リスボン 坂と花の路地を抜けて (KanKanTrip) (KanKan Trip)

著者 :
  • 書肆侃侃房
3.10
  • (0)
  • (3)
  • (6)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 50
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851108

作品紹介・あらすじ

ポルトガルの小さな古都リスボンの<br>旅の小箱をそっと開けてみる<br><br>そこにあるのは栄光の残照と、人々の懐かしい暮らし。太陽に打ちのめされたあとには、謎めいた青い夜が来て、街灯に照らされる金色の光を流したような石畳。南ポルトガルに住む著者ならではのリスボン街案内。<br>

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ヨーロッパ最後の田舎」と言われるリスボンはポルトガルの首都である。
    本書は南ポルトガルに長く住む著者が、旅人の目でリスボンを見つめ直し、巡り歩いたフォトブックである。
    行きずりの観光客でもリスボンっ子でもない著者による紹介は、ディープでありながら親しみやすい。美しい写真が満載なのも楽しい。

    有名な名所旧跡をくまなく回るわけでもなく、気の向くまま、ある意味、個人的嗜好の強い旅であるが、それだけに通り一遍ではなく、著者とともに旅をしている気分が味わえる。

    鰯の塩焼きや、豆を煮込んだフェジョアーダ。カニみそにワインを注ぐのもおいしそう。リスボンにはさまざまな庶民の味がある。
    パステル・デ・ナタ(エッグタルト)をつまみ、さくらんぼの酒を味わい、石畳の坂をそぞろ歩く。路面電車に乗ってスリに遭遇したり、香水を量り売りする小さなお店を見つけたり。
    青い花に誘われてジャガランタの咲く通りを探しに行く。
    イスラムの影響を受けたという、タイル装飾アズレージョを見つけながら歩く。

    抜けるような青い空。鮮やかで色とりどりの花。照りつける日差し。
    この美しい街にはしかし、底抜けの明るさだけが漂うわけではない。写真の中の街のそこここに、どこか、哀愁が感じられる。
    それは古い歴史のゆえだろうか。かつての栄光のためだろうか。
    エネルギーに任せた若さというよりも、酸いも甘いも噛み分けた大人の魅力をたたえた街、それがリスボンなのかもしれない。

    著者はリスボンを旅するのに、リスボンをよく知るガイドの利用を薦めている。生身のガイドには及ばないかもしれないが、この本もまたよき「ガイド」だろう。


    *著者あとがきに、「地理音痴」とある。なるほど、そうだろうなと思う。各章に地図は添えられているが、本文を読むと、地図を読み、あるいは地図を頭に入れて歩いているようにはあまり思えない。自分も方向音痴なので、ちょっと親近感が涌く。

    *タブッキ『レクイエム』を読み直しつつ。リスボンには彷徨がよく似合うのかもしれない。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      素敵なレビューですね。
      今すぐにでも旅に出たくなりました。
      南欧の降り注ぐ太陽とと~っても美味しそうな食べ物。
      想...
      こんにちは。

      素敵なレビューですね。
      今すぐにでも旅に出たくなりました。
      南欧の降り注ぐ太陽とと~っても美味しそうな食べ物。
      想像するだけでたまりません!!

      ラテン特有の光と影、またこれも哀愁が漂って良いですね(^_-)-☆
      2013/07/09
    • ぽんきちさん
      vilureefさん

      コメントありがとうございます(^^)。

      この本をめくっていて、リスボンを訪れてみたくなりました(^^)。
      食べ物が...
      vilureefさん

      コメントありがとうございます(^^)。

      この本をめくっていて、リスボンを訪れてみたくなりました(^^)。
      食べ物がおいしそうなのは大きなポイントですね☆

      仰るとおり、眩しいのに陰がある、そんなところも惹かれます。
      2013/07/09
  • リスボンの懐かしく、親しみやすさが感じられた。
    写真がたくさんで眺めているだけで楽しい。
    エッグタルト、魚介類、ファド、アズレージョ、坂の街、路面電車。

  • ガイドとしてはとてもいいと思う。
    エッセイとしては弱い。

  • 街角の光や色を感じる散歩

  • 代官山蔦屋書店で見かけて。

  • ポルトガルに行きたくなりました。

  • “心象のなかに、風景の中に誰か大切な人が、物がない。不在が、寂しさと憧れ、悲しみをかきたてる。と同時にそれが喜びてもなる”
    ―サウダーデに母を思う。
    いつか必ずポルトガルは訪れる。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1946年、東京生まれ。劇団「天井桟敷」の創立メンバー。
19歳で構成作家に、以後、テレビドラマの原作、脚本を手がける。
独身時代のパリ、ローマに始まり、結婚後はカナダ、ニューヨーク、メキシコ、モロッコ、スペイン、最後の20年は南ポルトガルの小さな漁師町に暮らした路傍の主婦。2015年に帰国、伊豆在住。
脚本/「親にはナイショで」「東京ローズ」他。
舞台/「アカシヤの雨に打たれて」
著書/『私は指をつめた女』(文春ネスコ)、『南ポルトガルの笑う犬』
『リスボン 坂と花の路地を抜けて』(書肆侃侃房)など。

「2023年 『寺山修司 彼と私の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青目海の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×