重症児者の防災ハンドブック―3.11を生きぬいた重い障がいのある子どもたち

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  • クリエイツかもがわ (2012年3月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863420823

重症児者の防災ハンドブック―3.11を生きぬいた重い障がいのある子どもたちの感想・レビュー・書評

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  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB08834240

  • 昨年の大震災を生きぬいた重症児者の支援経験をもとに、宮城で編まれた本。第1部は、3.11以降の現場の記録、支援の記録で、第2部は、災害の備えとして「重症児者の防災マニュアル」となっている。『We』177号でお話をきいた下郡山和子さんの「仙台つどいの家」も執筆に加わっているほか、重心ラーの会でお名前を聞いている方もある。

    印象に残った話の一つは、ふだんは支援する側にいる人が、支援をうける側になったときの戸惑い。
    ▼さまざまなボランティアに入ってもらうことに、最初は私自身も抵抗感がありました。普段、自分たちの仕事を「支援」と言い、何か困っている利用者さんがいれば「さまざまなサービスを使っていった方がいいですよ~」なんて薦めたりしているわりに、いざ自分が支援される立場になってみると、「もっと大変な状況の施設もあるはず、このくらいの被害状況、もっと自分たちで何とかできるんじゃないか、甘えじゃないのか、施設のスタッフも体制を調整してきてくれているのに…」と悩みました。けれども、助けてもらえる時にはちゃんと助けてもらえることも大切だ、と、今は自分たちは、支援される側なのだと考えなおしました。(p.120、「仙台つどいの家でおこったこと」)

    石巻で、障害福祉サービスを幅広く展開している石巻祥心会の方が書いている話も、こころに残った。
    石巻祥心会では、最大で400~500人の被災者を受け入れていた。職員数は約100名、自分たちの食料や水、暖を取るのにも精一杯だったときに、理事長がこう話したのだという。
    ▼「新しいものを掴むためには、今握っているものを離さないと掴めないんだ! 囲うな! 必要なところへ必要なものを渡せ!」…「この地域で20年活動ができてきたのは地域のおかげなのだから、地域が必要としていることは断るな!」(p.135)

    編著者のお一人、菅井さん(宮城大学)が、被災地の支援学校をまわって聞き取られた話のなかで、ある校長先生が話されたという「避難所の中で「障がい」についての理解が進んだ」という話は、災害時の避難所というのは"障害者や高齢者にはとてもいられない場所"になりやすいと思い込んでいた私のアタマに風を吹かせてくれた。

    避難してきた地域の人々にとって、支援学校がどんなところで、どんな子どもが通っているのかは、ほとんどはステレオタイプのイメージ…突然叫び出す子ども、あたりかまわず走り回る子ども、言い聞かせても通じなくて手のかかる子ども…というものだろうけれど、そういう定型化されがちなイメージも、実際に自分の目で見て、ふれあってみると、その印象はガラリと変わるようだと。

    ▼確かに、時々叫び声も上がり、パニックも起こすけれど、でもそれらも含めて、一人の子どもであることに変わりはないという印象が生まれるみたいだというのです。実際、地域の人たちの子どもたちをみる目が温かくなったと感じている先生が多いとも聞きました。
     どうやら同じ空間で、同じ時間を過ごすことで、人は人を人として意識するようになるのかもしれません。意図せずして、障がいのことを知ってもらう絶好の機会になったと聞いて、深く首肯したくなりました。小さなことかもしれませんが、そのような事実があったことを聞くと、何か心がほぐされる気持ちになります。これらの「出会い」をいかに地域の「力」にしていくか、櫻田校長先生はすでに次に進めるアイデアをもっているようでした。(p.65)

    日々の暮らしに医療的ケアを要する重症児者は、人工呼吸器やたんの吸引器などを失うことがいのちに関わる。それらの機器をはじめ、体調を維持するさまざまな道具は電気で動かしているものが非常に多く、マニュアルの第一は「災害時の医療機器と電源の確保」から始まっている(阪神大震災のときには、手動でアンビューバッグを押し続けたという話も聞いた)。

    『TOKYO 0円ハウス 0円生活』に出てくる路上暮らしの鈴木さんは、自分の使う電化製品がどれくらいのアンペア数で動くかということを実に正確に知っていて、ガソリンスタンドからもらってくる廃バッテリーで、かなりのものを動かしていたが、「これにはナンボ電気がかかるんか」ということは、ふだんの暮らしでなかなかわからない。その意味では、「自宅で多く使われる機器の消費電力の目安」という表(p.159)は、そういう手がかりの一つやなと思った。

    障害者市民の防災ハンドブックとしては、ゆめ風基金の『こんなんええやん』を手にしていた(ゆめ風の八幡隆司さんのお話「「防災」はコミュニティをつなぐ道具」の報告を『We』175号で掲載)が、この新たなマニュアルに、さらに読んだ人の知恵が加わってどんどん増補され、それぞれの暮らしの見直しや、誰もが安心して暮らせるまちづくりの基本にと思う。

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