都市の舞台俳優たち:アーバニズムの下位文化理論の検証に向かって (リベラ・シリーズ11)

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  • ハーベスト社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863390652

感想・レビュー・書評

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  • なんで自爆営業したチケットを、タダで配っちゃダメなのかが分からない。劇団の内規で、ダンピングもダメだと。
    客席がガラガラよりは、よほどマシだと思うんですけど。
    個人的には、中村さんの発言が、一番共感しました。

  • 文章がくどくて、慣れるまで苦労した。舞台俳優の実態を分析しているというよりは、とある劇団に密着した数年間の記録……というかんじ。

  • ハーベスト社リベラ・シリーズ11巻目として発行された、田村公人『都市の舞台俳優たち アーバニズムの下位文化論理の検証に向かって』を読んだ。
    本書はシカゴ学派の流れをくむフィッシャーの唱える下位文化の衝突に関する論理を、首都圏の2つの小劇場系劇団の団員の活動を調査することにとって明らかにしてこうという論文調の書籍であるが、そういう難しいことを抜きにして、首都圏の小劇場系劇団に所属する劇団員の抱える諸問題を取り上げている点で、そういった方面に興味のある者にとっては非常に興味深い読み物である。

    すなわち、劇団員に課せられたチケットノルマ消費に関わる諸問題、住まいが一人住まいか実家か(出身が地方か首都圏かという問題を含む)、親との関係、結婚に関する問題を通し、劇団員にとっての劇団とはなにか、そしてそれが存在している都市と劇団活動の相互関係はどうのようなものであるのかを、在京の2つの劇団の実地調査から詳しく論じている。

    自分もよく小劇場系の舞台を観に行くのだが、観客席が不思議と埋まっていること、そしてその観客の多くが出演者の友人か関係のある同業役者であることの謎解きとも言える内容が前半に書かれていて、個人的にはその部分が一番読み応えがあった。それを読むと、本書の趣旨とは問題意識を異にするのだが、出演者の知人ではない一般演劇ファンを客として呼びこむことに対する実質的な難しさを知ることにもなる。
    また、結婚が劇団活動に与える影響に関しても、突っ込んだ考察を行っている。

    そうじて、この本を読んで思うことは、小劇場系の舞台俳優を続けることの難しさであった。
    すくなくとも、劇団主宰者は別として、5年以上劇団に在籍することの難しさの克服は、ひとえに演劇に対する覚悟の情熱以外何者でもないような気がしてならなかった。

    この本、演劇ファンより役者が読むべきものかもしれない。

  • Webで話題になっていて気になっていた本。験を担いで紀伊國屋書店(紀伊國屋ホール)で購入。
    話題になっていた小劇場のチケットノルマとか,役者同士が顧客になっているという点が明らかにされている点は確かにインパクトはあるけれども,それだけを取り上げるのは十分ではないのではと思う。
    タイトルならびに付論にあるように,著者が取り上げているのは,フィッシャーの下位文化理論の検証であり,その題材として東京の小劇場が選択されていると考えた方が良いのではと思う。(もちろん,そのフィールドを選んで,エスノグラフィーを詳述したことは著者の選択であるけれども)
    ただ,そう考えていくと付論の直前の第7章において,下位文化理論について何らかの見解が示された方が良かったのもしれないと思う。しかしながら,これを題材にしながらさらに検証を重ねていくべきだと考えるのであれば,下手に見解を示さず,むしろデータを丁寧に詳述することが好ましいと判断された可能性もあり得るため,的外れな指摘であるかもしれない。
    いずれにせよ,都市社会学そのものについて全く前提知識を持ち合わせていなかった評者であっても,フィッシャーの理論を理解しつつ,その理論がどのように検証されていくべきか課題も含めて深く考えることができた点では,良書だと思う。

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