重すぎる母、無関心な父 (静山社文庫)

著者 :
  • 静山社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863890923

作品紹介・あらすじ

親が「親」の役割を演じられなくなると、子どもを「愛」という言葉で縛る。「過剰な愛」に支配された子どもは、親のために「いい子」を演じる。決してなくならない日本特有のウェットで歪んだ親子関係は、成人してからも続く「生きづらさ」の原因。でも「私はアダルト・チルドレン」と認めた時から、他の誰でもない、「私が主役」の人生が始まる。「親子関係を見直したい」「人間関係をよくしたい」「自分の人生を生きたい」と思っている人のための本。

感想・レビュー・書評

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  • 親が「親」の役割を演じられなくなると、子どもを「愛」という言葉で縛る。「過剰な愛」に支配された子どもは、親のために「いい子」を演じる。
    決してなくならない日本特有のウェットで歪んだ親子関係は、成人してからも続く「生きづらさ」の原因。
    でも「私はアダルト・チルドレン」と認めた時から、他の誰でもない、「私が主役」の人生が始まる。
    「親子関係を見直したい」「人間関係をよくしたい」「自分の人生を生きたい」と思っている人のための本。
    現代日本社会は同調圧力が高まっている、その中で居場所や自信のない若者が増えている。
    アダルトチルドレンの最大の特徴は、自分と現実との違和感と居場所の無さ、それは家族の中の辛い現実から身を守るために乖離させる必要があったからである。
    アダルトチルドレンの3つの類型は、責任を負う子供、なだめる子供、順応する子供。アダルトチルドレンの生きづらさの原因は、状況に応じて役割分担する柔軟性がなく特定のパターンでしか行動出来ないこと、特に責任を過剰に負うことからである。
    アダルトチルドレンの特徴は、孤立感、極端な自己評価の低さ、愛と同情の混同、怒りや批判への脅え、自分の感情に気づき表現する能力の欠如、自己肯定感の無さ、絶望的なまでの愛情と承認の欲求など。
    アダルトチルドレンを生む機能不全家族の特徴は、支配し合う関係や相手をコントロールする関係があること。
    家族は、そこに帰れば外の世界で受けた傷が癒やされ明日への活力が得られる安らげる場所であるべきなのに、条件付きの自分しか許されない家族になってしまっている。
    愛情という名を借りて相手を支配する共依存の、構造。共依存から離れるためには、私はどうしたいかをはっきり言うこと。
    回復に役立つサイコドラマ療法の目的は、自発性開発と具体的な人間関係のノウハウをロールプレイングする人間関係発展のため。
    アダルトチルドレンが生きづらさの原因を見つめて人間関係をよくするための、参考になる本です。

  • 自分のことかとおもえるタイトル。そして自分だった。初読時にはいくつかの体験がよみがえり、子どものときの自分が可哀想で涙こぼさずに読めなかった。しかし泣き続けるのは本書の趣旨に反する。

    「アダルト・チルドレン(AC)」は病名ではなく自己認知するものだ。自分が楽になるために、自分はACだと決める。本書はこのことを軸にACからの回復を目指す。
    まず、自分の生きづらさが親との関係に起因すると認める。原因を探るのではなく、関係に目を向けることがポイントだ。関係は変えていくことができるからだ。

    ACの治療において「インナーチャイルド」を癒せ、ということがよく言われる。かつて傷ついた(トラウマをうけた)子どもの頃の自分を自分で癒すということだ。
    著者はそこに閉鎖的な自己愛を感じ「インナーペアレント」という新概念を提示する。それは自分の中の親との関係をどのように変えていくかという問題だ。そして、自分の中に入り込んだ親なら追い出すことができる。
    その先に、親のドラマと自分のドラマを切り離し、これでいいのだと思える日が来るだろう。ACという言葉が必要なくなる時が来るだろう。

  • すっきり明快、気持ちいいぐらい。やっぱり家族ってこわいものなんだと改めてわかった感じ。
    今まで斎藤学先生の本は何冊も読んだことがあるんだけど、信田さよ子さんのは初かも。他にもたくさん読もうっと。

  • 自分のこととして読めるかと思っていたのだけれど、これは職場の先輩だな〜という結論に。彼女にこれを読ませたらどうなるんだろう。

    親は親、子は子。苦しいなら我慢したり自分を責めたりせず、逃げることを考えたっていいじゃない、と背中を押してくれる本です。

  • 親が「親」の役割を演じられなくなると、子どもを「愛」で縛り、その子どもは親を見て「いい子」に育つ。
    その「いい子」に雁字搦めにされ、次の世代に引き継がれていく。納得のいく話だった。
    親が「親」の役割を演じられなくなる前に、子どもは巣立って行かなければならない。親の役割を演じるにも限界があるのだと思う。

  • 親子関係の学術的な本の中では、親ではなく主に子供に焦点を当ててアダルトチルドレンと、そのカウンセリングからの切り口で説明を行っている。
    学術的な用語もよく出てくるので、少し難しいけど、そういう考え方もあったのか、という部分もある。
    前半から抜粋すると
    「ACは自己認知である」つまり誰かが診断したりこういう状況だったから自分はACだというわけではなく、自分がそう認知したらACであるという考え。
    「ACプライド」機能不全家族には応答を望めないがゆえに、自分の背景を作ることや自問自答に長けてしまう。自分を言語化することが得意であるということ。たしかに、周りになじめない、という感覚がするとき、この人たちは自分自身が見えていないのでは?と思うときが多い。それが間違っているしろ、事実であるにしろ。
    こんなところである。

  •  まえがきにある通り、時々違うかな・と感じることがあるが、納得いく一冊。
     本の表紙は娘が父母にそっぽを向いているように描かれていて、娘視線の本か?と思われるかもしれないが、父や母、大人のみんなにおすすめしたい本。
     読了後、そんな心構えは何年も前に習得したよ。と思い、寂しい人間になったなと感じた。

  • ACについて、歴史を丁寧に説明しています。
    ただ、中盤の共依存も分かりやすく説明していますが、やや著者の主観が入りすぎているようになっています。

    投げかけている提案も多少無理があるような気もしますが、自分の中に何か気づく面が得られるならばそれは収穫だと思います。

  • アダルトチルドレン、共依存・・・。
    一気読みしたので、まだまだ理解できていないけど、
    必要な知識だと思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「必要な知識だと思う。 」
      信田さよ子の著作は何冊か読んだのですが、此れは未読なので、読んでみようかな、、、
      「必要な知識だと思う。 」
      信田さよ子の著作は何冊か読んだのですが、此れは未読なので、読んでみようかな、、、
      2013/06/10
  • もとになった2冊はAC概念のはじめの頃だけど、家族とそれを取り巻く問題は変わらないのだと実感。特に、日本的な家族関係に基づく「インナーペアレンツ」といった考え方は今読む人にも目から鱗となるのではないだろうか。

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著者プロフィール

公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。

「2023年 『家族と厄災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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