ハキリアリ (ポピュラーサイエンス)

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  • 飛鳥新社 (2012年4月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864101608

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ハキリアリ (ポピュラーサイエンス)の感想・レビュー・書評

  • ハキリアリは中南米に生息する、「農業を営む」アリである。
    「ハキリ」という名前が示す通り、葉を切って巣に運ぶ。だが彼らはその葉を食糧にしているわけではない。その葉を元に、キノコの仲間である真菌類を育てている。

    ハキリアリは他のアリの仲間と同様、社会性の動物である。卵を産む役割を持つ女王アリを中心に、働きアリや兵隊アリが協同で1つのコロニーを形成している。集団構成員は数百~数千、時に数百万匹に及ぶこともある。働きアリは細かく分業がされ、葉を切り取る係、その葉を運ぶ係、育てている菌の面倒を見る係とさまざまである。大きさも異なる。
    アリは1匹だけで生きられるわけではなく、コロニー全体として成立していることから、個体を超えた「超個体」的存在と見なす研究者もいる。

    分業は相当に細かく、葉を運ぶアリが寄生バエに襲われるのを防ぐ係、通路をいつもきれいにしておく係もいる。すごいところでは、有害廃棄物を中間集積場に持って行く係とさらに最終ゴミ捨て場に持って行く係が分かれている。後者は高齢のアリの仕事である。こうすることで、感染がコロニーに広がったり、若いアリが有毒物質で倒れるのを防いでいるのではないかと考えられるそうである。

    女王アリは受精卵を産むが、正常でない卵が生まれることもある。働きアリもときに孵化しない卵を産むことがある。こうした卵は「栄養卵」と呼ばれ、幼虫や女王アリに与えられる。

    菌はコロニーに代々受け継がれるものであり、アリと菌は相利共生状態であると言える。作物の菌に寄生する病原体もおり、地下の巣では攻防が繰り広げられている。
    他のコロニーを襲って、よく育った菌を奪うアリの強盗団もいる。

    ハキリアリの巣はときに想像を絶する大きさになり、数千の部屋が作られることもある。ある研究グループが、巨大なコロニーにセメント(!)を流し込んで型取りをしてみたところ、6トンのセメントと8000リットルの水を要したそうである。

    本書では、豊富な写真とともに、ハキリアリのディープな生態を紹介している。
    比較的薄い本だが、驚異的な世界が詰まっている。

    <参考>
    『新版 動物の社会』


    *テレビでハキリアリの番組をやっていて、おもしろそう、と借りてみました。番組では、実験室にハキリアリの巣を再現していて、それはそれで圧巻。(本書にはなかったのですが)ハキリアリが多くの巣をパトロールするやり方が「巡回セールスマン問題」を解くヒントになるのではないか、なんていう話も出ていました。粘菌が地下鉄路線図を設計する2010年イグノーベル賞の話をちょっと思い出しました。
    複雑系、実は小さい生きものが解く!

  • TV番組で特集していたのをチラ見したことがあったせいか図書館で本書が目につき、なんといっても表紙写真の美しさに、まずは借りてみようと手にした。

    テキサスにいたころ、小さな葉っぱを傘のように掲げて運ぶアリたちをよく見かけたが、これはやはりハキリアリだったようだ。なんでアリが葉っぱを運ぶのかな~?と思っていたが、菌園のための葉っぱだったのか。

    アリが社会性昆虫なのは誰もが承知のことと思うが、ハキリアリほど、複雑に緻密にそのシステムが構築されている昆虫も珍しいようだ。あらゆることがすべてコロニーの発展維持に都合よく進むようにコントロールされており、彼らが育てている菌ですら、コロニー全体の生態系の環の中に取り込まれているというから驚きだ。彼らをして「超個体」と呼ばれるというのも納得。
    また、小さな小さな彼らの、脳の神経の働きや、彼らが葉を切り取る時の足に伝わる振動までしっかり計測され研究されていることにもびっくり。
    研究者の根気強い取り組みを想像すると頭が下がる。
    好きじゃなきゃやってられないだろうな~。

    本書はその興味を引く記述だけでなく、美しい写真やわかりやすい図説が非常に豊富で、それを眺めているだけでも楽しい。
    実は節足動物、すっごく苦手なんだけど、そんな私でも思わず見入ってしまうような芸術的ともいえる写真が満載。

    そして人間の家一軒立てられるくらいのセメントを流し込み巨大な巣の掘りだしが行われた写真など、とても小さなアリの所業とは思えずただただ驚嘆。
    う~ん、でもこのコロニーのアリたちはどうしたんだろう。この作業のために全滅しちゃったってことなのかな…?ちょっとかわいそうかも。

  • 菌栽培アリの進化の年表を示した図版
    asukashinsha.jp/popular-science/leafcutter/

    多摩動物公園
    生きているハキリアリのコロニーを観察出来る

  • コスタリカに行ったとき、念願の葉をかついだハキリアリの行列がどこでも簡単に見られるのに感激した。よく見ると葉を切り出す係と運ぶ係のタイミングが合わないのか、切り出された葉のかけらが地面に大量に落ちているところもある。偶然巣にいきあってその巨大さにびっくり。
    本書はそんなハキリアリの社会から行動、菌が育つようなじめじめした地下で、細菌の繁殖をどうやって防いでいるかなど、さまざまな生態を解説している。たくさん写真と図があって、わかりやすい。
    同じ著者の蟻の自然誌は途中で挫折したがこれは楽しかった。装丁も凝っていてこれは新刊で買ってよかった!

  • 写真やイラストもいっぱいあって、ハキリアリマニア(?)感涙の一冊だが、ぼくはうーん、そこじゃないんだよなーと思いつつ読んだ。なぜ一介のアリが農業を営むに至ったか。どういう必然性と試行錯誤があったのか。そこが語られないので、葉っぱの切り方とかキノコの育て方とか教えてもらっても、手の届かないぎりぎりにバナナ置かれた猿みたいな気分になる。

    本当に不思議だな。

    ハキリアリ。日本にはいないのだろうか。いないのはどうしてなんだろう?
    いたらいたで葉っぱを千切っちゃうから困るんだろうな。

  • NHKの「ダーウィンが来た」でやっていたハキリアリの特集にあまりにも感動して読みました。脅威的な組織力!そこに変な話ですが人間臭さが感じられる。このアリに愛おしさを感じないひとがいるでしょうか。でも本に載ってる写真がアリのアップが多くて電車の中で読むのはちょっと気を使いました(^_^;)

  • 読みやすくて、面白かったです。

  • 読む前はハキリアリについてヒトのほうが効率的な農業をおこなうと思っていたけど、実は、栽培しているきのこと意思疎通してきのこのために害のある葉を何ヶ月もとらないなど色々なことをしていることがわかった
    超個体についてすごくよくわかった
    8章が一番面白かった

  • 最近、膜翅目にはまってます。

    コロニー全体で動物一個体のように振舞うその生態(真社会性)がどのような原理で実現されているか興味があるからです。なんという不思議な!

    その膜翅目のなかでも農業を営むハキリアリについて書かれた本です。
    ハキリアリといえば葉っぱを刈り取って巣に持ち帰り、飼育しているキノコに餌として与えている、というところまでは知ってましたが。

    事実はもっと複雑。飼育しているキノコに害をなす悪玉菌の存在、それを退治する菌を身に纏って対抗するアリと
    。真社会性の動物とは言えその種に止まらず他の種との共生関係を維持しながら『一個体』としての機能を完成させていることに驚きです。

    と書きながらも、実は我々人間も大腸菌やらなんやら(すいません。あんま詳しくないのであてずっぽうですが)との共生によって一個体となっていることを考えると、果たしてアリと人間ってそんなに大きな違いが無いんかも?とか色々思いは巡り、夜も寝られません。

    とてもオモロいです!

  • 1 究極の超個体
    2 菌類を栽培するアリの進化
    3 ハキリアリの一生
    4 ハキリアリの階級制度
    5 植物の収穫
    6 ハキリアリ同士のコミュニケーション
    7 ハキリアリと菌との助けあい
    8 菌栽培における衛生管理
    9 ゴミの管理
    10 略奪アリと寄生アリ
    11 ハキリアリの巣
    12 ハキリアリのつくる道

  • ハキリアリ。
    非常に複雑な分業とコミュンケーション能力を備えている。
    社会性を持ちながら、人間のように個々の能力を伸ばす方向に進化しなかったのはなぜか。サイズの問題?農業といいながら季節変化を予想する必要がないから?あるいは女王アリという遺伝子の出口を分業にした時点でそのような進化の方向性に定まったのか。
    分業の仕方は体のサイズ分けによっているのだが、一番小さいアリと大型の兵隊アリの大きさの差は驚くほど大きい。なんだかSF的である。
    抗菌剤を出すカビを体にまとったアリ。一種の衣服ともいえるかも。エイリアンはバイオフィルムを身にまとうのか。
    カビとアリに高度な共生が進化したのは、女王アリによりカビが増えるから、つまり遺伝子の出口が一緒だからか。
    多摩動物公園にいるらしい。葉の上にのった小型アリをこの夏見に行こうかな。

  • ハキリアリについては小学生のころに読んだ本で軽く聞いてはいたが,たくさんの写真と実際の研究結果がわかりやすく書かれたこの本を読むと,さらにさらに印象が深まる.
    訳者あとがき,に書かれているが,これまでは「ハキリアリ中級者」だったことがよくわかった.

  • 人以外の生物で、アリだけが農業を営んでいる。その、アリのシステム化された社会性に驚きます。とっても興味深く面白い本です!
    所在:展示架
    請求記号:486.7||H83
    資料ID:11200694

  • ちゃんとした内容っぽいのに文体がそこはかとなくうさんくさい。
    定義や主語がきちんと書かれていないから、雰囲気だけでそれっぽいことをしゃべる人の話を聞かされているような気分。

    たとえば「南北アメリカの熱帯地方で、生きた植物を最も大量に消費するのはハキリアリ(p4)」というのは一個体当たりなのか生息数が多いからなのかヒトも含めた全生物中なのか。
    「十分に発達したコロニーになると、乳牛一頭とほぼ同じ量の植物を消費(p5)」とは乳牛一頭分の重さなのか乳牛一頭が消費するのと同量なのか、一日当たりの消費量なのか年間なのか。
    p7の「一個のコロニーが一年間に集めた様々な種類の植物片」の写真はどうみてもどんな意味でも牛一頭分には程遠いし、あの切りたての新鮮さは実際に一年かけて集めたものであるはずがない。
    小さなコロニーが一年間でこの「くらいの」量を集めますという例示だとしても美しく並べた植物片の一部だけを切り取った全体量のわからないアート風写真を使うのは説明として適切じゃない。

    「どのくらいの量をどのくらいのペースか」「どの数値の中の何%か」といった具体的な表現がないから、比較しているようで比較になっていない。
    「はじめに」を読むだけでも疑問(もっと知るための「問い」ではなく本に対する疑い)がいっぱい湧いてくる。

    装丁は可愛い。写真もきれい。
    だからこれは生物の本ではなく美術としてながめるのがいい。

  • ハキリアリ、アメリカなどではパラソルアリと呼ばれていたりもするこの昆虫は「究極の超個体」(超個体:一匹一匹ではなく、巣全体で一つの生物の様に振る舞う生物の社会の事)とも称され、そのシステマチックな集団生活の見事さは他に類を見ない程です。
    本書はそのハキリアリの生態について一冊全て使って解説したものであり、訳者の後書きによれば大人向けのハキリアリ解説本としては邦書では初めてとの事です。
    確かに大人向けと言うだけはあり、アリ研究の世界的第一人者の著者達による最新の研究成果なども織り交ぜながらの解説は、ただのマニア向けの気軽なウンチク本のそれをはるかに越えた内容であり、読み応え充分なものでした。

    構成は全12章。
    内容の方は、巣の中で菌類を育てて食べると言うハキリアリの農業についての解説はもちろん、菌とハキリアリの共生関係、巣の仕組み、ハキリアリ同士のコミュニケーション方法、階級制度、ゴミの管理、ハキリアリの一生・・・等、様々なテーマで解説が行われています。
    また、写真やイラストも多数掲載されており、解説内容がイメージしやすくなっています。
    (解説文自体も読みやすいものでした)

    尚、1章毎のページ数は10ページ未満のものから最長でも30ページ前後と、電車待ちと言った時間の隙間や就寝前の読書などにも丁度いい感じです。

    ハキリアリファンはもちろん、人類よりもはるか以前に農業を開始していた生物に興味をお持ちの方、超個体について興味をお感じになられた方等にはおすすめな一冊。

    気軽にそして為になる読書に如何でしょうか?

    #尚、巻末に用語集が掲載されています。

  • ハキリアリの生態は全然知りませんでしたが
    すっかり彼らにはまってしまいました。

    あの小さな脳で何を考え、どのように生きているのかをわかりやすく解説していました。

    ぜひ多摩動物公園に見に行きたいと思います!

  • ハキリアリってすごいんですねぇ。。実物を見たくなりました。

  • 以前から農業を行うアリのことに興味があり、この本を手にしました。読めば読むほど、驚くことばかり。自然の叡智に拍手。

  • ハキリアリ=葉っぱを切り取って巣の中に運び、苗床にしてきのこを育てるアリ。
    という「ハキリアリ中級者」に、さらに詳しくハキリアリについて解説してくれる本。写真、図説もきれいでわかりやすい。
    菌とアリの共生だけかと思っていたら、その菌に寄生する別の菌があり、寄生菌にだけ有効な抗生物質を作るさらに別の菌を身体の一部に保持していて…という何重に重なる共生関係があったとは。
    社会性昆虫は奥が深い、とあらためて感じた。

  • ハキリアリは、農業を営む昆虫である。

    葉を切り取って運ぶアリの行き先はもちろん巣穴なのだが、
    その目的では餌ではなく、栽培している菌類の肥料になる。

    人類の農業の歴史は1万年ほどであり、
    農業ももたらす食料の安定供給とともに繁栄してきた。
    対してアリ達は5000万年~6000万年前から農業を行なっている大先輩である。

    ハキリアリに限らず、社会性昆虫の生態はとても複雑かつ特徴的で面白いが、
    ハキリアリ等に菌類を栽培するアリ類だけでも菌の世代継承や、菌のこだわりといった多様性があって面白い。
    階級による個体差は重量で200倍にもなるなど、すごい世界だ。

    個人的に気になったのは、寄生菌に汚染されている可能性の高いゴミを処理するという危険な役目は、働き蟻の中でも老い先短い年長の役目だという点である。
    アリにとってコロニーが命で個体は細胞みたいなものだが、上手く割り切ってるもんだ。
    そしてアリ社会の中でも特に特異的な女王アリの一生は、極限過ぎて戦慄を覚える。

    好きな人にはこれ一冊じゃ足りないだろうけど、気になった人は読んで欲しい。
    80点以上のカラー写真・イラストも綺麗で飽きない。
    ハキリの技や道路整備されたアリ道は必見である。

  • 抜群に面白かった。
    図版の多さも嬉しく、思わずハッとしてしまうようなカラー写真の数々を眺めるだけでも、本書を手にとった価値は十分にあった。
    超個体としての在り方や、共生の具体的な真価が見て取れる。
    さらに、随所に出てくる数字(コロニーの規模に関連したものや女王の産卵数その他もろもろ)なんだが、思わず二度見してしまうほど驚異的な世界がそこにはあった。
    ヒトよりもずっと昔に農業を営むという選択肢をとった彼女(彼)らの生涯に、随分と魅せられてしまった。読みながらすごいすごいと思わずつぶやいてしまったのは久々かな。

  •  読まなくても良かった.なんとなく,そう思った.この本を読もうと思った
     動機は,マイクロワールド読んで,図書館行ったら,新着コーナーに置い
     てあって,そういえば,よく行く本屋でも平積みされてたなぁ,という感じ.
     で,読書.科学的な知見から丁寧に記述されていてよかった.でも,BBC
     製作の映像を眺めるだけでも良かったとも思う.結構,既知だったし.

  • 葉っぱを刈り取り、巣に持ち帰って菌を栽培、それを食用にする蟻についての本。その興味深い生態を知りたくて読んだのだけど、写真と挿絵が多くて理解しやすかったです。

  • 内容は少し専門的。訳なので分かりにくい文章もある。
    それでも葉っぱの上のヒッチハイカーや菌のベッドなど魅力的なものがたくさんでとてもおもしろかった。
    セメントの巣は写真を見ているだけでドキドキした。表紙を含め綺麗な写真がいくつかあり、ステキ。
    そしせ遊び紙かわいすぎる。

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ハキリアリ (ポピュラーサイエンス)の作品紹介

地球上で最も人間くさい振る舞いをする昆虫のすべて。切り取った葉で食用キノコを栽培し、2000部屋もある大住居を構え、体の表面で抗生物質まで作り出す。驚くべきハキリアリの生態にピューリッツァー賞作家が迫る。80点以上のカラー写真、イラストを収録。

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