短歌タイムカプセル

制作 : 東 直子  佐藤 弓生  千葉 聡 
  • 書肆侃侃房
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863853003

作品紹介・あらすじ

現代歌人115人の各20首&1首鑑賞。一千年後に届けたい現代短歌アンソロジー。葛原妙子・塚本邦雄・岡井隆から吉田隼人・大森静佳まで。

感想・レビュー・書評

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  • 2016年の秋、編者3人(東直子さん、佐藤弓生さん、千葉聡さん)が集まり「一千年後に残したいと思う現代短歌を一冊のアンソロジーにまとめよう」と話し合い編まれたアンソロジーだそうです。

    一人の歌人につき二十首ずつ載っています。
    古くは葛原妙子、塚本邦雄、寺山修司から現在活躍中の穂村弘さん俵万智さんはもちろん、80年代生まれの大森静佳さんまで115人の短歌が載っています。

    あとがきで高校教師でいらっしゃる千葉聡さんが、多くの歌集は高価で一般の書店に置かれていないので、生徒たちの小遣いで買える短歌の本をつくりたかったとおっしゃられています。
    その願いがこの本で叶えられたそうです。

    確かにこの本は245ページに115人×20首で、短歌のシャワーを浴びたような気持ちになりました。
    読むのに足掛け4日かかりました。
    好きな歌人を見つけるのによい歌集だと思います。

    他の歌集などでも読んで知っていた方ですが、大松達知(たつはる)さん、加藤千恵さん、雪舟えまさんは好きでした。そしておなじみ俵万智さん、笹井宏之さん、杉崎恒夫さんはやっぱり好きでした。



    以下に気になった歌を載せます。

    ○息を吞むほど夕焼けでその日から誰も電話に出なくなりたり             石川美南

    ○眠りゐる麒麟の夢はその首の高みにあらむあけぼのの月               大塚寅彦

    ○かへりみちひとりラーメン食ふことをたのしみとして君とわかれき          大松達知

    ○われの生まれる前のひかりが雪に差す七つの冬が君にはありき            大森静佳

    ○そんなわけないけどあたし自分だけはずっと16だと思ってた             加藤千恵

    ○つつじには功労賞をあげようと二人で決めたはるかなる午後             北川草子

    ○退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らず さよなら京都              栗木京子

    ○一斉に都庁のガラス砕け散れ、つまりその、あれだ、天使の羽根が舞ふイメージで   黒瀬珂らん

    ○雪に傘、あはれむやみにあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ          小池光

    ○牛乳のあふれるような春の日に天に吸われる桜のおしべ               小島なお

    ○修学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。それで、それだけ          笹 公人

    ○ここはくにざかひなので午下がりには影のないひとも通ります            笹原玉子

    ○さくらさくらいつまで待っても来ぬひとと
      死んだひととはおなじさ桜! 林あまり

    ○花びらは破れやすかりひらがなの名をもつ友のみんなやさしく            松村由利子

    ○野ばらには野ばらの言ひ分 わたくしは膝をかかへてねむったままだ         山崎郁子

    ○とても私。きましたここへ。とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ         雪舟えま

    • 張飛さん
      まこと、俺の短歌の話で申し訳ないんだが、「ラジオ深夜便 ほむほむのふむふむ」の9月3日放送分で俺の短歌が紹介されたから、もし都合良ければ、「...
      まこと、俺の短歌の話で申し訳ないんだが、「ラジオ深夜便 ほむほむのふむふむ」の9月3日放送分で俺の短歌が紹介されたから、もし都合良ければ、「らじるらじる」という聞き逃し配信しているサイトで9月11日の午前5時まで聴けるから聴いてみてくれ!

      番組の後半のリスナーの短歌で2首紹介されているうちの1首めの「東京へ」ではじまる短歌だ。ラジオネームは石井啄也だ。

      ブログでも紹介しようと思っているが、聞き逃し配信が1週間の期間限定だからお知らせしようと思った。個人的なお知らせで申し訳ねえ。
      2023/09/05
    • まことさん
      張飛さん、こんばんは♪

      お知らせありがとうございます。
      「ほむほむのふむふむ」放送、おめでとうございます!
      その、サイトは以前5552さん...
      張飛さん、こんばんは♪

      お知らせありがとうございます。
      「ほむほむのふむふむ」放送、おめでとうございます!
      その、サイトは以前5552さんにお聞きして、登録してあったはずなので、明日にでも、早速、聴いてみます。
      ご自分の歌が、ラジオから流れてきたら、さぞかし、びっくりされたでしょうね!

      実は、私、その情報、さっきから、知っていました。
      たまたま、パソコンで、ブクログを開いていた時に、友だちのタイムラインが出ていて、張飛さんが『しびれる短歌』にコメントされていたので、「何かな?」と思って開いてみたのです(*^^*)。
      そしたら、皆さん集まられている所を発見しました。
      私は張飛さんのブログの方にコメントしたので、お手間とらせましたね。今度から、皆さんの、コメントも拝見したいし、何かお知らせがあると、手間になるので、ブログと、ブクログ、両方にコメント残そうかなと思いました。
      では、らじるらじるを楽しみに!
      2023/09/05
    • 張飛さん
      まこと、ありがとう!びっくりしすぎて、しばらくは実感がわかなかったよ。

      全然手間じゃねえぜ。ブログでもブクログでもまことの都合のいい方にコ...
      まこと、ありがとう!びっくりしすぎて、しばらくは実感がわかなかったよ。

      全然手間じゃねえぜ。ブログでもブクログでもまことの都合のいい方にコメントしてくれ。いつもコメントしてくれて本当にありがとう!
      2023/09/05
  • 3人の編者による短歌アンソロジー。普段はしないが、気になる歌人に付箋を貼っていったら付箋だらけになった。未知の人や名前しか知らない人の歌に出会い覚えておきたい歌もまた増えて嬉しい。編者による一首鑑賞も気付かされる事多くてよかった。

    • まーちゃんさん
      この本も、とても興味を持ちました。短歌や俳句って、とても興味がありますが…今までは馴染みが無くて…短歌は啄木くらいしか、しりません。恥ずかし...
      この本も、とても興味を持ちました。短歌や俳句って、とても興味がありますが…今までは馴染みが無くて…短歌は啄木くらいしか、しりません。恥ずかしい…。
      この本がきっかけになれば、と思います。ありがとうございます。
      2021/06/01
    • 111108さん
      私もほぼ初心者なので、歌集よりこういう鑑賞文つきを読んでいこうと思ってます。
      私もほぼ初心者なので、歌集よりこういう鑑賞文つきを読んでいこうと思ってます。
      2021/06/01
    • まーちゃんさん
      なるほど…参考にさせていただきます。ありがとうございます。
      なるほど…参考にさせていただきます。ありがとうございます。
      2021/06/01
  • 編者三人による千年後に残したい現代短歌アンソロジー。短歌の未来への願いが込められた一冊。歌人115人各20首も収録されています。
    まことさんが仰っていた通り、好きな歌人を見つけるのに良い歌集でした。好きな歌がいっぱい見つかりました。短歌に興味がある人にほんとにお勧めですね。その日の気分でページを開いてみても素敵な出会いがあるかもしれません。俵万智さんや杉崎恒夫さん、東直子さんなど、気になった歌人の歌集を少しずつ読んでいけたらなと思います。
    今回、初めて図書館のリクエストカードでお願いしてみて、県立図書館から相借してくださり読むことができました。こんなに便利でありがたいシステムがあったんですね。これからも活用していきたいです。
    まことさん、今回も素晴らしい作品を教えてくださりありがとうございました!!


    気になる歌をメモしていったら軽く50首は超えてしまったので、得に気に入った歌を挙げます。

    街路樹の木の葉ふるときソラシドレ鳥刺の笛がきこえませんか 杉﨑恒夫

    てのひらの骨のやうなる二分音符夜ごと春めくかぜが鳴らせり 永井陽子

    カメレオンと樹の関係を想う午後ひとりのからだやさしくなりぬ 早川志織

    ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり 穂村弘

    バンザイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ生まれてバンザイ 俵万智

    みかん一つに言葉こんなにあふれおり かわ・たね・あまい・しる・いいにおい 俵万智

    てのひらにてのひらをおくほつほつと小さなほのおともれば眠る指さして 東直子

    四歳をぐぐつと抱けば背骨あり 死にたくないな君が死ぬまで 大松達知

    立てるかい 君が背負っているものを君ごと背負うこともできるよ 木下龍也

    ありつたけの奇跡集めて春の野にぶちまけたらやつと笑つてくれた 山田航

    とても私。きましたここへ。とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ 雪舟えま

    • ひろさん
      まことさん、こんにちは♪
      今年の上半期ベスト3に入るのも納得です!
      色んな方の短歌を楽しめて、至福のひとときを過ごせました(⋆ˊᵕˋ )
      ま...
      まことさん、こんにちは♪
      今年の上半期ベスト3に入るのも納得です!
      色んな方の短歌を楽しめて、至福のひとときを過ごせました(⋆ˊᵕˋ )
      まことさんがお勧めしてくださった杉崎恒夫さんや俵万智さん、好きだなぁと思いました。東直子さんもいいですよねぇ。歌集を読むのがとても楽しみです♪
      雪舟えまさんは短歌のガチャポンにも載っていましたが本当に素敵な歌がいっぱいで、大松達知さんは男気を感じる歌にグッときました!
      まことさんの短歌レビューがとても参考になっています(*>∇<)ノこれからも楽しみにしています!
      2023/07/01
    • まことさん
      ひろさん、こんばんは♪

      短歌の皆さまにお知らせしたので、ひろさんにもお知らせしますね。
      2023年7月8日Eテレで20時45分より短歌の番...
      ひろさん、こんばんは♪

      短歌の皆さまにお知らせしたので、ひろさんにもお知らせしますね。
      2023年7月8日Eテレで20時45分より短歌の番組があります。
      「沼にハマってきいてみたいま熱い短歌沼」。
      詳細は私のTwitterにリツイートしていますので、もしよろしかったら、ご覧ください。
      2023/07/01
    • ひろさん
      まことさん、有益な情報をありがとうこざいます!
      フォト短歌とか気になります!楽しみ~♪
      さっそく録画予約しました(*^^*)b
      まことさん、有益な情報をありがとうこざいます!
      フォト短歌とか気になります!楽しみ~♪
      さっそく録画予約しました(*^^*)b
      2023/07/02
  • 短歌のアンソロジー(異なる作者による作品を集めたもの)だ。吉川「三国志」の登場人物の数(839人)ほどではないが、115人もの歌人の短歌が掲載されている。好きな歌人を見つけるのに最適だ。

  • 短歌入門教室の先生が教えてくれた本。
    あいうえお順に世代性別関係なしのアンソロジー。
    好きな歌人も知らなかった歌人もまとめて読めてとてもお得。
    気に入った歌を付箋貼ったら付箋だらけになってしまった。
    何度も読み返して味わう素敵な時間になりそう。

  • 本書は、一千年後に残したいと思う現代短歌を一冊のアンソロジーにまとめるというコンセプトのもと、戦後から2015年までの間に歌集を刊行した歌人の中から、編者3人(東直子、佐藤弓生、千葉聡)が115人、各20首を選んだものである。(収録歌は2016年以降のものも含む)
    東直子(1963年~)氏は、広島県生まれ、神戸女学院大学家政学部卒の歌人、小説家、脚本家。歌壇賞(1996年)受賞。「かばん」会員。
    佐藤弓生(1964年~)氏は、石川県生まれ、関西学院大学社会学部卒の歌人、翻訳家。角川短歌賞(2001年)受賞。「かばん」会員。
    千葉聡(1968年~)氏は、神奈川県生まれ、東京学芸大学教育学部卒の歌人、公立高校国語科教諭。「かばん」会員。
    私は50代の会社員で、最近短歌に興味を持ち始め、俵万智、穂村弘、東直子、木下龍也等の歌集や短歌入門書を読み、半年ほど前から新聞短歌に投稿している(最近ぽつぽつ採用もされるようになった)。
    現在新刊で入手しやすい現代短歌のアンソロジーとしては、2018年出版の本書のほかに、山田航の『桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表』(2015年出版)、瀬戸夏子の『はつなつみずうみ分光器 after 2000 現代短歌クロニクル』(2021年出版)などがあり、私は3冊とも入手しているが、それぞれ以下のような特徴がある。
    ◆本書・・・戦後~2015年の間に歌集を刊行した歌人。115人。各20首。各歌人の代表歌1首に鑑賞文が付いている。戦後以降のため、岡井隆、葛原妙子、塚本邦雄、寺山修司、馬場あき子なども含まれる。
    ◆『桜前線開架宣言』・・・1970年代以降に生まれた歌人。40人。各56首。各歌人についての評論が充実。
    ◆『はつなつみずうみ分光器』・・・2000~20年の間に刊行された歌集。55冊(55人)。各20首。20年の短歌界の流れを踏まえた、各歌人の代表歌数首の解説が充実。60年代生まれの穂村弘、東直子、枡野浩一、吉川宏志など含む(俵万智は入っていない)。
    とにかく多くの歌人の歌に触れたいなら本書、若手中心に幅広い歌とそれぞれの位置付け・作風などを知りたいなら『桜前線』、短歌界の流れや、60年代生まれ辺りまでカバーしたいなら『はつなつ』といったところか。。。
    個人的には、全くの初心者なので、後者2冊の評論・解説が、自ら作歌する上でもとても重宝しているが、本書についても、自分より前の世代を含めて、現代短歌の代表的歌人の歌がまとめて読める価値は大きい。
    (2021年12月了)

  • 好きな歌人に沢山出会えた

  • こういうアンソロジーはいいね
    短歌集高いし、敷居が高いんだよね
    教科書で知ってちょっといいなと思っても
    入門書を開いたら文語か口語を選べ文語が基本だ
    WEBを見たらネット短歌はだめだとかやなんとか

    今橋愛さん、中澤系さん、加藤千恵さんも収録されているともっとよかったけどそれはまた別のお話

  • (2023/11/15読了とする)
    正しくは、全て読んでいない。
    まことさんの感想を拝見し気になった本。
    図書館で貸し出し中だったので、編者の一人である東さんの「短歌の詰め合わせ」を先に読んでいる。
    歌人103人(数え間違いがなければ)がそれぞれに自選で(亡くなられてる場合は編者が)二十首、そのうちの一首を編者が鑑賞文として掘り下げている。
    情報量が多すぎて、図書館で借りて読むには時間がかかりすぎる。私の読み方=一度目を通して、二度目に情景を浮かべながら=も、時間を費やす理由なんだけども。
    ゆっくりじっくり読むには購入して…なんだけど、できれば好きな歌人のだけ読みたい。
    好きな歌人を知るきっかけとしてこの本はぴったりなんだけど、借りて読むには…の堂々巡り。

  • 笹井宏之とかフラワーしげる先生とか、雪舟えま先生とか
    ああ、この言語センスとおかしみは敵わねえなってシンプルに卒倒させてもらえる歌人に出会える瞬間が好きだ

    田丸まひる先生の短歌もいいなあ
    そういう発見ができるのも嬉しいかた短歌アンソロジーは定期的に手に取りたくなる

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著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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