フェルメール 光の王国 (翼の王国books)

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著者 : 福岡伸一
制作 : 小林廉宜 
  • 木楽舎 (2011年8月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240407

フェルメール 光の王国 (翼の王国books)の感想・レビュー・書評

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  • フェルメールが好きで借りてみた一冊。著者がフェルメールとゆかりがあると見られる人、国々を辿る。著者と共に旅をした気分になれ、よりフェルメールが好きになれる一冊。

  • これ、☆10個つけることが出来るなら、それでも15個つけたくなるぐらい面白い本でした。
    ヨーロッパ、アメリカの美術館に点在するフェルメール作品を辿る紀行文なんですけど、超絶に楽しいのです。生物学者である作者が、自らの専門分野の知識を活かし、各地ゆかりの学者のお話をからめつつ、フェルメール作品に隠されたナゾを推理してくんですけど、なんというか、それ以上に、各都市の空気感みたいなのが行間からにじみでてて、チョーー旅行に行きたくなるという。って、これ、もとはANAの機内誌の連載だったんですね。たまらんわ!!

  • 大好きなフェルメールと福岡氏、しかもオールカラーでたっぷりの写真、それだけで大満足。オランダ行きたいな。

  • 光が、音や電波のような振動、というよりはむしろ粒子であることを理論的に予言したのは、ほかならぬアインシュタインである。しかし、アインシュタインに先立つこ300年近く前、すでに光が粒子であることを、確かに認識していた人がいるという。それが、17世紀オランダ美術を代表する画家ヨハネス・フェルメールである。

    細部に秩序ある調和として現れている「光のつぶだち」が印象的なフェルメールの作品は、現存するものが37点。世界中に散らばっているフェルメールの作品の展示場所が、本書のインデックスでもある。登場人物は、レーウェンフック、エッシャー、野口英世、ガロア、ライアル・ワトソン、シェーンハイマーなど多士済々。本書は、分子生物学者 福岡伸一が「フェルメールの作品が所属されている美術館に赴いてフェルメールの作品を鑑賞する」というシンプルな原則に則って、思索を巡らせた美術紀行である。

    ◆本書の目次
    第一章 オランダの光を紡ぐ旅
    第二章 アメリカの夢
    第三章 神々の愛でし人
    第四章 輝きのはじまり
    第五章 溶かされた界面、動き出した時間
    第六章 旅の終焉
    第七章 ある仮説

    ワシントンの国立美術館の中にある作品『フルートを持つ女』。この絵はほかのフェルメール作品と違って、例外的に、板の上に描かれている。サイズも格段に小さく、意匠も、絵のタッチも、筆遣いも、光の角度もフェルメール的ではない。そのため、多くの研究者がこの絵をフェルメールの真作と認めていないともいう。

    その絵に関して、とある学芸員がこのように言う。「絵を見るとき、あなたは何を見ますか。相違する何かを探しますか。それとも相補する何かを探しますか」この台詞が、本書における著者のスタンスを決定付けたかのような印象を受ける。著者はフェルメールの絵画と、自身の専門である科学との間に、相補する何かを見出そうとするのである。

    例えば、ルーヴル美術館にある『レースを編む女』。この絵の特徴は、「コンピューターのICチップスの組み換え作業だといわれても納得するような、この絵にみなぎる時代を超えた精密感」というものである。数学的な美しさにも満ちたこの絵は、カメラ・オブスクーラという光学器具を使って、部屋の三次元的構図をキャンパスの二次元平面に正確に写し取られたとされている。フェルメールは、つねに空間の測定と幾何学の実現を企図していたのだ。

    ここで、著者の思索は、同じくフランスに生まれた天才数学者ガロアの方へと巡らされる。ガロアは『幾何学言論』を読み、幾何学の建築がギリシア神殿のような単純さと美しさで建立されてゆくのを目の当たりにし、幾何学構造の偉容を理解した人物。フェルメールもガロアも、この世界には、目に見えないながらも、美しい構造があると信じていたという点で、つながっていたのである。

    また、著者の専門領域である分子生物学に関する記述も興味深い。著者が好んで使うキーワードに「動的平衡」という言葉がある。私たち生命を外的な環境から隔てているように見える界面が、実は私たちを環境とつなげるためにある、という事実のことである。食べ物の元素は、めまぐるしいほどの高速で、体を構成する元素と交換されており、私たち生物は、絶え間のない流れの中にある元素の淀みにすぎない、そして生命にとっては、つねに変わり続けることが、できるだけ変わらないための唯一の方法であるという生命観だ。

    この「動的平衡」という概念を、著者はフェルメールの絵にも見出す。ベルリンに『二人の紳士と女』という絵がある。この絵に描かれている二人の男は、光の当たり方は違うのだが、同じ髪型、服装をしている。著者は、彼らを同一人物ではないかと夢想する。これは推測の域を出ていないのだが、これが事実だとすると、一枚の絵に二つの異なる時間が描かれているということになる。これによって、止められていた時間が再び動き出したということ解釈することができるのだ。絵とその絵を見るものとの界面を溶かし、静かな安定の中にではなく、不自然なまでの流れの中に、ほんとうの自然があるという、実に鮮やかな発見なのである。

    このように著者は芸術と科学の間を動的平衡のように行ったり来たりしながら、知的な揺さぶりをかけてくる。そして、やり方こそ違えど、芸術も科学も、いかにありありと世界を記述するかという一点において、その目的は同じなのだということに気が付かされる。我々もまた、変わらないために、変わり続けなければならないのであろう。記述したくなるような世界であり続けるために。

  • フェルメールと顕微鏡開発者のレーウェンフックの交差に関する推察は、動的平衡にも記載してある。現存する37作品中の34作品を現地で鑑賞した紀行文。

  • w

  • 20151026読了
    2011年出版。フェルメールの絵画を見るために美術館を巡ってゆく。2007年から2011年にかけてANA機内誌「翼の王国」に連載された記事をまとめたもの。こないだANAで福岡さんの記事を読んだ記憶があるので、2011年以降も続いてるみたい。●ドレスデンアルテマイスター絵画館:「取り持ち女」(1656)、「窓辺で手紙を読む女」(1657) ベルリン国立絵画館:「紳士とワインを飲む女」(1658~1660)、「真珠の首飾り」(1664)●lined・・・ライン処理。古来、劣化を防ぐためキャンパスの裏にもう一枚キャンパスを貼りあわせ補強した。その際、両側から熱をかけて接着していたため、絵の具が溶けて凹凸をなくしテクスチャーがフラットになってしまう。現在私たちが目にする絵画の多くがこの人為的な介入を受けている。フェルメールの「ギターを弾く女」(1672)はライン処理が施されず、オリジナルにもっとも近い作品。●美術作品の修復における立場はいろいろで、国によっても学校によっても違う。表面の汚れをクリーニングするのか、くすんだ色をはがして鮮やかな本来の色を塗り直すのか、修復せず現状を保ち維持する、つまり時間の流れをも取り込むのか。

  • おすすめ資料 第130回 専門以外の領域へのまなざし~フェルメールと生物学者の出会い~(2011.12.16)
     
    オランダの画家フェルメールの名を知らない人はいないのではないでしょうか。
    おそらくは、美術の教科書で一度くらいはお目にかかっているはずです。
    本書は、およそ30点強しか現存しないフェルメールの作品を、所蔵するアメリカ、オランダ、イギリスなどそれぞれの国の美術館に実際におもむいてつづられた紀行文です。

    今回この本をおすすめする理由は、フェルメールの絵の素晴らしさゆえではなく、著者とその文章に注目してほしいと思ったからです。
    著者は分子生物学が本職であり、美術が専門ではありません。
    『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書 2007年刊 )で「生命とは」という問題をわかりやすく展開され、一躍有名になった科学者です。
    その福岡氏が、今度は専門の生物学ではなく、芸術の世界を科学の目を通して解するという大変スリリングな試みをされました。
    もともと美しい文章で定評がありましたが、今回、氏が敬愛するフェルメール作品を語ることで、それは以前よりきわだって感じられます。

    すばらしい随筆をものし、人を魅了した科学者としては、日本では寺田寅彦などが知られています。
    自分の専門に基づきながらも、それを超えた広い興味と視野で物事をとらえ、かつ、たぐいまれな文章力で表現する。
    専門を超えた知の「深み」と「幅」を感じさせる本書をぜひご一読いただきたいと思います。

  • 画家フェルメールの全作品を追いかけて世界を旅行した福岡氏が、フェルメールの作品を秘密を、まるで推理小説のような面白さで解き明かしています。

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生物学者・福岡伸一がおくる極上の美術ミステリー紀行。

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