フェルメール 光の王国 (翼の王国books)

著者 :
  • 木楽舎
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本棚登録 : 813
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240407

感想・レビュー・書評

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  • フェルメールのほぼ全ての作品を、展示される現地の雰囲気にのせて堪能出来る一冊。読後は随分と長い旅から帰ってきた様な満足感に浸れます。17世紀のオランダ、レーウェンフックとフェルメールは同時期に同じ場所で育つ。レーウェンフックは専門教育を受けずして、自作の顕微鏡で数々の微生物を発見する一方、フェルメールは光と影を巧みに描写した質感の高い画風に定評がある。作者は生物学者であるが、芸術と科学の世界を独自の視点で結び付けつつ持論を展開していく。フェルメールは、その一瞬に何を見たのか。静止画でありつつも、見ている側に次の動作を連想させるその絵は、さながら瞬間を切り取る微分を思わせる、と。フェルメールとレーウェンフックは交流があったとされる。当時、人類未経験の最高倍率の顕微鏡から覗き見る限りなく小さな世界は、光を一粒として捉えさせ、それはフェルメールの精緻な作風に確かな影響を及ぼしていたのかもしれない。

  • 飛行機会社の機内誌を書籍にしているので、写真が沢山あり、旅をしながらフェルメールの全作品に触れられる楽しい本です。
    著者の福岡伸一さんは、生物学者です。
    学者というと、なんとなく服装に無頓着な人が多い印象ですが、たまにTV等で見ると、身につけているモノがおしゃれなものがたくさんあり。
    この人何か違うなあと思っていたのですが、この本を読んで美への意識が高い方だったのだと妙に納得でした。
    生物学者が美術の本をどのように展開していくのか、個人的には非常に楽しめた一冊でした。

  • 光のつぶだち

  • 福岡先生は詩人ですね。
    どうして、先生がフェルメールを好きなのか、
    少しだけ理解できたような気がする。
    絵画の中に封じ込められた一瞬の時は
    次の瞬間を期待させる。
    降り積もる時間の間合いを、
    私たちも生きているのだと思う。
    生物も生物が生み出すものも
    そういう無常の所産なのだと思う。
    トレイシー・シュヴァリエの『真珠の耳飾りの少女』を
    図書館で借りてみた。

  • 作品は所蔵している美術館でこそ鑑賞すべきだと著者はいう。

    “なぜなら、作品は、そこに長い時間置かれることによって、その場所の持つ風土の光や匂いを宿すようになる気がするから”
    そう言われたら、確かにそんな気もする。

    けれども、ご当地に出向くのはなかなか難しい。
    ハーグ、デルフト、ニューヨーク、パリ、ロンドン、アイルランド、ドレスデン、ベルリン。著者とともに旅する気分で読んでみよう。

    本書が絵画についてのただの紀行文ではない点は、数学者のガロア、哲学者のスピノザ、生化学者のルドルフ・シェーンハイマーなど様々な科学者たちを引き合いにだし、フェルメールの科学者的な眼を考察しているところだ。野口英世もでてくる。

    そして、最終章には顕微鏡の父といわれるレーウェンフックとフェルメールの関係について、大胆な仮説が語られる。著者の見つけたある発見は、さながらダン・ブラウンの小説のようだった。

    図書館スタッフ(学園前):ノビコ

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/732052

  • 2012.10

  • 前に、真珠の耳飾りの少女が、阪急うめだに来た時に買ったが、読みかけて、放ったらかしになっていた。
    Topikを受けに天王寺に行った時に、フェルメール展をやっていたのを思い出し、帰りに立ち寄った。試験に落ちたと思ったので、自分の中で、今日は、これを見に来たことにした。そういえば、前にこの本を買ったなと、家の本棚から引っぱり出して、数年越しに読み終えた。

  • ANAの機内誌に連載されていたと思う。なかなか良い。

  • 2012/5/5 友人とフェルメール光の王国展へ行きました。

    面白かったので、この本も読んで見ることにしました。

    2012/5/5「フェルメール光の王国展と銀座歩き」 〜 Myブログ「パそぼのあれこれフリーク:Part2」
     ⇒ https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/e/11037c7011147832f3d4a168d77dd097


    こちらも行きたいね!
     ⇒ URLはこちら https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/e/12376691368b91c95cd5e5e5f766293d
     『フェルメールの真珠の耳飾りと首飾り』 〜 Myブログ「パそぼのあれこれフリーク:Part2」

    2012/5/5 予約 8/11 借りる。8/20 読み始める。8/31 読みきれずに一旦返却。
    もう一度借りて 読みます!!

    内容と著者は

    内容 :
    彼らが焦がれた、その光に導かれ、私は旅に出た−。
    “フェルメールの作品が所蔵されている美術館に赴いてフェルメールの作品を鑑賞する”というシンプルな原則に従って続けてきた旅をまとめる。
    『翼の王国』掲載を書籍化。

    著者 :
    1959年東京都生まれ。京都大学卒。青山学院大学教授。
    著書「生物と無生物のあいだ」はサントリー学芸賞及び中央公論新書大賞を受賞しベストセラーとなる。
    他の著書に「ロハスの思考」など。

  • フェルメールと同じ年にデルフトで生まれたレーベンフック(地質学者と天文学者のモデル?)が顕微鏡で見たスケッチ画はフェルメールの作ではないか? ー仮説はなんとも魅力のある話。同じ”光”を追いかけたフェルメールとレーベンフック。
    フェルメールの絵は日本に来た時に見てるし、ウイーンでも見た。現地で絵が飾ってあるところで観るほうがいんだよな。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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