一〇〇年前の世界一周

制作 : ナショナル ジオグラフィック 
  • 日経ナショナルジオグラフィック社
3.88
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863130852

作品紹介・あらすじ

一九〇五年(明治三八年)、ドイツ人青年が旅に出た。アメリカ、カナダ、日本、朝鮮、中国、インドネシア、インド、スリランカなどを周遊。まだ世界が広かった時代、豊かな地域性を残した社会を旅した貴重な記録。

感想・レビュー・書評

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  • 100年以上前に世界一周旅行して、しかもその写真が残ってるってことに驚き。
    100年前ってすごく昔のように思えるけど、結構近代的だったんだなあ。
    とはいえ飛行機もないし、英語も今ほどはどこでも通じる時代じゃなかっただろう。時間もコミュニケーション労力も今とは段違いで、その分一生に一度の正にかけがえのない体験になったに違いない。

    このドイツ人旅行者に感謝。特に日本の写真が多く撮られているのがありがたい。当時の日本の風俗や今ではけして見られない風景。顔の相貌は現代人とあまり変わらないので、より身近にリアルに感じられる。

  • 2009年発表。

    1905年、ひとりのドイツ人青年が
    世界周遊の旅(グランドツアー)に出た。

    彼はアメリカ、日本、朝鮮、中国、インドネシア、インド、スリランカなどを
    船で1年半かけて旅をし、
    特に日露戦争直後に滞在することになった
    日本の文化に魅了され、
    多くの貴重な着色写真を残した。


    江戸の名残まだ濃い
    明治初期の日本が鮮やかによみがえる写真を含む、
    117点を収録した
    歴史的価値ある写真集。



    第一次世界大戦で
    すっかり変わってしまう前の日本が、
    なんとカラー写真で収録されてるということに
    飛びつきました(^O^)

    今までは教科書の白黒の写真や浮世絵でしか見たことのない、
    昔の日本の姿に
    ページをめくる手が震えたし、

    愛国心など
    今まで意識したことのない自分にもかかわらず、
    この国を作り
    命を繋いできた先祖の姿に
    熱いものがこみ上げてきました(>_<)


    着色の技術は高く、写真であって写真でないような
    なんとも不思議な味わい。

    特に浮世絵そのままの富士山や
    当時の美しい日本の姿には
    本当に感動したし驚きでした。


    それと日本と同時期に
    他の国はどういう状況だったのかも、
    写真で比較して分かる点も
    かなり興味深かったです。
    (100年前のニューヨークに、もうすでにビルが建ち並んでたのにはびっくり!)


    しかし、いつも思うけど、
    昔の人たちは
    ホントいい顔してる。

    年をとるということは
    崩れるということで、
    人間的な深みがシワに表れるし、
    褪せた肌の色だって
    生きてきた証。

    それに比べて今の自分たちは、
    洗練されることを求めるあまり、
    人間的な部分、
    人間臭い部分を
    ふるい落としてきたのかもしれないな。


    時代時代で人が求めるものは違うかもしれないけど、
    命は旅をしている。

    自分たちの体は、
    たまたま命が宿をとった
    借り暮らしの場所でしかなくて、

    100年前の
    日本人たちの意志や思いは、
    今を生きる誰もの胸に
    ちゃんと息づいているんですよね。


    自分一人では
    自分のことは何ひとつ分からない。

    自分の欲望を知るには、
    人と出会う旅に出なくちゃ。

    もっともっと貪欲に
    知らないことを
    知っていかなくちゃ。

    この写真集を見て、
    改めて
    自分の目で
    世界を見てみたいって思いました(^_^)

  • 008 100年前の世界一周

    バックパッカーの成長記録

    ドイツ人の青年ワルデマールの世界一周旅行記。
    ナショナルジオグラフィック監修なだけあって
    見た事もない1900年初頭の写真が贅沢に載っていて
    もう写真を眺めているだけで好きな人には堪らない。

    でも僕はこの本の本質はそこじゃないと思います。
    写真が綺麗だけで終わらせてしまうのは非常に勿体ない。

    この本の本質は「世界一周を通じた成長」だと思うんです。

    出発前の彼は内気でシャイで人付き合いが苦手で
    「ヨーロッパこそ世界の標準」と考えていて
    異文化対して決して寛容な正確では無かった。

    しかし、アメリカを旅し、日本文化に触れ
    混沌とした東南アジアを旅するうちに
    彼の価値観がどんどん変化していきます。
    それが彼の行動を少しずつ変えていく様子は
    読んでいてとても微笑ましい。

    大学ではよく自分探しの名の下に海外に行く人が居て
    僕は彼らをあまり肯定的に見ていなかったのですが
    こういう手記を見てしまうと
    違う文化との出会いは人に大きな影響を与えるということを
    まじまじと感じますね。

  • 初めて読んだのは二、三年前。
    ニューヨークのブルックリン橋でイスに足を組んで座っている男性の写真を見て、
    「百年も前に、しかも遠いアメリカの地でも、やっぱり足を組んで座るんだなぁ」
    と深く感動したのを覚えている。
    見返してみると、その男性は写真の隅に小さく写っているだけだった。

  • 思ってたより文章が多く、みるというよりは読む割合が多かった

    かつて存在していた世界をみれる
    見ていくうちに写っている人たちはもうこの世にいないのかという不思議な気持ちになった
    日本の明治時代の写真は私が想像していた明治よりも江戸時代よりで、まさかこんな写真が残っていたとはと感動した
    写っている畳ももうこの世にはないのだろうなぁと思ったりもした
    やはり住んでいるので日本の写真のページがとても好き
    カラー写真がみれてよかった

    人をたくさん撮っている
    そして写っている人々が一様に不思議な表情をしているのが面白い
    カメラが高価な時代、きっとカメラをはじめてみる人が多かったんだろうなと思った
    電話にカメラが搭載されている今では考えられない
    カメラを向けられると不快感があるけど、きっと100年前はそんなことはなかったんだろうなと思って切なくなった

    林さんから送られてきたクリスマスカードの美しさたるや
    感動して何度もみてしまった

    旅に出て考え方が変わる、今と昔では度合いが桁違いだろうな
    面白い一冊だった

  • 100年前の冒険記。主人公の破天荒振りが好き。

    シンガポールの100年前には驚くけど、ガンジス川は100年前とあまり変わっていない。色んな時代があるけど、近代化したこの100年は他と比べ物ニラならないほどいい意味でも悪い意味でも進化を遂げたのだなぁと考えさせられる。

  • ふむ

  • 《目次》
    ・グランドツアー
    ・大西洋|広がる水平線
    ・新世界|いくつかの冒険
    ・太平洋|宙に浮いた時間
    ・極東|不思議に満ちた世界
    ・インド洋|憂鬱な帰国
    ・その後の世界

  • 写真集だと思ったら、結構文章があってそれもなかなかよかった。
    やはり、日本、朝鮮、中国への記述を見ると、文明や経済は進歩しても民族性というのはなかなか変わらないものだと思った。

  • プロイセンの上級国家公務員が、33歳で独身のうちにと「収容施設視察」口実で世界一周。写真が趣味/大西洋横断の下デッキはロシアポーランドからユダヤ人迫害で逃れる難民で一杯だった。アメリカ東海岸では、海辺の日光浴に女性は正装…黒人差別にまさる中国人差別。急速に工業化、インフラ整備。西部ではYS、GC、YVなど観光、絶滅政策で市民権の無かったインディアンと交わった/ハワイ併合数年後、急速に牧場化、観光地化/日露戦争直後の日本、4ヵ月。清潔さ、混浴、芸者の教養&社会的身分の高さ、に驚く。日本の写真を生涯居部屋に飾っていた/他のアジアの雑多な暮らし。インドでマラリアに感染。帰国後数年で世界大戦勃発、19世紀世界は消滅した。╱80歳になってから百余枚の写真をもとに手記を執筆。
     ウィルヘルム2世のドイツは、新興国アメリカ·軍隊と阿片で植民地を搾取する大英帝国より文化的道徳的優位の〈正義〉ではなかったろうか?

  • 図書館の開架で邂逅。きわめて興味深い1冊、ぜひ手に取ってみてもらいたいと思う。
    日露戦争の翌年、ドイツの若者が世界一周旅行を思い立つ。就職して数年後に見聞のために1年程度の休暇を取ることが一般的だったとのことだが、あのタイタニックよりも前の時代である。

    大西洋を渡って以降、(休暇を半年延長し)約1年半をかけた世界一周旅行で撮りためた写真集に、自身の回想と、編者による若干の解説を加えた仕立てとなっている。

    驚くべきは、決してプロの写真家ではない彼の撮影した写真たちに宿る命の息吹だ。

    新天地アメリカ、ニューフェイスの日本(日本だけで約4カ月滞在したという)、すべてのスケールが巨大な中国、雑多な東南アジア、理解を超えるインドやセイロン。彼自身の変化も伴いつつ、驚くべき体験の数々がフィルムに収められた。

    帰国後、生まれ故郷のドイツは2度の大戦にまみえ、彼自身あらぬ嫌疑をかけられて最終的にはスイス国籍を得ることになるのだが、晩年、世界旅行時の写真群に解説を付け、また当時の知己との交信が復活するなど、貴重な資料が世に出るまでの紆余曲折はまさに物語だ。

    「#一〇〇年前の世界一周」
    (日経ナショナルジオグラフィック、W.アベグ写真と回想文、B.マルタン文)
    Day250

    https://amzn.to/3nBDCgu

  • 3/6は世界一周記念日
    1967年の今日、日本航空の世界一周西回り路線誕生。
    その記念日に読みたい写真集は、こちら。

  • カーンコレクションの図録とともに手に取った一冊。同時期の一独青年の世界一周の記録。流石に写真はカーンコレクションに比べると素人らしい記念写真的な印象を受ける。始めの米大陸では少し気弱な感じがする青年ワルデマールが、アジアに来てインドに到達するあたりではとてもしっかりしてきて世界情勢や欧州のアジアに対する態度への批判的な見方なども見られる。一青年の成長の記録とも取れる。日本を気に入ってくれたことも嬉しい。しかし旅行後彼とその一族の世界は一変する。独は第一次世界大戦で敗北し、ワイマール共和国となり、ナチスが台頭すると批判的だったワイマールは役人の職を失う。彼が再就職した化学薬品会社はチクロンBの製造に関わっていた。後年スイスに移住し独国籍を放棄してスイス国籍を選択したのはそういった背景もあるからだろう。この本が初めに出版されたのがカーンの母国であるフランスであること、ユダヤ人であるカーンがナチスによるユダヤ人が草津を知ることなく亡くなったように、ワルデマールガベルリンの分断の前に亡くなったことに偶然を感じてしまった。

  • 旅に出たくてたまらなくなるね。
    単なる写真集かと思ってたらきちんと読み物になっていて良い意味で予想外でした

  • 私が世界一周をした丁度100年前の世界一周旅行記。出国した動機や期間などが私と一致していたので内容にのめりこめた。唯一違う点は、外国から地元を客観的に捉えた時の所感がワルデマールと違い私は、つまらないくないポジティブなものだった。私もワイデマールのように数十年後に同じように旅でて、今はない現地の風景を見に行きたい。

  • カラスヤサトシ5 P.130より

  • まあまあかな。

  • 世界が繋がっていることを改めて実感させてくれる。世界的に均質化が進んでいる現代よりも100年前の方がより世界が異なりながらも繋がっていることを実感できるように思う。

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