絶望名人カフカの人生論

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制作 : 頭木弘樹  頭木弘樹 
  • 飛鳥新社 (2011年10月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864101158

絶望名人カフカの人生論の感想・レビュー・書評

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  • 最近、気になった本がフランツ・カフカ賞受賞のものだったり(『グルブ消息不明』)本の作者がカフカの再来と呼ばれていたり(『タタール人の砂漠』)で何か縁があるのかなあ、と思って手始めにこの本を手に取ってみた。

    カフカの本は高校生の頃『変身』を読んだのみ。
    作品の真意を理解しているか自分でもわからないが、面白かった記憶がある。

    帯にもアマゾンの解説にもあるカフカの言葉
    「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」
    には共感と同時に爆笑。
    ほかの名言も同じく爆笑、そしてしんみり。
    たまらない。

    右ページにカフカの言葉、左ページに編訳した頭木さんの解説&つっこみがあるのだが、まずカフカの言葉を咀嚼して飲み込み、自分なりに解釈してから解説&つっこみをみると二度おいしい。

    カフカは生涯独身だったが、3度婚約、3度婚約破棄。
    ひとえにカフカの自信の無さ故だったそう。
    でも女性にちゃんとモテたのも分かる、ほっておけない感。
    なんかくすぐられるわー。
    ブス専っぽいのも好感度大(笑)

    親友がカフカの死後、作品を世に出そうと尽力したのも、作品の素晴らしさだけじゃなく、そのほっておけない感のためもあるかも。
    意外と愛されキャラだったんですね。
    例え本人が満足せず、絶望していようとも。

    今回わたしはウキウキテンションで読んでしまったのだけど、本当に絶望している人にはどうなんだろう。

    恵まれているところもあるカフカに「こいつは甘い」と感じるだろうか。
    恵まれているにも関わらず、絶望から逃れられなかった彼をどう思うだろう。

    朗報?がひとつ

    カフカは病気に殺されるまで、自殺をしなかったそうです。
    どんなに絶望していても。

  • セルフエスティーム低っ。ただのネガティブではないし、単純にネガティブだから…で済まないような気がした。生きるのどんだけつらかったろう。あふれて溺れるくらいの“生きづらさ”だったろうと感じた。


    “今”この時代に存在しているものの原型が、もうそこにあった。ニート、ひきこもり、毒親、支配する親、ダブルバインドとかの先駆け、先取りだなぁ…と感じた。でもこれポジティブで「前を向う!」とか言うカフカだったら『変身』は生まれなかっただろう。


    ネガティブ/野心・欲望なし/自己肯定感低い/劣等感/否定/絶望/トラウマ/マイナス…など全てが入り混じって作品が生まれたんだなぁ…と感慨深かった。


    20代で『変身』を読んだ。別にその頃、充実していたわけではないけど、読んでも魅力を感じず良さが分からなかった。今ならたぶんあの頃よりも沁みると思う。


    これ読んでいる間中、何らか歪み(ハンデ)があって親との相性も悪く、良かれと思い色々なマイナスの支援(または叱咤激励)を受けて、失敗し、「どうせまた失敗する」の深いループに陥り、親を憎んでしまうコース…を考えてしまった。その結果(皮肉なことに)ただ文章を書く“自分の書きたいものを書く”というだけの作業になり、それで昇華さえされない…と。笑えない。複雑な気持ち、ちょっと哀しくなった。名言集じゃなくって、純粋なカフカ読もう…。




    ドキッとした文。↓

    “どんな宗教によっても救われることはなかった。ぼくは終末である。それとも始まりであろうか”=八つ折り判ノート= ★14ページ


    “神経質の雨が いつもぼくの上に降り注いでいます。 今ぼくがしようと思っていることを、少し後には、ぼくはもうしようとは思わなくなっているのです。”=フェリーツェへの手紙= ★70ページ

  • カフカかわいい。
    カフカは好きすぎて何回も何回もいろいろな作品を読み返しているけど、関連本や人物そのものを深く掘り下げる気にはならず、よくいる神経衰弱気味の小説家というイメージしかなかった。

    この本はまえがきにもあったとおり超訳してる部分も多いだろうけど、その徹底してネガティブに向かう姿勢の中に何故かかわいらしさを感じてしまう。

  • 鬱々とし過ぎて、結果笑い出したくなります。理解されないとか、さびしいとか、そんなことできないとか…生活水準や仕事や書く才能は人並み以上で、満たされているように見える日常の中で、不足感を丸出しにしています。そして結核にかかってはじめて生きていくことの充足感を得るような、屈折した心の持ち主であるところが、魅力です。

  • 悲観的な視点が得られるかも
    誰よりも悲観的に一生を過ごしたとされるカフカという人物の残した言葉をまとめ解説している。個人的にはあらすじの言葉が印象に残っている。
    悲しいときや辛いときに心を癒やすには,まず悲しい気分に浸り,次に楽しい気分に浸ればスムーズに立ち直れる。つまり,最初から明るい気分になるのではなく,最初に悲しい気分に浸ることで心に染みこんでくる。
    本文自体はいくつか共感できるような内容もあったが,全体的に後ろ向きな考えが書き連ねられていて,解説もいまいち物足りない部分があって,あまりよいとは思わなかった。悲観的な思考もよいが,もう少し次につながるような内容があればよかった。

  • 『絶望名人カフカの人生論』
    フランツ・カフカ    頭木 弘樹編訳

    カフカって、こんな人⁈と驚く様な突き抜けた愚痴?名言集(笑)

    何しろ婚約者に送る手紙にこう書き送っています。
    「将来に向かって歩くことはぼくにはできません。将来に向かってつまづくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」ーフェリーツェへの手紙ー
    ラブレターなんです。これ(笑)

    他にも自分にとって一番良い生活は「閉ざされた地下の一番奥の部屋にいること」しかも誰かが食事を持って来て、地下室の一番外のドアに置いて欲しい、なんて、究極のひきこもり願望も書き綴っています。刑務所の独房より孤独です。

    そして写真では黒々とした髪で、白髪はチラホラなのに、もうすぐ38歳になるが、不眠と頭痛で髪がほとんど白くなりかけているとか、痩せ過ぎていて浴室で自分を見ると孤児の様だとか、散歩しただけで疲れて3日間何も出来ないとか…。
    あげく、自分の作品が駄作である理由を一つづつ証明できると言い切っています。
    およそ、天下国家の話では無く、「胃が…」「父が…」「不眠が…」「脱毛が…」「泳げない…」と言った、閉じられた自分の事ばかり、しかも全てがネガティヴ!その無力感たるや、どうやって生活していたかと思うほどです。

    悲しみに打ちのめされなかったのは、絶望し過ぎて本当に喀血し、病気になった時。
    他にも「いつだったか足を骨折したことがある。生涯で最も美しい体験であった」という調子。

    親友が「君は君の不幸の中で幸福なのだ」とカフカへの手紙に書いたそうですが、言いえて妙と言えます。

    しかし、読んでいて呆れるほどネガティヴなのですが、カフカ自身がどれほど自分を虫けらの様に思い、誰よりも落ち込み、誰よりも弱音を吐き、誰よりも前に進もうとしなくても、小説家としてのカフカは巨人であり、後の作家達に多大な影響を与えています。
    カフカにとっては、苦しみが創作のパワーの源になっていたようです。
    芸術家がカウンセリングで悩みを解決したら、一切絵を描いたり、作曲したり、文を書けなくなったりする、と聞きますが、偉大な芸術家ほどネガティヴパワーが力の源なのかも、と思いました。また、ここ数年ポジティブな前向きで明るすぎる人生論や、名言集、自己啓発本が頭に入って来なくてもやもやしていたのは、色々な事が重なって、心が疲れきっていたからで、そんな時はポジティブシンキングでは無くてカフカの超ネガティヴシンキングに触れて、「ここまで絶望しなくても…」と笑ったら良かったのかとも思いました。

    アリストテレスは、「悲しい時はその時の気分と同じ音楽を聴くことが心を癒す」と言ったそうです。何だかポジティブな言葉が嘘くさく、眩しすぎて感じる時は、まずこの絶望名人カフカの人生論を読み、悲しい音楽を聴いてから、明るい曲を聴いて、ポジティブシンキングへ、と段階を踏まれることをお奨めします。(^^)

  • ネガティブな発言ばかり受け止めると、ほとほと疲れてくるが
    ふしぎなもので、読み進めるほどに複雑な思いにとらわれた。
    それは、これほどウザい軟弱男カフカなのに
    彼を肯定したり理解したりする思い。

  • 暗い気分に浸りたいときにおススメ。思いっきりネガティブになれます。

  • カフカはこんなにも
    ひきこもり体質だったのか
    カフカの伝記を読みたくなった

    一方で
    いまひとつ
    カフカの言葉にぐっとくるものがない
    同じ体質でも
    穂村弘のエッセイなら
    とても近しく感じるのに
    穂村が歌人で
    カフカが小説家だからだろうか
    もともと散文に魅力を感じにくく
    短歌といった冷凍保存されたような詩しか
    よさがわからないからだろうか

    いくつか苦情

    左のページの解説
    的確だしないとカフカの言葉の背景も
    わからないけど
    「普通の人」の立場でかかれているようで
    ぜひとも穂村弘に書いてほしかった

    あと書名
    自己啓発本に分類されておかしくない
    内容はよく伝わって
    実際読もうとおもったけど
    致命的にカフカの純粋さを
    損なっている気がして

    でもカフカという作家の
    バックグラウンドが多少わかったのが
    収穫

  • 京都の恵文社で出会った1冊。
    はじめに に書かれていた筆者の言葉↓
    ----------------------------
    ポジティブな明言は確かに価値のあるものですが、心がつらいときにいきなり読んでも、本当には心に届きません。
    ----------------------------
    と、帯の文↓
    ----------------------------
    誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしなかった人間の言葉
    ----------------------------
    に、落ち込んだときポジティブな言葉で励まされるのが嫌いな私は、すごく共感して購入した。

    ネガティブ思考からパワーを得て名作を残したカフカという存在を知ると、ますますポジティブ思考がそんないいいとなのか?と考えてしまう。
    ダメな部分があったとき、「でも自分にはこんないいところもある!」といったように、目をそらしてばかりいるのではなく、ときにはとことん「は~、なんて自分はダメなんだろう」と受け入れることでスッキリしたり、そこから何かを見つけることができるのではないだろうか。

    カフカの言葉に、筆者の丁寧な解説がついているのでとても読みやすく面白い。
    おすすめ!

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絶望名人カフカの人生論の作品紹介

誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしなかった人間の言葉。今までになかった"絶望の名言集"。

絶望名人カフカの人生論の文庫

絶望名人カフカの人生論のKindle版

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