世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語

制作 : ナショナル ジオグラフィック 
  • 日経ナショナル ジオグラフィック
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863133914

作品紹介・あらすじ

本書で紹介する国、島、都市、山脈、川、大陸、種族などは、どれもまったくの絵空事だ。しかし、かつては実在すると信じられていたものである。なぜだろう?それらが地図に描かれていたからだ。神話や伝承として語り継がれていたものもあれば、探検家の間違いや誤解から生まれたものもある。なかには、名誉のため、あるいは金銭を集めるための完全な"でっち上げ"すらある。そのような幻の土地や国、島々は、20世紀の地図にもたびたび登場し、現代のグーグルマップにまで姿を現した。130点を超える美しい古地図と貴重な図版・写真とともに、人々を翻弄した幻の世界を読み解いていこう。

感想・レビュー・書評

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  • この本で紹介するのは、実在しない未知の領域、
    幻の島の経緯と検証。そして、それらが載っている古地図。
    蜃気楼や雲、氷山等の自然における見間違いだけではない。
    地図制作者の誤記はまだしも、余白恐怖症とは?
    政治や信仰での主張、名誉欲、願望、詐欺といった
    人為的な、生臭い理由もたっぷりと。
    支援者等の名前を存在しない島に付けたというのも・・・
    ピープス島なんてのもある。
    (サミュエル・ピープス、知ってたかな?)
    まさに、世界を惑わせた地図!
    しかし、地理、地誌、民族、生物等の描写の素晴らしさ、
    創造性には驚かされるものがあります。
    世界地図帳を傍らに置いて、場所を推測するのものも
    楽しかったです。

  • 古地図がたくさん!
    しかもカラー!
    どれもとても美しく(幻獣が描かれていたりするのもまたいい)、見ているだけでも楽しい。
    更に文章で倍楽しい。
    まー、出るわ出るわ、存在が信じられていた山、川、島。
    地殻変動でなくなったと思われるものもあるが、ほとんどは勘違いか意図的な嘘。
    案外最近まで正されていなかったものもあり、現代でも絶対に正しいと決めつけてはいけないのだなぁと思う。

    「アリストテレスの時代から、ヨーロッパでは、南半球のほとんどは広大な大陸で占められていると信じられていた。(中略)地球が安定するためには、すでにわかっている北半球の陸地と重さの釣り合いがとれるように、それに匹敵する重さの大陸が南にも必要だと考えられたのだ。」

    わかる。気持ちはわかるよ、信じていた人達!

  • 幻の島、噂の山脈、伝説の大陸。
    そんなものが堂々と地図に載っていた。

    ある者はその地点にたどり着いた。
    しかしそこにはあるはずのものはなにもなかった。
    それはせいぜい19世紀、いや、20世紀初頭の話だとお思いか。
    いや、2009年の話だ。
    石油の利権をめぐって、排他的経済水域を確保するための調査でわかった、ベルマハというメキシコ湾沖にあるはずの島だ。
    海面上昇や地震などで確かに島ができたり沈んだりすることは、我が国でもよくあることだ。
    最近も島ができ、軽石が流されなくなった。
    あった可能性が高い島はメイダ島。
    しかし真実はもはや海の中…

    デイビス島は海賊の話が出てくる。
    ヘンリー・モーガン、バーソロミュー・シャープ、エドワード・デイビス。
    漫画『ONE PIECE』を思い起こさせる名前の数々にどこにもない島。
    まさか空島!?とちょっと興奮する。(実際はおそらく蜃気楼か、何かを見間違えたのだろうと言われているが……)

    フォルモサ(台湾?)の作り話、択捉島とウルップ島、朝鮮島(半島ではなく)、ムー大陸。
    東の島々は想像力を掻き立てられ、変遷する。

    図版を見ているだけでワクワクする(ワクワク=日本らしき島の記述も)。
    歴史を知っていると、さらに楽しめる。
    ナショナルジオグラフィック社ならではのボリュームとわかりやすさ、美しさ。
    お勧めだ。

  • 2017年の発刊(原書は2016年)なので新刊ではないが、面白かったので紹介する。
    世界の地図が作られて行く過程で伝説や誤解で生じたありもしない島、でっち上げにより実在すると信じられた『幻』を巡る冒険譚などが興味深い。なかには20世紀に入ってやっと存在が否定された島があったと言う。58個のテーマごとに古地図を使って解説している。名声や欲のために船乗り、地図製作者、学者たちが行った多くの奇妙な嘘が面白い。

  • 人類は紀元前の昔から、自分たちの知り得た土地を視覚化すべく地図を作ってきたが、その中に様々登場し、消えていった「幻の土地」たちの列伝。

    全部で58の、かつて地図上に存在した幻の土地、島、山、川、海、都市・・・がその地図と共に紹介されていく。
    このような幻の土地が現れる理由はおおむね下記のパターンのようだ。

    1.純粋な誤認、誤解(海上で蜃気楼や雲を島と見間違える等。最も多い)
    2.当時としては合理的な推測に基づく「あるはずの土地」(川の源流に大きな山脈があるはず・・・等)
    3.「あってほしい」という願望に基づく推測(大西洋と太平洋を結ぶ北米の海路等)
    4.冒険家らが自らの業績を謳うために行われた虚偽の発見報告に基づく土地。
    5.人を騙す目的で騙られた架空の土地。
    6.神話、伝説、伝承に基づく土地。

    最初のうちは様々な架空の土地の経歴を読んでいくのはとても愉快な経験である。しかし途中から如何にもマンネリ化してくるのは否めない。上記1のパターンが特に多いし。
    大判な印刷で、良質の紙にでかでかと何十枚も掲載されている古の世界地図の図版が最大のウリだろうか。眺めていても美しく楽しい本ではある。

  • 幻に大陸、幻の島、幻の国。それらが、地図に載ってしまう。単なる勘違い、見間違い、希望的観測、欲望等々の理由がる。この本には、知らなかった島とかが載っていて興味深い。でもアトランティスとかは有名だけど、「そんな島聞いたことないよ」というのもあるんだろうな。

  • 地図にだけ存在する場所、、、行ってみたい ← 普通でも迷うのに、どうなるかな?

    日経ナショナルジオグラフィック社のPR
    本書で紹介する国、島、都市、山脈、川、大陸、種族などは、どれもまったくの絵空事だ。
    しかし、かつては実在すると信じられていたものである。なぜだろう?
    それらが地図に描かれていたからだ。

    神話や伝承として語り継がれていたものもあれば、探検家の間違いや誤解から生まれたものもある。
    なかには、名誉のため、あるいは金銭を集めるための、完全な“でっち上げ”すらある。

    そのような幻の土地や国、島々は、20世紀に入ってからも地図にたびたび登場し、さらには現代のグーグルマップにも姿を現した。

    地図の幻を追う冒険の旅へ、いざ出発しよう。
    http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/product/17/071900027/

  • カラーイラストが豊富で眺めているだけで充分楽しめる。
    そして文章の内容も充実していて、読むのも楽しい。
    表紙に一目惚れして購入したが大正解の買い物だったなと思います!

  • これまた変わった一冊……。
    昔、たくさんの男たちを惑わせ、世界へ冒険旅行に連れ出した、まあ、いわゆるデタラメな地図を集めた一冊です。
    いつの世にもこういうことをする人はいるんだなぁ、と……。
    悪気のあるなしは別として……。

    2019/06/05 更新

  •  伝説や俗信、妄想、誤解によって描かれた世界地図が58種類も収められており、実際は存在しないとわかっていても、緻密で美麗でまた滑稽な地図は見ているだけでも楽しい。ところどころ、珍妙な形の日本列島が描かれているのを発見するのも一興。

     大航海時代、探検家たちは競って未知なる大陸や島の発見を冒険譚として語り、流麗な地図とまことしやかな文章で人々を魅了した。
     有名なアトランティス大陸など、海の向こうに存在すると信じられていた大陸や島、そしてそこに住む人々を描いた地図や探検記録のなんと豊かなことか。なかにはスポンサーの気に入るように新島を捏造したり、偽の情報を信じてしまったりして、当時の探検家や航海士、そして修道士たちは、何ともおかしな報告を本国へもたらしてしまうこともあったらしい。

     驚くのは、21世紀になっても存在すると信じられ地図に記載されていた島があったり、グーグルアースの衛星画像には残っているのに現在では影も形もない幻の島があることだ。地球上に未知の場所は無くなったと思っていたが、このような話を聞くと、中世の地図に描かれていた島は本当に見間違いだったのかどうか、当時の人々の記録にロマンを感じる。

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