三好一族と織田信長 「天下」をめぐる覇権戦争 (中世武士選書シリーズ第31巻)

著者 :
  • 戎光祥出版
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864031851

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  • 信長の先例としての三好長慶の存在、三好義継による義輝暗殺への肯定的意義付けが特に印象に残った。

    また、忘れがちな「義昭による斯波氏家督と管領指名」が、むしろ当時としては一般的な家名継承であることも、忘れがちな視点だ(あと、通称斎藤と呼んでいる道三の子孫が一色氏を名乗っていることも)

    信長と長慶という二人の新しい人物に着目しつつ、それが足利将軍(室町殿)を中心とする権威秩序の解体過程であること、最終的な克服プロセスとしての武家関白制、そのまたアンチテーゼとしての源氏将軍徳川家康、と整理されてみると中世権力から近世権力への移行過程がものすごくスムーズになった。

  • 三好長慶から織田信長へと近畿の支配者が移行する過程を、三好一族と信長の関係性を軸に叙述した一冊。足利将軍を中心とした社会秩序が徐々に解体され再構築されていく様子が興味深かった。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    まず、内容以前に非常に読みやすく、内容がスラスラと頭に入ってくるのが印象に残っている。この天野忠幸の著書は読みやすく、面白いとは聞いていたが非常に印象に残っている。
    内容としては『信長の野望』などの戦国時代を舞台とするゲームで初期シナリオで開始すると最初から大勢力だが、いつの間にか滅ぼされている大名といった印象で詳しいことはよく知らなかった。
    しかし、この本を読む内に三好長慶は信長、秀吉、家康などの天下人よりも前に似たような政策を実施していることには驚いた。
    三好氏が天下を取れなかった理由は室町幕府の権威が完全には堕ちきってはいなかったという事が要因の一つだろうか。
    皮肉にも室町幕府の権威は三好義継が将軍暗殺を行ったことで堕ちきったという感じかな。
    それにしもて近畿で発生した出来事が西国や東国などの情勢にも大きな影響を与えていたということも意外ではあるが、同じ時代なのだということがよくわかり、面白かった。

  • メモ

    三好長慶は将軍を擁立せず家格をあげようとした

    義継は九条家の娘婿。将軍暗殺に松永久秀は関わらず。信長上洛と義継、三人衆、阿波三好、松永の思惑。当初、信長の天下は畿内周辺だけだった。

  • 応仁の乱、細川京兆家の分裂以降続く、京都を制圧すると反対勢力が違う将軍を担いで諸国大名に呼びかけ包囲網をつくるという構図。三好長慶は
    将軍や京兆家の家督を継ぐこなとなく、三好の家格を上げることで克服しようとした。三好長慶が早くに亡くならければ織田信長より先に新しい体制が実現したかもしれない。養子で家督を継いだ三好義継は将軍謀叛という名目で足利義輝を殺害するが、これは父のやろうとしたことを性急にしたのだうが、地方から反発を買う。足利義昭を担いだ 三好義継包囲網の形成で、織田信長や松永久秀、武田義統、朝倉義景、上杉謙信などの多くの大名が参加する。織田信長が上洛すると三好義継が降伏し、松永久秀やや他の大名達が参加する足利義昭体制ができる。信長は足利家を支えるつもりだつたが、足利義昭と決裂。足利義尋を擁することになり、毛利家に担がれた足利義昭が作る包囲網に苦しむことになる。信長は最終的に包囲網に打ち勝つが、将軍になるかとなく、織田家の家格を上げることで新体制を作ろうとする。秀吉はさらに推し進め、関白になり豊臣氏いう新しい姓を作るり摂関家を
    超える家格になる。三好義継亡き後の三好家は三好康長が棟梁になるが、信長や秀吉から養子を取らされ四国対策で利用されるだけになる。

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著者プロフィール

天野忠幸(あまの・ただゆき)
1976年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。
現在、天理大学文学部准教授。
主な著作に、『三好長慶』(ミネルヴァ書房、2014年)、『増補版 戦国期三好政権の研究』(清文堂出版、2015年)、『三好一族と織田信長』(戎光祥出版、2016年)、『荒木村重』(戎光祥出版、2017年)、『松永久秀と下剋上』(平凡社、2018年)、『列島の戦国史4 室町幕府分裂と畿内近国の胎動』(吉川弘文館、2020年)、『三好一族』(中央公論新社、2021年)、『戦国武将列伝7 畿内編上』(編著、戎光祥出版、2022年)などがある。

「2023年 『戦国武将列伝 8 畿内編【下】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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