東京スカイツリーと東京タワー―鬼門の塔と裏鬼門の塔

著者 :
  • 建築資料研究社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863581197

作品紹介・あらすじ

千年前に予言されていた、新タワーの「幸運」とは?二つの電波塔の、隠された正体とは?平将門、太田道潅、徳川家康、西郷隆盛、丹下健三…二つのタワー、そして皇居。江戸・東京の鬼門に潜む『点と線』が、浮かび上がる。

感想・レビュー・書評

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  • 献本御礼 丹下健三、万歳!でも。。。

  • 資料ID:21104501
    請求記号:

  • 資料番号 : 011432515
    請求記号 : 213.6ホ

  • 副題からも分かる通り、東京スカイツリーと東京タワーを、東京の鬼門と裏鬼門を守る双塔だとして、その根拠を探っていく本である。
    「まさか~。でも、もしかしたらあり得るかも…」と、都市伝説のような本書の主張にあえて騙されてみたかったのだが、半ば強引な論理の展開に付いていけず、何一つ納得しないまま読了してしまった。
    この本を読む時は、あとがきを最初に読むといいかもしれない。筆者が東京タワーに長く残ってほしいという思いから、「経済合理性の枠を越えた新たな視点」を「鬼門・裏鬼門軸」に求めたという前提を始めから念頭に置いた方が、変に立ち止まらず軽く読めるだろう。

  • 平将門から続く江戸の鬼門の物語。鬼門とか都市伝説が好きな人には面白いと思う。
    スカイツリーについてはかなり後半にならないと出てこないので、スカイツリーというタイトルに惹かれた人には物足りないかもしれません。

  • 「東京スカイツリーと東京タワーは、なぜ首都の鬼門(北東)と裏鬼門(南西)に向かい合うか」

    歴史に江戸が登場した時代から現代までのこの地に存在(存在した)建築物とモニュメントで綴るミステリー。
    本書はトンデモ本なのだろうか?都市計画学の本なのだろうか?陰陽五行説を下地にしたミステリーなのだろうか。
    ボクは、最終的には本書をミステリーとして楽しんだことにした。
    いまだこの地に深く根付く将門への鎮魂。そして、そのために過去から現在へと都市計画の名のもとに仕掛けられた装置。これはこれで、嘘でも面白い極上のミステリーである。

    「首都を主舞台とした「鬼門の物語」は、千年もの時間を超え、また現実空間と潜在空間を隔てる「壁」を超えて、どこまでも続いていくかのように思える。」

  • 東京タワーと東京スカイツリーの関係を、
    東京の鬼門と裏鬼門の関係にあてはめて、
    運命的なものであったとしていて、
    テーマとしてはとてもロマンティックでもあり、
    最初のほうは楽しく読めていた。

    が、だんだん著者のひとりよがり感が強くなってきて、
    途中から論理の飛躍、論理破綻している箇所が非常に目立つ。
    著者は日経アーキテクチャアの編集長も務めたことがある
    人物らしいが、そういう人が、こういう非論理的な文章を
    書くのはいかがかと思う。

    東京スカイツリーと東京タワーが
    鬼門と裏鬼門の位置関係にあることまではいいのだけど、
    それが平将門の塔と桔梗の塔であると帰結しているところなんかは
    もう強引極まりない。
    そういう部分がなければいいテーマだと思うのに。

  • 東京スカイツリーの開業まで、あと半年余りとなった。現在は竣工時の高さ634mまで到達しているので、これ以上高くなることはないのだが、日増しに成長していく建設中の塔を見るのは、ずいぶんと楽しいものであった。この低成長時代と言われる昨今、日を追うごとにどんどん高くなっていくという経験は、拙宅の積ん読本の山以外では、なかなか味わうことができない。

    その東京スカイツリーが、皇居から見たときに鬼門と呼ばれる北東の方向にそびえ立っていることにお気付きの方は、あまり多くはないだろう。しかも驚くことなかれ、裏鬼門と呼ばれる南西の方向には東京タワーがそびえ立っているのである。

    首都を代表する二つの電波塔が、皇居の鬼門と裏鬼門の方角に向かい合うようにそびえ立つ。はたしてこれは偶然なのだろうか。本書はそんな東京の隠された構造を、鬼門というコンセプトのもとに読み解こうという野心的な一冊である。驚くのは、その豪華キャストだ。仮にこれが映画なら、こんなクレジットになるだろう。

    千年の時空を超えた、「現実空間」と「潜在空間」の織りなす一大スペクタクル。全タワーが泣いた!
    出演:東京タワー、東京スカイツリー
    平 将門、江戸 重継、太田 道灌、徳川 家康
    特別出演:西郷 隆盛
    ロケ地:浅草寺、増上寺、富士山、筑波山
    演出:天海、丹下 健三
    そもそも鬼門とは何か?広辞苑によると「陰陽道で、鬼が出入りするといって万事に忌み嫌う方角で、丑寅すなわち北東の称」とある。ちなみに、中国では鬼門を不吉な方角とする考え方はなく、鬼門を忌み嫌うというのは日本独自の考え方であるそうだ。

    江戸の街並みが、裏鬼門にそびえる富士山と鬼門に位置する筑波山を手掛かりにして作られたというのは、有名な話である。鬼門対策においてキーパーソンとなっていたのは、徳川家康の宗教顧問、慈眼大師天海。そして天海が真っ先に考えたのが、怨霊伝説で有名な平将門の御霊への配慮であったという。

    この平将門を筆頭に太田道灌、徳川家康、西郷隆盛と名を連ねる歴代の鬼たちに対して、平安時代、江戸時代、明治時代、戦後のGHQ、昭和の建築家たちが、どのように対処してきたのかというのが、前半部のテーマである。そして現代からはるか昔まで遡り、鬼門対策の軌跡をつなぎあわせると、東京には鬼門を軸とした不思議な回り道が存在しているということが明らかになる。

    一方で後半部のテーマは、東京スカイツリー、東京タワーの隠された正体を探るべく、平将門との関係性を紐解いていくところにある。つまり平成の世となった現在においても、東京スカイツリーによって封じ込められている鬼を平将門と見立ているのが、本書の基本スタンスだ。

    著者は両者の関係を、松本清張の『点と線』を連想させるような構図で見事なまでにつないでいる。と言うと、いささか言い過ぎのきらいがあるが、本文で著者自身がそう述べているのだから仕方がない(笑)。しかし、その検証プロセスに執念深さを感じるのも事実だ。そして、検証の立脚点が陰陽道という非科学的なものの上に成り立っていることこそ、本書のユニークな点である。

    本書を読む際には、東京近郊の地図とペンがあれば、楽しさはぐっと倍増するだろう。例えば、平将門とゆかりの深い七つの神社、神田山日輪寺、兜神社、将門塚、神田明神、筑土神社、鬼王神社、鎧神社を、本書に倣って地図上で結んでみる。すると、浮かび上がるその線は、北斗七星の形そのものになるのである。古来より北斗七星を逆さに描いた旗を「破軍星旗」と呼び、この旗を背にして戦うと、必ず勝つという故事があったという。さらに、北斗七星を横目に北極星の位置を辿っていくと、そこには東京スカイツリーが鎮座しているという奇跡の構図が浮かび上がる。

    著者がなぜ、このような仮説を構築したのか、あとがきを読んでその答えに驚いた。著者の思いは、東京タワーに長く残って欲しいという一点に集約される。明確な役割を持たなくなってしまう東京タワーが、「採算が取れない」の一言で解体されてしまうことを危惧しているのだ。

    つまり、経済合理性というものに対して、陰陽道という対抗軸で挑んでいるわけだ。この着眼と発想には感服する。東京タワーが無くなる日、そんな日が来ることを望むわけもないが、いざ目前に迫った時、対抗するためには論理や科学を超えた新たな視点が必要になってくるのだ。

    それゆえに、本書では東京スカイツリーの話のみならず、「東京スカイツリーと東京タワー」という「対の関係性」が強調されている。裏付ける資料として、わざわざ平安後期に執筆された世界最古の庭園秘伝書『作庭記』という指南書まで持ち出してくるほどだ。そしてそこには、「裏鬼門に立つ東京タワーが、鬼門に立つ東京スカイツリーを向かい入れる場合に限って、新タワーは不幸を免れる」と受け取れる一文が存在しているというから驚く。実際に、東京タワーが出来る前の明治時代、皇居の鬼門方向にあった、東京随一の高層建築「凌雲閣」が関東大震災で壊れてしまった事実もあったそうだ。

    都市の魅力は計算し尽くされた整然さよりも、合理性には欠けるが人間臭さを感じるようなところにこそ隠されていたりする。本書と対峙するにあたって大切なことは、「正しいか、正しくないか」や「信じるか、信じないか」ということではなく、「面白いのか、面白くないのか」という態度で臨むことにあるのだろう。

    3月11日、日本を震撼させた東日本大震災。東京スカイツリーは幸いにも作業員と塔本体に異常はなく、一週間後の3月18日、待望の高さ634メートルに到達した。一方の東京タワーは、最長部のアンテナ支柱がまがったものの、なんとかそこで耐えきった。最大の危機を乗り越えた「幸運の双頭」、千年の時を経て来年5月、いよいよ新しい物語が始まる。

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著者プロフィール

建築専門誌「日経ア─キテクチュア」編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで行動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)など。 

「2015年 『謎深き庭 龍安寺石庭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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