Bootleg (新鋭短歌シリーズ)

著者 :
  • 書肆侃侃房
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863851856

作品紹介・あらすじ

あの街で、生きていたこと。今、ここにいること。
不在の人の気配が、あたたかな充足にかわっていく。ささやかな日常が、新鮮な情景となってよみがえる。(東 直子)

【自選短歌五首】
ライラック思い描けばえがくほどさようならこの手を離れゆく
てのひらを風にかざしているようにさびしさはぶつかってくるもの
鳴き声を設定したらよさそうな亀のかたちの飛び石を踏む
まっさらなノートのような思い出が音もなく降りこぼれる僕に
ため息を眺めていたら指差したゆびが消えたら春の花々

感想・レビュー・書評

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  • 土岐友浩 短歌 ときどきはうつむきながら川べりを走ってくれるバスに乗りたい ひと言を伝えるようにはらはらと時雨落ち葉をたたいて消える 自転車を橋の手前に停めておく川よカモメのとどまるところ 暗くしたホールのなかのいちまいのスライドに映されるみずうみ ゆるやかに降り出す雨の寄り道の神社に咲いているつぼすみれ 僕の手を離れて水になっている母を亡くした春の記憶は よく冷えた缶コーヒーを飲みながら違いがわかることのかなしさ 返歌 温かい簡易珈琲飲みながら違い分からず落ち込んでいる

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著者プロフィール

1982年8月、愛知生まれ。歌人、精神科医。京都大学在学時に「京大短歌」に入会し作歌をはじめる。2009年、瀬戸夏子、服部真里子、平岡直子、望月裕二郎、吉岡太朗の5人と同人誌「町」を立ち上げる。同誌は2011年に歌集『町』を発表し、解散。2013年より同人誌「一角」を個人発行している。2014年、連作 “WALK ALONE” 30首が第26回歌壇賞候補作品に選ばれる。

「2015年 『Bootleg』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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