あそこ (新鋭短歌シリーズ11) (新鋭短歌 11)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851337

作品紹介・あらすじ

とにかく驚いた。
肉体的なリアリティーに対する挑戦として言葉の裏をめくり、異空間に繋がる独自の世界を探りつづける。
東 直子

自選短歌五首
さかみちを全速力でかけおりてうちについたら幕府をひらく

おもうからあるのだそこにわたくしはいないいないばあこれが顔だよ

われわれわれは(なんにんいるんだ)頭よく生きたいのだがふくらんじゃった

玉川上水いつまでながれているんだよ人のからだをかってにつかって

外堀をうめてわたしは内堀となってあそこに馬をあるかす

感想・レビュー・書評

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  • 「はい、これから何かおもしろいことを言いますよ」という空気を一切感じさせずに、意表をついてくるおもしろさ。

    玉川上水いつまでながれているんだよ人のからだをかってにつかって

    巣のようなあそこそろそろわたくしを(ごしょうですから)生んでくれぬか

    トイレの蛇口強くひねってそういえば世の中の仕組みがわからない

    この独特の破調がくせになる。韻律を大事にしたものを一定数読んだからこそおもしろいのか、そうでなくてもおもしろいのかはよくわからない。でもなんていうか、哲学じゃないか。タイトルについては、一見したときは表紙の清楚さもあいまって「彼方」みたいな意味なのかな、それにしては隠語にも思えるし挑戦的なのか無頓着なのか、わからん、と思っていた。あとがきに痺れました。

    「言葉はそれだけで存在する」ということを、私は馬鹿の一つ覚えのように本気で信じている。ー138pより

    装丁次第でもっと響くタイトルになったと思う。そこがすこしもったいない。

  • 望月裕二郎 短歌 いちどわたしにあつまってくれ最近のわかものもふりそびれた雨も もう夢は耳でみるからはずかしいかたちの水をかけないでいて いまだけのみじかい水をすきかってはしらせる部屋それもわたしの 嘘のちかくにわたしは水をくんでこい庭は小鳥のちからにまかせ 五臓六腑がにえくりかえってぐつぐつのわたしで一風呂あびてかえれよ わたくしが述語とむすびつくまでに耳のおおきな川が一本 これまでに(これってどれだよ)わたくしがみてきたものの半分ていど 返歌 あそこまで(あそこどれだよ)あなたたち創ったものの三割程度

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著者プロフィール

1986年東京生まれ。立教大学文学部卒業。2007年から2010年まで早稲田短歌会、2009年から2011年まで短歌同人誌「町」に参加。

「2013年 『あそこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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