      杜のうさこさん、こちらでもこんばんは~♪

      この作家さんの本は読んだことがありません!
      でも、杜のうさこさんのレビューを読ませてもらう...
      杜のうさこさん、こちらでもこんばんは~♪

      この作家さんの本は読んだことがありません!
      でも、杜のうさこさんのレビューを読ませてもらうと、素敵な作品のようですね!!
      φ(..)メモメモ
      杜のうさこさんのおかげで、また素敵な作家さんと出会えそう~♡
      2016/03/08
    • 杜のうさこさん
      azu-azumyさん、こんばんは~♪

      この作家さん、私も初めましてだったの。
      このタイトルの、”おひさまジャム”の匂いに吸い寄せ...
      azu-azumyさん、こんばんは~♪

      この作家さん、私も初めましてだったの。
      このタイトルの、”おひさまジャム”の匂いに吸い寄せられて(笑)

      面白かったですよ♪
      少し坂木司さんのホリディーシリーズっぽい感じかな。
      お互い大好きだものね(#^^#)
      2016/03/08
  • 遊園地のスーツアクターをする拓真は、妹の遺児の里親となる。
    拓真の調子のよさと軽さで、前半はどたばたしたコミカルな感じ。
    ジャムづくりや、ふたりの食事シーンがいい。
    お金や手間暇をかけてなくても、ちゃんとした食事というのは体も心も健やかにする。
    悩みながらも、前を向いていくふたりが、いろいろありながら、家族になっていく。
    こころあたたまる。

  • 昔から、勉強ができなさそうな男子というか
    本を読まなさそうなヘラっとした感じの男子が好きではなかったなぁ・・・
    そう、ちょうどこの物語の主人公のような男子が(笑)

    主人公の拓真(職業スーツアクター(但しヒーローにやっつけられる方))は
    口は悪いし本も漫画しか読まなそうだしきっと難しい漢字も書けなさそうだ。
    だけど家事もこなすし、ジャムも煮ちゃうし
    妹の子だって育てちゃうし
    なによりめちゃめちゃいい奴なのだ。

    そうか、、、ヒーローってやつは
    普段はヘラヘラしていて
    本当にかっこいい姿を簡単には見せたりしないんだな。
    いや違う、
    見た目はヘラヘラでも不器用に真っすぐに
    心温かく生きているからヒーローなんだ。

    ちょっとしたサプライズも仕掛けられていて
    楽しく読めます。
    心が疲れ気味の女子におすすめです。

  • 東北の片田舎。地元の遊園地で
    戦隊もののスーツアクターをしている27歳の
    拓真は、急逝した妹の子ども・昌を引き取ることに。
    何事も無関心だった昌が唯一興味を持ったのが
    ジャム作りで…。ハートフル・ストーリー。

  • 【ネタバレ注意】
    亡くなった妹の子供を引き取って一緒に暮らしていく話。
    主人公、拓真が高校の時に亡くなった母を思い出しつつ子供の頃に亡くなった父や妹との思い出を思い出しつつ妹の子供と向き合っていく。
    ヒーローになりたい主人公と感情表現が苦手な子供。
    料理の描写がおいしそうで始終お腹が減っていた。
    続きが気になる終わり方だった。
    今後の彼らの生活も気になる!

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 小さな遊園地のヒーローショーで、いつかヒーローの「中の人」になることを夢見て、悪役の「中の人」をしている拓真。
    長く離れて暮らしていた妹が急死し、父親のわからない子供がいることを知って引き取ることになる。
    慣れない子育て、うまくいかない仕事、からだの不調、さまざまな事態に元気に向き合う拓真の四苦八苦する日々を明るく描いている。

  • 心がほっこり温かくなる本でした。
    登場人物、ほぼみんないい人たちで、どんな状況でもなんとかなるのかな、大丈夫って思える、背中を教えもらえる本でした。

  • 拓真がヒーローだなぁ。いつも誰かのために怪我をしている。
    子供好きということもあるのだろうけど、突然できた子供に対して凄く自然に接していて凄いなと思います。
    拓真も冒も失ったものが大きすぎて心の深くに色々なものを抱えているんだけど、懸命に生きて、日々進んでいく、暖かな物語。

  • ホームドラマみたいで優しかった。「焦んなくてもいいんだよ。少しずつゆっくりやれば、いずれ出来上がるんだから」。じわじわと温かい気持ちになる。根っ子が大らかなこういう本はすき。日常のごはんの描写も楽しかった。一方で甘いフレンチトースト丼のインパクトも凄かった。飛んでいる割に何となくありそうでリアル。舞台に戻ることにはつい若干の不安が残った。さらさらと読めたけれど、ウィスパーの洒落だけは引いてしまった。相手は小学二年生だから物凄い流されたけれど、二十七歳男子って、若いんだなあ…。

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著者プロフィール

青森県出身。地元で勤務しながら創作活動を続ける。2014年『ジャパン・ディグニティ』で第1回暮らしの小説大賞受賞。2023年「バカ塗りの娘」として映画化。主な作品に『おひさまジャム果風堂』『お手がみください』『みさと町立図書館分館』『みとりし』『ペットシッターちいさなあしあと』『羊毛フェルトの比重』(すべて産業編集センター)、『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』(中央公論新社)など。

「2023年 『[新版]ジャパン・ディグニティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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