野分けのあとに

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著者 : 和田真希
  • 産業編集センター (2016年10月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863111394

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野分けのあとにの感想・レビュー・書評

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  • 都会の生活に疲れ、摂食障害に陥った主人公が主役。
    家庭内では出来のいい姉ばかりが贔屓され、妹である主人公はないがしろにされてきた。大学進学で家を出てそのまま就職し、家庭とは離れたものの、今度は都会生活が彼女を蝕む。
    入院になってしまうまで衰弱して、漸く主人公は別の方向を向き始める。
    そんな時、ゆかりのある田舎の村で、自給自足に近い生活をしている青年のことを知る。
    主人公はその田舎の村に引っ越し、青年と農業にいそしむようになる。
    主人公は農業を教えてくれた青年と結ばれ、子供が生まれる。
    しばらくして、引きこもりの少年と母親がやってきて、農業に興味があるというその少年も一緒に暮らし始める。

    風呂は薪、スーパーに行くにも一苦労。農作業は無農薬でほぼ手作業。
    米を作ろうとしても田んぼがなく、一から土地を開墾することになる。
    農業は天候に左右され、ままならないこともたくさんある。
    村は不便すぎて人々から忘れ去られたような場所であり、若い人はほとんどいない。
    しかしそれだけに人と人との絆は強く、また、自分で一から育てた作物たちと向き合って、主人公の心は次第に昔の呪縛から解き放たれていく。

    時折主人公の境遇を挟みながら、基本的に農家の一年を追って書いてあります。
    べたつかないさらっとした語り口ですが、農業や田舎生活の苦労は、誤魔化さずに割とシビアに書いてると思いました。
    引きこもりの少年だったようくんが、最後、人前でハーモニカを披露するラストシーンが本当に良かった。

  • 50代から見るとわかりづらかった若い人たちの気持ちの動きをわかりやすく書いてくれている。どうしてそうなるのか謎はなぞのままなりに、ああ、あの子もこういう気持ちの引っ掛かり方をしたのだろうな、と思えたところがあった。これは小説じゃないとできないことの一つではないか。
    納得できないというかいくら小説でもちょっとというか、結末にも描写にもいろいろと思うところはあるけれど。

  • 家庭で疎外感を感じながら育った主人公は、社会人になり摂食障害になる。
    入院を機に、田舎に移住して農業をすることを決意する。

    たまにはレストランもコンビニスウィーツもありな、ゆるーい自給自足生活。完璧でなくてよいのです。主人公のようになるべく全て手作りでとか、ちゃんとしなきゃって思ってたけど、子供にしたらたまのカップラーメンとかジャンクフードがむしろ食べたいんだなぁと。力を抜いて家事育児してもよいよと言ってもらえた気がしました。

  • 生育歴の中でのわだかまりや、その後の葛藤の全てを払拭したのが田舎暮らし。農家生活の壮絶な中でに喜びを分かち合っていた話だった。

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野分けのあとにの作品紹介

母への深く激しい怒りと憎しみから、気づいたときには食べることをやめていた。すべてが、どうでもよかったのだ。
私を救い上げてくれたのは、西丹沢の厳しくも美しい自然と、確かな手応えをもたらす土だった。
精一杯にならなければ生きていけない農的暮らしは素晴らしかった。
そんな中でもいつも、母のことが重く引っかかっていた。一生このまま、母を憎んだまま、私は生きていくのか……。

苦しみの果てに彼女が見いだした一筋の光とは。

第三回「暮らしの小説大賞」受賞作。

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