「大相撲八百長批判」を嗤う

著者 :
  • 飛鳥新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864100953

作品紹介・あらすじ

八百長問題は、未だに解決していない。宮崎学(作家)、根岸敦生(朝日新聞記者/元相撲担当)、鵜飼克郎(『週刊ポスト』相撲担当記者)、荒井太郎(相撲専門誌記者)の4人の相撲通と徹底討論。相撲における勝敗と番付の関係を徹底究明し、驚くべき結論が導き出された。これが、ファンと関係者が是非とも識っておくべき「八百長問題」の真実だ。

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読む前はスポーツに八百長なんて絶対に許せない。と考えてましたが、確かに相撲はスポーツ以外の側面という部分や希薄な師弟関係や部屋数の問題等、様々な切り口があり考えさせられました。

  • まず著者のスタンスが面白い。

    タイトルにも表されているが、あくまで八百長を批判している一般的なメディアやワイドショーのコメンテーターを批判している。

    かといって八百長に賛同したり、相撲協会の立場に立っているわけでもない。

    単に相撲ファンとして、是々非々では片付けらない、極めてグレーな部分を併せ持つ相撲という世界を立て直すにはどうしたらいいのか、というのを対談を中心に論じられている。

    相撲中継を見ているだけではまず語られない、裏の部分の話も出てくるので、相撲の見方が良くも悪くも変わってしまう一冊。

  • 八百長は絶対ダメで、常に真剣勝負であるべきだ、という近代スポーツの理念を大相撲に適用するのは、野暮の骨頂だと一貫して主張するのが玉木正之です。

    メディアすべてが右へならえというときに、こういった持論を展開するのは相当な勇気と度胸がいるはずですが、外野はともかく真の大相撲ファンなら、今までのモヤモヤから溜飲を下ろしてもらえる納得の本です。

    玉木正之を囲んで対談するのは、宮崎学(作家)、根岸敦生(朝日新聞記者・元相撲担当)、鵜飼克郎(週刊ポスト記者)、荒井太郎(相撲専門誌記者)の4人の相撲通で、彼らとの徹底対論でより鮮明に。

    この感想へのコメント
    1.たまもひ (2011/09/26)
    おお、これは読まねば!
    ほんとに何でメディアの論調はああも横並びなのか。早速読んで溜飲を下げることにします。

    2.yuu (2011/09/26)
    本の雑誌10月号で坪内祐三さんが、玉木さんが「新潮45」で白鵬と魁皇の5月の技量審議場所の取組みを八百長、若しくは無気力相撲としていることを取り上げています。
    坪内さんによれば、力の入った素晴らしい相撲だったとのこと。
    どうも、良く判りません。

    3.薔薇★魑魅魍魎 (2011/09/27)
    念のためYouTubeで確認すると、5月22日のその一番については坪内祐三に軍配をあげます。
    魁皇を見くびってはいけません。右上手を取ったら天下無敵の怪力で、今までも強い時の貴乃花や曙も投げ飛ばしてきましたし、衰えたとはいえ相手のちからを吸引して無力化する彼独自の神業は健在です。
    ということは玉木センセにおかれましては、あまり相撲の眼力はなさそうで、説得力にかけますね、ちょっとどうするのこの本。

  • 大相撲は、神事、興行、スポーツの3つの側面を持つ鼎である。その中のスポーツの側面だけを取り出して「八百長けしからん」と杓子定規に決めつけるのはナンセンスだと言うのが氏の主張。色々な資料から昔から八百長はあり、当然全面肯定ではないが、潤滑油的な役割をはたしていた。が、最後は番付で実力が計られていた。しかしながら昨今自身の保身で安易な八百長が組まれていたことが氏の心配していたことである。近年相撲部屋の核家族化や外国人力士の台頭で昔とは事情が大きく変わっていることがあげられるが、長い年月をかけて継続してきた伝統には幾人もの知恵が込められているので、今後新たな知恵をしぼり、今後も相撲文化の継続を氏は望んでいる。
    宮崎学氏との対談で相撲道は武士道ではなく、任侠道の一種であるとする説は、出自等の説明からなるほどと思わせるものでした。
    相撲の八百長も任侠も必要悪かどうかは分からないが、日本が伝統的に育んで来たものである。伝統には時代を生き残ってきたそれなりの力が存在する。相撲の危機的状況も社会の変化によるものであるが、日本文化全体が社会システムの変更により危機的状況をむかえている。相撲と同様に今一度日本人自身がそれらに向き合い知恵を出していかなければならないと思われる。
    そういった意味でも、八百長反対派の主張にも向き合うべきである。

  • 基本言っている事は理解できるが、相撲に対する愛着があふれる玉木氏の意見をどう捉えるかによって評価が変わるのが本書。

  • 繰り返しが多いところは気になるものの、読む価値はある相撲本。

  •  スポーツライター 玉木正之 が語る本来の相撲の姿とそこから考える本当の八百長問題への対処。

     相撲はスポーツであり神事であり興行である。その在り方は武士道というより任侠道の方が近い。
     で、あるならばそもそも八百長など糾弾するべきものではないし、完全にスポーツとしてしまえば相撲はそのらしさを失ってしまうと作者達は訴える。
     相撲をプロレスの様なアングラだと思って見ると色々なことが腑に落ちてくる。今後考えなければいけないのは、八百長根絶のスポーツ化ではなく、NHKでの放送などスポーツとして扱われすぎていることだという意見には賛同したい。

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著者プロフィール

1952年京都市生まれ。東京大学教養学部中退後、フリーのスポーツライターとして、雑誌『GORO』『平凡パンチ』『ダカーポ』『ナンバー』等で活躍。現在、作家、スポーツライター、音楽評論家、国士舘大学非常勤講師など、活動は多方面にわたっている。

「2003年 『玉木正之 スポーツ・ジャーナリズムを語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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