狼たちの月

  • フリュー
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863325913

感想・レビュー・書評

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  • フランコ率いる反乱軍との戦いに敗れ、スペイン北部の山中で生き抜く敗残兵の姿を描いた物語。
    始まりから過酷で、それが約10年続く。集団的戦闘が終わり、周囲全てが敵となった状況で、厳しい自然の中で生き抜くとは一体どういうことであろうか。
    作者は詩人であり、そのためか描写には非常に透明感がある。感情を排して事実のみを述べているようで、現実的な過酷さに比べ、彼らは淡々と、あるいは飄々と生きているようにも見える。
    それでいて、各章に該当する2、3年ごとに、その過酷さが牙を剥く。

    戦争の悲惨さを描く物語ではあるが、反戦小説ではない。敗残兵となるに至ったもともとの戦争については、詳しくは触れていない。
    なぜ生きるのか、何のために生きるのか、この物語は語らない。
    ただひたすらに、ひたむきに生きる人々の姿を忠実になぞる。その生き様が、死に様が、静かに降り積もる。

  • 流血と死者の大地を覆う真白い雪、高みから静かに照らし反射する月の光。ここには肉体の痛みは存在しない、透明に濁りのない孤独の深淵が広がる。寂寥とただ美しい風景が目に浮かび、この世界は何のためにあるのか、、、なんて言葉にすると陳腐なことを茫漠と考えてしまった。

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著者プロフィール

1955年、スペイン生まれ。詩人、作家。著書に『黄色い雨』『狼たちの月』『無声映画のシーン』(いずれも木村榮一訳)など。

「2022年 『リャマサーレス短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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