SUPERサイエンス 南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議

著者 :
  • シーアンドアール研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863540880

作品紹介・あらすじ

世界の海の底を、冷たい海水が2千年もの時をかけてめぐっている。この流れは地球全体の気候や生き物に多大な影響を与えている。この流れの動力源の一つ、南極海で、今、大きな変化の兆しが表れている。地球の未来を知る鍵は「南極海」が握っている。

感想・レビュー・書評

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  • 海水の表面温度が0.1℃変わっても普通の人はあまり気にしないだろう。水を1℃暖める熱で空気は4℃暖まる。水深10mで1気圧なので深さ10mの水温が0.1℃上がるというのはその上空の大気全てが0.4℃暖まるのと同じ熱量になる。極域の方が温度変化が大きく北極海は出口がほとんどないのに対し、南極海は周りを強い海流が巡り、海洋全体の循環のポンプの役目を果たしている。ということで南極海の気候変動の観測が重要になるということのようだ。
    南極では海水が蒸発し雪となりいずれは氷床や氷河になる。また冬には海が直接凍るがそのときに氷はほぼ淡水なので塩分濃度が高く冷たい水となり大陸棚にそって沈み込む。
    アル・ゴアの不都合な真実で何度も流された地球温暖化によって棚氷が崩れ氷山となって流れ出す映像はショッキングだがこれも気温が高くなるというよりも、水温や塩分濃度による棚氷の下の海水の循環の影響が大きいようだ。いずれにせよ南極の氷床が小さく、棚氷が薄くなっていることは観測されている。
    影響としても単純に気温が何度上がったかよりも海流の変化の影響が大きそう。極の氷が大量に溶けると塩分濃度が薄まり海流のコンベヤベルトが止まり、赤道から極への熱の輸送が止まる。結果としては寒冷化の原因となり、1万3千年前に寒さが戻ったのは北米大陸の巨大な氷床が融けてできた氷河湖の堰が崩れ大量の淡水がメキシコ湾に流れ来んだために循環が止まったのが原因と言われている。
    南極の観測は海があれ、計器が凍結したりぶつかって壊れたりと困難らしいが最近出てきた新兵器がアザラシやペンギン。特に大型のアザラシは移動距離も長く測定装置を背負わせてもものともしない。泳ぎ回る間に深さ、位置、水温、塩分、流速などを記録し、息継ぎに海面に出た際に送信する。海のトリトンをちょっと思い出した。

  • 南極海を中心とした気候変動に関する最新の知見がわかる本。

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著者プロフィール

平和を考え行動する会・会員
撫順の奇蹟を受け継ぐ会・会員
日本中国友好協会・会員
長良川河口堰建設に反対する会・会員
アイヌとシサムのウコチャランケを実現させる会・会員
NPO法人ナショナルトラスト=チコロナイ・会員

著書
『日本軍兵士・近藤一 忘れえぬ戦争を生きる』風媒社、2006年
『二一世紀の中国の旅 偽満州国に日本侵略の跡を訪ねる』日本僑報社、2007年
『万人坑を訪ねる 満州国の万人坑と中国人強制連行』緑風出版、2013年
『日本の中国侵略の現場を歩く 撫順・南京・ソ満国境の旅』花伝社、2015年

「2017年 『華北の万人坑と中国人強制連行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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