専門家の予測はサルにも劣る

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制作 : 川添節子 
  • 飛鳥新社 (2012年5月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864101660

専門家の予測はサルにも劣るの感想・レビュー・書評

  • 洋の古今東西を問わず、様々な分野で予測がされているがその殆どは当らない、と豊富な例を挙げている。人口、食料、政治体制、経済指標、石油価格、2000年問題とテーマはその時どきで違えども、その外しっぷりはまさに圧巻であり、本当に予測は難しいというものだ。

    例えば80年代後半から90年台にかけて日本礼賛の評論が世を席巻し、アメリカはあと10年もすれば日本に追い越されると言われたのだが、90年代以降の日本は失われた10年どころか20年で今やすっかり日本病に犯された形だ。

    何故にしてこうも予測は外れるのか、との問いに対する明確な答えは無いものの、世の中の殆どの事象は非線形モデルなので予測の前提にある線形モデル(所謂釣鐘型対称グラフ)には当てはまらないのが一つ。そして脳科学の観点からは、人間は意味の無いところに何らかのパターンを認識してしまいそれが予測のベースとなってしまうということが挙げられている。

    この当りは果たしてそうなのだろうかという疑問が無いわけではないし、余りにも単純化している嫌いはあるので読み流すわけだが、面白いのは「自信たっぷりに明確にされる予測ほど外れ易い」と云う下りだ。あることを語るに際しては当然そうした態度が説得力を持つのは良く判るし、故にマスコミ受けし大きな声を持つことになるのだが、その信頼性は逆に低下するという。

    本書の唯一の教訓は即ち「自信たっぷりの大きな声の予測には気をつけろ」ということのようだ。

  • いかに予測は当たらないものか、そしてそれでも専門家の予測を求めてしまう人間の性について。
    人間の脳みその構造から、いかに不確実性に満ちた世の中の推移を予測するのは難しいし、悲観的な予測こそ売れてしまう。また、キツネと分類する者はハリネズミに分類する者よりも幅広い視野で考えて断言しないところもあり予測が当たりやすい傾向があるが、一般には分かりやすい考え方で断言するハリネズミのほうが売れる。また、予測が外れても外した本人の記憶が書き換えられてそもそも外した意識や予測したことすら覚えてなかったり。
    結局大事なのは結びの言葉で、世界の危機を深刻に受け止めて楽しむべきことを後回しにするのは自然の摂理に反するというアリス・ザ・コックの言葉なんだろう。

  • 77頁:自分の役割を見い出すのだろう。
    ・見る+出(い)だす→見出だすor見いだす

  • ナントカバイアスがあるので、専門家の予測も当たらないという、クリティカルシンキング的な本だった。
    予測が当たると大々的に取り上げられるのに、予測が外れても非難されないってのと、予測が当たらなかったときの言い訳がひどくて、ちょっと面白かった。

  • 人間の能力としても、物事の本質からしても、複雑なことの長期にわたる予測は難しい。
    「物事の本質」というのは、第二章で述べられているような、カオスによる予測不可能性を代表例とする、自然の複雑を指す。
    「人間の能力」については、第三章から第七章までで述べられる、行動経済学や認知心理学の知見でわかっているさまざまな判断のバイアスのことをいう。
    専門家は、その専門性で精度を上げることもできる人(キツネ)もいるが、たいていはバイアスをよりデフォルメした人間(ハリネズミ)で、かえって正しい予測から遠ざかってしまう。さらに、おそらくは虚栄心や自信過剰によってその傾向は大きく強められ、大衆はその「言い切り」に魅了されるため、この傾向は変わらない。間違っていたことがわかっても、その誤りを認めることはなく、検証されもしないために、間違いはそのまま放置される。
    「言い切る」専門家は信用してはいけない、というのは確かに実感どおりだ。

    各章ごとに触れられているポイントは ↓ のようなもの。

    第一章 歴史による証拠
        キツネとハリネズミ
    第二章 カオスによる予測不可能性
    第三章 確証バイアス
    第四章 利用可能性ヒューリスティック
        現状維持バイアス
    第五章 ネガティビティバイアス
    第六章 自信ヒューリスティック
        権威の力
    第七章 認知的不協和
        後知恵バイアス
    第八章 「将来を予測するときには、控えめな態度でのぞみ、複雑さや不確実性を受け入れ、自己批判的で、自分が真実だと信じているものが本当はどうなのかをいつも問いかけている。すでにある思考のテンプレートを使わずに、できるだけたくさんの情報源からアイデアや情報を収集する方を選ぶ」

  • 人間の性質・脳の構造を引き合いに出しながら、なぜ人は専門家の予測に頼りたがるのか、専門家は予測をしたがるのか、そしてなぜあたらないのかを実例とともにわかりやすく解説してくれている。日本語の表題が特に秀逸だと思う。

    腹に落ちた点、以下抜き書き。
    -専門家の予測がなぜあたらないのか。その答えは、専門家は大量な知識があるがゆえ、有りもしないところにパターンを見出し、理屈をつけたり、ねじまげたりする能力が一般人よりも高い。それゆえ、物語を作り出す力が高く、そしてそれを(自分の専門知識に裏打ちされているが為)自信過剰に信じてしまうから。

    -メディアが欲しいのは必ずしも正しい予測ではない。空振りは誰も気にしない。自信満々に人々を導いてくれる専門家を人々は待っている。なぜなら人々は不確実な未来が嫌いだから。(ウソでも)はっきりと未来を示してくれる人を待っている。

    -正しい決断をする為には、必ずしも正確な予測は必要ではない。可能性に対する大まかな感覚があれば十分。地震は予知できないが来る可能性があることがわかっていれば、対策は取れる。(だから、「これだ!」という未来予想は必要ない)

    -明日問題になりそうなことが、実際問題になることは滅多にない。(だって皆準備をするから)

  • 第1章 始めに
    第2章 予測できない世界
    第3章 専門家の頭の中
    第4章 今日と同じ明日
    第5章 不確実性による不安
    第6章 メディアスターたちの予測
    第7章 予言が外れる時
    第8章 終わりに

  • カナダのジャーナリストが書いた専門家でも予想はあたらないという話。複雑系、行動経済学の知識をえた後には、特に目新しい話はない。
    ピークオイル、飢饉、世界大戦、ソ連の崩壊、2000年問題、日本が世界を支配するなど過去の当たらなかった予測とその背景にある線形的予測、行動経済学的落とし穴が説明される。専門家でもキツネタイプ:疑り深く慎重な人は正確性は高くなるが、自信を持ったプレゼンにはつながらず、一般受けはしない。逆にメディア受けする人は偶然でしかあたらない、実際にフィリップ・テトロックのやった実験では自信のあるほどあたらない結果となった。このPhilip Tetlockという人の本は日本語では出ていないのが残念。

  • 【今日の一冊】304||G22

    専門家の外れ続ける予言,それでも信じ続ける私たち…。
    専門家達の予知能力の実態を暴く問題作。

  • 専門家の予想は何故間違うのか?を豊富な実例(それだけたくさんある)を基にユーモアを交え考察。原題よりキツイ題名ですが、言いえて妙です。

  • 専門家の予測なんて当たらないよっていうことを前提に、その当たらない理由とかそれでも信じてしまう我々の心理的側面などが分かりやすく解説されている。

    何より面白いのは、専門家の外れた予言・予測が実例として書かれている点である。書かれた本人には心外な内容であろうが、過去の歴史・経緯と予言とを照らし合わせてみると、その外しっぷりはお見事である。ただ、話題が北米中心なので、その当時の状況を理解してないといまいちピンとこないかもしれない。

    ではどうすればいいのかということは、結論として断定的に書かれているわけではない。しかし、この不確実な時代にどういう心構えでいるべきかということが、本書の最後に書かれている。「コックのアリス」の格言として載っているが、これはとてもいいエピソードだと思った。

  • 予測は当たらないというたくさんの実例を元にして、パターン認識、及び、諸種バイアスなどの、認知心理学を解説したもの。
    スゴく面白いなあと読んでいたが、後半になってくると、そのたくさんの実例が冗長で食傷気味。私はゴシップには興味がないの。
    ちなみに、結論というか、じゃあどうしようというオチはなかった。

  • 予測について,不確実性,統計,認知科学,心理学からプレゼン技術に至るまで,あらゆる方向からのアプローチを書いた一冊.1600円の本としては濃い内容だが,読みやすい文章なので広島・徳島間の電車内で一気に読んでしまった.☆4つなのは表やグラフなどのデータが提示されていないからだが,不確実性について知識のない方でも面白く読めると考える.キツネとハリネズミの話はあちこちで引用すると思う.おススメ.

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専門家の予測はサルにも劣るの作品紹介

外れ続ける予言、それでも信じ続ける私たち。先行き不透明な時代こそ、専門家の言うことを真に受けてはいけない?予測に関する、心理的・社会的なトリックを解き明かす、ポスト3・11必読の書。

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