井上馨《開明的ナショナリズム》

著者 :
  • 弦書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863290884

作品紹介・あらすじ

長州ファイブのリーダー・井上馨(1835−1915)。虚像と実像のはざまを埋める戦後初の本格評伝。明治維新後に条約改正と向き合い、商社・銀行の創設や財閥の形成など数々の近代化政策を実現させた「三井の番頭」。彼が描いた近代化=欧化政策の本質はどこにあったのか。正確に語られることがなかったその実像を、膨大な資料と縁者からの取材をもとに活写する。

感想・レビュー・書評

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  • これまで何かにつけて悪評を書かれてきた井上馨。「三井の番頭さん」だの「貪官汚吏」だの揶揄され、歴史的評価の低さに定評のある井上馨だが、
    そんな井上侯の、幕末から大正長きにわたる人生を鳥瞰し、日本近代化への寄与度を分析的かつ正当に再評価した本。

    戦後初めての「超詳細・井上馨評伝」だと思う。

    幕末の青年期・長州ファイブ時代から、明治維新を遂げて新政府の官吏として辣腕を振るい、野に下っては渋沢栄一や益田孝らと様々な企業や団体を結成することで日本を富国強兵たらしめようとした実績の数々。そして、野にありながらも元老として何かにつけて政府への影響力を、最晩年まで維持しつづけた…という、一言では語りつくせない、長きにわたる井上馨の人生を、微に入り細に渡って書き尽くしている。

    史料や逸話の多い井上馨だが、ここまで詳細にまとめられた本はちょっと他に無いように思う。候のプライベート(井上料理とか骨董好きとか)なんかにもクローズアップされていて、とても面白い本だった。

    ちょいちょい入ってくる著者の、「雷おやじ」だの「例の短気」だの「いつもの世話好きを発揮」だのいう(うろ覚え)、井上侯への軽い人物評みたいなのが笑えるwwwとにかく、買ってよかったな~!!と思える本でした。

  • 汚吏貪官の元祖とか。西郷どんには、三井の番頭呼ばわりされたり。海音寺先生の悪人列伝に書かれてたりしますが。
    司馬さんの世に棲む日日で、幕末ハマったので。このかた単品の、ちょっと贔屓目の本で、楽しいです!

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著者プロフィール

1962年、山口県宇部市生まれ。著書に『戦争歌が映す近代』(葦書房)、『ハワイに渡った海賊たち』『井上馨〈開明的ナショナリズム〉』『靖国誕生〈幕末動乱から生まれた招魂社〉』『鮎川義介〈日産コンツェルンを作った男〉』『関門の近代〈二つの港から見た100年〉』『寺内正毅と近代陸軍』(以上、弦書房)などがある。

「2021年 『村野藤吾と俵田明 革新の建築家と実業家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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